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うすべにいろの水を湛えた浴槽に浮かぶ君の肌から
剥がれ落ちていくはなびらを拾い集めるうろこのない蛇は
白く汚れた脈打つ肌を隠すように染めた恥じらいの色を
閉じた瞼から滲んだ泡のまるいかたちを覚え ....
下稲田の辻にくたびれた枝が
あちらと指をさすので見ると
地蔵の首がおちている
拾いあげるとちょうど
赤ん坊の頭くらいの目方で
どこかおもかげもある
枯野には犬とも猫ともつかぬ尾が
....
べつに
どうということはない
どうということはない
どうということはない
どうということはない
どうということはないものが
日暮し座敷で首を伸ばして
どうということはないものを
ど ....
「The end of end」
いつも、夜が明ける頃には羽ばたいている、僕の羽。
(小さな卵の中の、予め雛鳥と記述された雛鳥)
いつも、夜が明ける頃にはふるえている、僕の羽。
....
行き過ぎて ふと振り返る 向日葵の黒
路面電車の響きにそして 忘れるということは
始まり 終われなかった 風のまにまに
匂う いつも通り過ぎてから気づく
ほかに ほしいものなんて な、い
並 ....
六月の陽が射して
雲を払い
風は流れて
雨が上がる
濡れたままの
あなたとわたしは
ひとりと
ひとりで
ふたりだった
ふたつ並んだ足跡を
ひとつひとつ消しながら
終わ ....
行き会へる不幸を悼むものあれど
生まれの幸を思うものなし
*
嗚呼
漸く伸ばしたって泥濘みの底の
銀色が三日月の切先なら
それで何に成るわけでもなし
虚の中は暖 ....
ねんねんころりよ ねんねこよ
ぼうやよいこだ ねんねしな
おちおち山のやや猫は
何が悲しゅうて鳴いてやる
腹を空かせてひもじいと
おととが欲しくて鳴いてやる
腹は水ではふくれぬと
お ....