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明るさのなか
で、きみの
目はつぶれて、無化の
朝
○父
窓から庭のブランコを
眺めることが多くなった
あれにはもう一生分乗った
と言って
時々体を揺らす
背中が
押されるところではなく
支えられるところとなってから久し ....
となりの人が一歩踏み出す。
チュッパチャップスを舐めながら自転車並列で猥談するジャージ姿の男子中学生は信号を見ないし当然のように歩道に転がる真っ赤な苺にも気付かない。
明日が月曜日であるこ ....
太陽のまばたきのたび
土の上の世界は
うすべにからわかくさいろに
わかくさいろから確かなみどりへ
塗り替えられて
月のためいきのたび
つゆはふくれ
つゆを舐め
くさばなは伸びをして
....
鎮守の森の片隅に
忘れ去られた汲み場がひとつ
錆びたひしゃくを手に取って
したたる水滴を拾い上げる
時間をかけて器を満たし
波打つ水面をただ眺める
森の奥にいる神様のことも
この ....
この世に、永遠など無いと
君は言う
すべてに
終わりがあるというなら
その時まで
君の側にいさせてくれないか
終わりの先にある永遠を
僕が、必ず
見つけるから
わかんない。
好きって気持ちどこに置いてきたんだろう。
どこへ行ってしまったんだろう。
いまは、考えると火が灯ったみたいに暖かくなる。だけどそれもほんのちょっとだけ。
前みたく火力強く ....
僕等はいつ死んだのだろう
今命有りこの世界でくらす
人間は実は一度しんでいる
母親の体内から生まれ
この世の中に産声を上げた瞬間に
その生命は一度死に
....
柔らかな光の筆先で
なぞられた街並は
おぼつかない輪郭から
あどけなくはみ出す
水彩絵具の色合い
目の前を行き交う人々の
心なしか和らいだ眼差しは
古いアルバムの内側で
セピア ....
あなたとセックスしている間、頭の中で聞えていた電子音の長さを数えてみました
それはぴったり4秒で
あなたが私にしてくれたどのキスよりも長かったから
私は、いつもより大きな声で、喘ぐ
4秒の ....
白色の波形を目でなぞった
うねりは遠く
目を凝らすほど直線的に
街の始まりで折り込まれ
目には見えないまま続いていった
そんなように思う
ひとみに映らないものを見ること
地下鉄の座 ....
朝が墜落する前の静けさに
私とあなたは手を繋いで
ただ狭いベッドにぶら下がっていた
午前五時、東京という街
徹夜明けで、熱のひかない目蓋
ピンク色の境界線がぼやけている、口唇
....
あの頃
私は叙情の生き物で
君の全てが詩歌であった
差し出された手の平に
丁度良く収まる
この手を乗せると
合わさった部分は
いつもほの暖かく
淡い色合いの空気が
ぐるり ....
旅に出て
ようやく畑にたどり着いた
遠くを見て佇む案山子ひとり
腕はだらりと垂れている
そばへ歩いてゆくと
帽子を取って
お辞儀をしてくれた
私もお辞儀をする
顔を上げると案山子は ....
純然たる君の回り続けるスカートに
くるまって君にしかわからない合図を送るから
光のつぶてで冠を編んで
この世界が、目まぐるしいこの世界が
つくづく目まぐるしいので振り返れば泥土でしか ....
黒は一才
生温かい
混沌
の中で
暗闇
の綻びを
手繰り寄せる
青は二才
ヒモつきの
自由
の底で
意識
は成層圏を
突き破る
黄は三才
幸せな
惰性
の ....
うたいましょう
レモネードのためのレモンを切って
おおきめの翼はえて
少し痛いから
目をふさぎましょう
朝のひかりは
あんまりまぶしすぎるから
おさげに結った髪はねて
バゲット ....
なんちゃってグミかんで
なんちゃって空ながめてる
俺の手は乾いた床を拭いているから
床のかたまりを拭いているから
俺から離れようとしない
困ったもんだぜ
俺はすっかり歯槽膿漏で ....
{引用=
麻酔の切れた
風見鶏は
錆びついた羽で
取り戻したくて
逆回りを始める
けれど
優秀な風見鶏は
一度たりとも
選択肢を誤ったことは
なかったので
わからなかった
西な ....
象といっしょに
列車を待ってる
朝からの温かな風が
服の繊維をすり抜けて
僕のところにも届く
こうして春になっていくんだね
明日はまた寒くなって
雪が降るそうだ
昔、象 ....
物心ついてから
ひとりだという気持ちが強い
家族や友人や物や時間
のあるなしに関係なく
ただ自分の癖として
ひとりだという気持ちが強い
楽しい場所にいても
好きな人の隣にいても
....
憧れのギタリストの趣味は釣りで
彼の憧れはある釣り師だ
ヒーローにもヒーローがいて
みんな誰かと2ショット撮りたがってる
ピースなんか決めて
口角をずるりと上げて
夢の世界で居眠り
....
水深五千メートルの深海
あたしの心は沈んだまま
光の届かないそこを
闊歩する。
太陽光の届かないそこでは
光合成を
できなくなった植物が
みどり色するのを
やめた。 ....
今年
いちばんの正直者が
各地で猛威を振るっています
不満なことには覆いをせずに
可笑しいことなら囲いをはずし
感じたことを
感じたままに
まもなく
無上のわか ....
波打ち際の流木に
白いワンピースの後姿
沖に向かって風が吹いたとき
彼女の瞳は
黒曜石のように輝き始める
白のスカートを翻して海を渡り
愛した故郷の港や島影が遠くなると
こ ....
貴方の
意味なんてない
と挑発する詩を読んで
心が
ざわっと動いて
コメントを書いていたはずだった
のに
手元が狂って
書いている途中で消してしまった
あぁ、なんだよ
....
腐葉土の匂いを吸い込んでくすぐったそうに走る少年の汗に濡れた慎み深い爪先は自分の重みがたしかに土を撒き上げてしまうことを恥らっているのか二三歩踏み出すごとにきゅっと小さな親指を丸め込むので伸ばしっぱな ....
太陽を解体した
肉と光沢だった
肉は森になり
海と川は光沢から作られた
太陽のあった場所は
瞳に焼き付き
ずっと円く光って照らした
そういうものだっ ....
電車が
夜になると光るのは
恋をしているからよ
夜の街を
急ぐように駆け抜ける列車の
まっすぐな光の筋
あのカタブツが
淡く夜光するさまは
なんともいじらしい
だから ....
心臓にも
記憶があるらしいんです、と
その透明な
心臓をもつ少女は言った
にくたいが
ほろびてもまだ
記憶というたしかなものが
あったとは
わたしは思って
しかし
何 ....
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