出口だらけの迷路で
みんな迷子です
終電が出発したら
それでも全部、扉を閉ざして
新宿駅の外観を知りません
面影すら忘れてしまったひとの
忘れもしない言葉
普通でいるために、目を閉じ .... 
1 両手を前に差し出します。
2 人差指と親指でかぎかっこを作ります。
3 なるべく今のあなたに
  素直な言葉を挿入します。
4 そのまま両手を中心に向かって近付け
  長方形 .... 
「ナオトいる?昨日もらったシャンプーさ、髪合わなくて剃髪したの」
血塗れになっても奏で続けるのファしか出せないピンクのミシン
にんにくを割ってでてきたひよこたち .... 
あんなに荒れ狂っていた
場所
砂が乾いてゆく
反転し
苦しく水を蹴った足の記憶のまま、踏みしめる
砂にはわたしの
しずかな歩みだけが続いてゆく
高鳴り
呑みこむ夜が病いなら
 .... 
剃髪に立ち会った日の陽の光 淡く結んだらせんのつづき
葉脈にミシンをかける神様は季節のすきまは縫い合わせない
にんにくで追い払うんだ君のこと季節外れの桜の匂い
 .... 
   波の音が誰かの悪口に聞こえるなら
   わたしはもうダメだろうね
   そのむこうにあるうねりを聞かなければ
   わたしはもうダメだろうね
河口の土手でススキが揺れているのを見ると .... 
布団に入ると
からだが伸び
足が出てしまう
いつも凍え
いつも
地を飛んでいる
忘れたくないものを
燃やし 撒き散らしながら
忘れたいものを
 .... 
早朝に剃刀を買うコンビニで 剃髪用です 袋いいです
昼下がり主婦がミシンを踏む音は 人を撃ち抜く練習に似て
夕暮れが鼻血のような色してた 鉄のにおいが漂って、冬
 .... 
買い物に出かけた初冬の街角で
あのひとの姿を見かけた
両の手のひらをパンツのポケットに入れ
開店前のパチンコ屋に並んでいた
私の姿に気付くこと無く
他愛も無い夢と引換えに大切なものを .... 
みあげたときそこにあるの
 手をのばしたときそこにあるの
黒く落ちては白んでいく
 青く澄んでは真っ赤に染まって
打ち明けられる気がしたとき
 雨ざらしに放っておかれたとき
みあげればすぐ .... 
・
空が晴れていると
どこへ行ってもいいような気がして
ふらふらと遠出をしてしまいたくなる
そんな時はスーパーへ行って
掌にちょうどおさまるくらいの大きさの
果物をふたつ買って帰る
右と .... 
街には雨が降り
明度と色合いの
均衡が崩れてゆく
すべてはモザイクがかり
街灯が路上で溺れている
色とりどりのパラソルが咲き
人はその中で足首を濡らす
少しずつ雨水を吸水してゆく
 .... 
何億光年もむこうのほうの
小さな星がたたく鍵盤の
黒いところに光が集まって
猫みたいな声をあげて
女の子がひとり生まれる
ちいさなはこに落っこちた
なつかしい湖の色 .... 
鳥滴光声
距離もなく
ただ在る
手水原香
数もなく
ただ鳴る
壁もなく窓もなく
ただまばゆく
既 .... 
ぼくらは夕暮れ
チョコレートを食べすぎた
赤いランドセル
黒いランドセル
へんなランドセル
長い影
おうちに帰る歌 べろんべろんにのびて
絶対音感ちがって 耳を切る
血がち .... 
たださぁ、風が吹かないんだよねぇ。
弱ったなぁ… 
いしきさえあおくそまればこけのなか 
  初めて死んだのは小学校二年生の時だった
足の届かない海に降りて
それから
真っ黒な海底と目があって
真っ黒の中に魂を委ねてみたが
白い太陽が目をこじ開けようとしたので
思わず瞼 .... 
白く
抱かれている女の子を見て
きれいだな と思う
やさしくふれられて やさしいことばを感じて
ため息を漏らすの
メロディーのように
たぶん アイラインを落としても
つむった瞼にまつげは .... 
朝起きて僕はまず
鳥かごのひよちゃんとちよちゃんにあいさつをする
(おはよう
(ひょひょ
(ちょちょ
今日は曇り空だ
傘を持って家を出る
(いってきます
(ひょひょ
(ちょちょ
 .... 
三つの空のある窓に
光の穴があいている
動きつづける点の奥から
はざまの唱が聞こえくる
朝の翳り
夜の白銀
窓しか照らさぬ窓から来るもの
倒れ砕けた木のむこう
 .... 
お風呂さん、ありがとう
今日もあなたに浸かることができて幸せです
あなたの清らかさとあたたかさが
今、とても尊いものに思えます
わたしは寒いのに裸になりたい
裸になりたいのにあたたまりたい
 .... 
きょうさあ
ほいくえんつまんなかったねえ
おもいついてためしに
ぼくがいえば
すこしだまったあと
おもしかった
ほぃこえん
ふすまかどこかをじっとみつめて
ひらいた
 .... 
暗い中パソコンの作業をしていると
ときどき小さなこびとが出てきて
私に向かって微笑み掛ける
あなたはどこから来たの
私はね あちらから来たの
というと
おばたんはあちらがこわくない .... 
りんりんりん
秋の夜空からおちてくるのは
おうぎの、おうごんの
しゃんしゃんしゃん
セル画のごとく、ぱらぱらら
「今宵はたけのこごはんだよ」
しゃきしゃき
夜の秋は長いなんて
 .... 
夕焼けは音を消させたみたい。
ついで、砂場のスコップも、ブランコの揺れも。
寂しいなら帰ればいいのに。
*
雲を眺めてるんだ
オレンジっていう色らしい
いつかのやさしい声はもうきこえな .... 
色彩は
とても美しく
あったのでした
あどけない空を
飛行機雲がすうっとたち
あおいあおいあおが
喉の奥まで入り込み
それは私の中の何処かで
ぱちんぱちんと音をたて .... 
    
    
    わらっていた
    こどもたちは
    もう鉄塔から降りた
    手のひらに
    赤錆を
    たくさんつけて
    ひとりが
    鉄錆 .... 
つよいびるかぜを
さけながら
まちのきっさてんにはいる
ぶれんどこーひーに
くりーむを
とかしこんで
そそぎこむとちゅう
ふたりになって
はなしていた
おんなともだちの
けいたいで .... 
生きものと光を
行き来する生きもの
真昼に飲む水 音になる水
静かな明かりの目をした子に
わたす音はふたつある
明日の朝 霧が晴れたら
望むところへ進めるように
 .... 
 
 
 
 
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