いつも掬おうとして
指の間からこぼれ落ちていく
はらり はらりと
そんなふうに
掬いそこなったものが
ゆるゆると
私たちをほどいて
別のものにしていってしまう
階段をのぼる足音の
海をさかのぼる
波音が今
わたしの深い
大陸棚に
ぶつかる音がして
なにも見つからない
ちいさく
広がるだけの星が
こぼれる秋
虫の声が燃えている
理 ....
明日は皆既月食
もしも
ほんとに地球が
月を食べちゃったら
悲しいね
月のうさぎも
いなくなっちゃう
夜空に光も
なくなっちゃう
願い事も
できなくなっちゃう
....
さよなら、さよなら、
記憶を解き放って
遠ざかる夏の
四角く切り取られた 空
枠からはみだした場所では
かなしみによく似た顔の
ぼくたちが
今も、酸欠になっている
....
夕焼け
いかしたBGM
うさ晴らしの光
カルテ
精神に吹いた風
悲しくて熱い恋
瞳とおなじ色の
肌を逢わすとスープ
魂で飲みほすよ
夕焼け ....
あの人の掌から零れ落ちる
たくさんの真実を
この胸いっぱいに受け止める
不自然な凹みを埋めるように
降りしきる砂の雨
継母の喫煙
見つめている
あたしの喫煙越しに
扇風機の
あおい羽根越しに
りんごの木
ふしぎな果実
かしっ、かしっ、
あたしたちはさ迷う
....
生きてても
亡くなってても
会いたいひとが
たくさんいる。
もう二度と
会えないひとばかりで。
会いたい気持ちを
持て余す。
持て余す。
写真を見ても 何も思わなくなった
ああ これが終わりなのかなって
君の声ももう思い出せない
ああ これが終わりなのかなって
君が僕に言ってくれた事 思い出せない
....
コノゴロ巷デ流行ルモノ
恋スル乙女ノ消失
猛暑ユエ蒸発ノ可能性アリ
マコト 忌々シキ事態デアル
まったく、全然興味が無い文面が、どの新聞を見てもズラズ ....
クローバの葉っぱは何枚ある
友情 愛情 信じる心
三つそろえて生えていた
草むらの中で 私の心に
そっとつんでは 心の糧に
そっと愛でては 育んだ
時々見つける四つ葉のクローバ
....
電車にのるんすき
でんしゃできみの町をとおるんがすきやねんけど
僕がいくら手を振ってても
きみにはオレンジとか青とかの
きれいな線にしか見えへんやんなあ
みえへんやんなあ
銀幕の中
貴女に焦がれる
紙コップを手に
今日もぶらつく街中
オレンジジュースの曲がり角
毎夜飲み干す
ぬるい橙
宇宙のツツジの咲くあの丘で
水晶の風が吹いたら目を覚まして
この夢はここにしか咲かないから
朝焼けを待たないで羽ばたいて
君の中で
孵化していく翼
歪んだ夜の積る
群 ....
地下鉄のホームで
女子高生がケータイで喋っている
と思ったのだが
よく見てみると 女子高生のように見えたのは
等身大の女子高生型ケータイストラップで
空中に浮いたケータイからは
小さなノイ ....
一月は行く
二月は逃げる
三月は去る
八月は破裂する
線上を歩く
ウサギを抱きかかえて
その温もりを守るようにして
線上を歩いていく
踏み外せば
終わり
破裂する八 ....
ゆっくりと水位が下がる速さで
湯船の底に
夜がすいこまれていく
排水溝を通り抜けた夜が
ひんやりと
海まで流れて
水面で
光とすれ違った。
その
速度を捕まえて
ポケットに ....
髪を 切った 襟足の ひみつ から
娘たちは 飛んで ゆくと いう
純朴な 神話が 解かれて いる
風祭を 孕んだ {ルビ帆用飛行艇=はんようひこうてい}の 陶酔は
....
「さざなぐ海へ」
Runaku Masaki* Zakuroishi* Fujko*Rin Kazanagi
蒼低く岸辺に寄せる夜想曲(ノクターン)傷みをけして、染める ....
古ぼけた鏡から
昔を掬い上げ
じっと見つめるeye
モノクロでもセピアでもない
フルカラーの過去は…潰えた夢
鮮やかで
甘美な
遠い日の記憶
手のひらの過去
二 ....
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