劣情
古月

うすべにいろの水を湛えた浴槽に浮かぶ君の肌から
剥がれ落ちていくはなびらを拾い集めるうろこのない蛇は
白く汚れた脈打つ肌を隠すように染めた恥じらいの色を
閉じた瞼から滲んだ泡のまるいかたちを覚えている

 *

君に生まれる前の君が見る夢の続きに君が選んだ
十八年前の六月の雨の夜に君を生む女になりたい


自由詩 劣情 Copyright 古月 2010-11-16 00:32:58
notebook Home 戻る