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擦違いざま
一瞬
視線が交わる

通り過ぎる人の 漂わせる 空気が
身体に拡がる

やわらかな 空気
プラスチックみたいな ササクレ
冷たい 塊

ひろがる それは 一瞬 満ちて ....
季節の変わり目は
不思議と あいまいで、
みあきた建物たちの 
街色は、いつもの 
寡黙のまま

昨日とのくべつのない 
今日を数えながらも、
オリオンをあとにしたら
きみを探し ....
 
 
いつからそこにいたのだろう
しわしわの殻に包まれた
わたしの祖父

甘さと渋さを身に秘めて
日が暮れるまで
縁側の外を見ている

殻に閉じこもりながら
本当は外に出たい
 ....
 
 
深夜の冷たい台所で
古くなった冷蔵庫が自分で自分を解体していた
もう冷蔵庫であることに
いたたまれなくなったのだ
時々痛そうにはずしたりしながら
それでも手際よく仕事を進めていっ ....
ああっ、そういえば昨日だったんだよね

意図的に忘れてた訳じゃないし
これって何なんだろうね

「どうしてなんだよ!」
面と向って尋ねられたとしたら何て答えるべきかな

えっとさあ…
 ....
黒ずんだ木の床にそっと頬をよせる
インクと機械油の匂いが染みついた床は
使いこまれた年月を
なめらかな感触でつたえてくる


古い印刷工場をリノベーションしたと
誰かが言ってたっけ
そ ....
お兄ちゃんは
アッキー
妹は
あっちゅ

ふたりとも
「あ」から
はじまる

あっちゅの
舌たらずを
利発で達者な
女の子にかまわれて

いつのまにか
ついていたあだ名
 ....
私のおなかの上で赤鬼みたいな怖い顔をして
額の汗を拭おうともせず
力強さこそが総てと容赦ない恥骨の痛みに涙を流す




さきほどまでの赤鬼が嘘のような寝顔
横になって見つめれば不思 ....
コスモスがコスモス色に咲いてて
ススキがススキのように揺れてる
土曜の朝
私鉄沿線の住宅地を
ぼくとたあくんは歩く

めずらしく陽が射している
建物の影が舗道をおおって肌寒い
ぼく ....
ニコライ堂の鐘楼に
大きな黒い月が重なって見える夜
空気は鋭角の厳しさをもって
僕を立ち位置から取り除こうと
鈍くて黒い月光りが刺す。

ニコライ堂の裏を降りて行く坂の途中で
首の長 ....
自分自身を型にはめようとしているのかな
知らず知らずのうちに
「ねばらない」
そんな思いに捉われてしまう

誰かにそそのかされている訳でも
強いられている訳でもないんだけどね

つまる ....
横浜の赤レンガの倉庫街で行われた朗読会の帰りに
ふとタクシーのなかから六本木ヒルズを見ると
点いている電気が文字のかたちになっていて
「認めてほしい」と書いてあった
俺はヒルズになぜ認 ....
 凍える戒厳令下の冬。

圧倒的な武力によって民を統治する狂信者が叫ぶ、
人民に必要なのは日常的な流血と惨事である
もはやパンの配給や馬鹿げた奇跡の捏造などではない
果てしなくつづく粛清 ....
誰にでも越すに越せない川がある

その川を越えようと試みるもよし
はなから越すことなど考えもせずに使い古しの釣竿一本
かの太公望になった気分で日がな一日

立ち枯れの葦原を渡る北風は冷たく ....
このように銀河は白く
星が密集して見えるわけですが
隣り合う星どうしでも
何光年という隔たりがあって
異なる時間と空間から出発した光が
一斉に辿り着いた
奇跡的な現象なのです

例えば ....
+


花が散るころにわたしは女でした。女になってしまい、
鉄鉢の中の百枚の花びらが
蝶のように羽ばたき、遠ざかるのを眺めた


+


花びらのひとひらを虫ピンで留め ....
お母さんのこと嫌いなの?

携帯電話でのやり取りを気にされたのか
調布駅の改札抜けたところで、由紀さんが心配そうに尋ねてきた

母のことかぁ、どうなんだろうねぇ
好きとか嫌いとかそんな物差 ....
俺は愛人にロープを買ってこいと頼んだ
じぶんで買うのが恥ずかしかったからだ
いや、正確にいえば
恥ずかしさに耐えるストレスを回避しただけの話だ

愛人はコンドームとロープを買って
俺の部屋 ....
ハワイは1年に3cmずつ
日本に近づいてるんだって
と君がいう
うん、いいね
とぼくたちは笑う

9才の君が
どんなに長生きしても
せいぜい3mか、そこら
それでも
いいね、とぼく ....
そこそこに慌ただしい日をこなしたあとは
急ぎの用ではない
コマゴマを
脇へ全部追いやって

静かに坐ってまゆつくる

まゆからでてきたからといって
羽根あるものになるでなし
わたしは ....
からだがガラスのようになっています
ひと恋しさなども浮かびません
ぬくもりなどもいまさらです
ロボットと愛を語らい合いたい
だれをさがすこともない夜でした
しずかな寒い夜でした
生きている ....
結婚しないわたしへのあてつけなのかなと思った

今更ながらの大ぶりな段ボール箱の底
つややかな赤い実りをいたわるかのようにそれは敷かれていた

一見して母の達筆を思わせる簡潔な手紙には何一つ ....
クリスマスの精霊
セイント・ニコラスへ、

へいぼんな親の 
どこにでもある 
ありふれた願い

今年もまた、
クリスマスをいわえることに
感謝しながら

誰もが請う、だから ....
地球は宇宙にもうひとつ
見えない月を持っていて
カラーでいうなら緑のクォーク
日ごと夜ごとに呼ばれています

地球の緑は見えない月に
干満自在に操られ
冬至の頃には退いてるようでも
満 ....
あ、あれえ???
所謂ニートの定義を見ると
しっかり当てはまっている
いつのまに、こんなことに

職業は読書探偵
書物に沈潜して時代精神の
裏側に隠された謎を解くが
読書探偵は依頼がな ....
グリーン車は座り心地が良いとか仰って高いお金をお取りになりますけど、
端から乗り物酔いの激しい私にっとっちゃ
この物凄い速さに乗っていること自体、気分の悪いことですから
ちょっとやそっと良い席に ....
{引用=

健全に降り注ぐ真白な陽差しの中
(それは、きらきら きらきら)
色をすくいだそうとしているわたしの手は
とっくに諦めを知っているのです

ハレーション起こした空色みたいに
 ....
十二月の
さみしい水の底から
きみのささやきに
耳を澄ませる

ふるえる感情の
ひとつ ひとしずく
その波紋
その不自由

どうして人は
急ぐのだろうね
日時計の影が
伸び縮 ....
やめてください!

写メ撮るのやめてください!

ネットにアップなんかされたら、家族や友人に見られるかもしれんやろ。
めっちゃ恥ずかしわ。

ブログにアップとか 絶対やめてください って ....
年末の気忙しさに閉経後の人生を考えてみたりする
それはあまりにも取りとめなくて
生理用品の買い置きはどうしようかとか
明日から生理用ショーツ穿かなくて済むのねとか
不幸中の幸いにして生理痛とは ....
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