松を焼く
古月

下稲田の辻にくたびれた枝が
あちらと指をさすので見ると
地蔵の首がおちている

拾いあげるとちょうど
赤ん坊の頭くらいの目方で
どこかおもかげもある

枯野には犬とも猫ともつかぬ尾が
いくつもいくつも燃えながら揺れて
稲田から焼きだされた女子供が蹲り
互いの爛れた指を絡める

そうしたものを見てきたのだと
赤いまえかけが揺れている
それもひとたび通り過ぎれば
もう煙とも影ともつかない


自由詩 松を焼く Copyright 古月 2010-09-10 17:21:21
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