父が逝ってしまったあとも
私たちは変わらなかった
私は
時々メールを送る
ふるさとの母に宛て
その辺の草木とか
カシャリ、と撮って
しばらくして
母が大げさに
電話をして ....
水彩色に帯びた夏
ここは水槽の街
泳いでいくよ
君の街まで
泳いでいくよ
君の部屋まで
こんな暑さじゃ
どうかしてる
こんな暑さじゃ
どうか ....
夏休み
なんかいめかの
花火をする
お盆さえ
いっしょにいてやれなかった
贖罪を
火にくべる
はなやかな花火のあとに
さっきした
線香花火
....
鮮やか
鮮やか
眼も眩む青空に
吊るされた虹
くっきりと
痛いほど
焼き付けて
きつく瞑ると
眼の奥で
青が
けものみたいに
震えている
やさしみの
さかなが
しずかに
みなもをおよぐ
やわらかな
さざなみは
しあわせなきおくを
みたそうとする
やきつくされたあさ
さいれんがなりひびく
しきはまた ....
行って参ります母上
直ちに参ります父上
憎い青空と都が笑う音が
混じって溶合う未来へ行進する
ああ 君はまだ追憶の中には居ない
目を開けて
腕よ脚よ 生きているか
眼よ脳よ 息を ....
はじめてラブと出逢ったのは
新宿歌舞伎町にあるペットショップ
狭い檻のなかで怯えるように震えていた
あなたの瞳をみつめた瞬間から
ラブ
わたしたちはあなたの虜になってしまう
思わず ....
さよなら、さよなら、
記憶を解き放って
遠ざかる夏の
四角く切り取られた 空
枠からはみだした場所では
かなしみによく似た顔の
ぼくたちが
今も、酸欠になっている
....
骨だけになったさかなのように
あいつらはしんでる
疲れちゃって ねえ
なんもないの ねえ
気づいちゃったの?
わかってるの?
細胞が分裂
小刻みに震えるからだ
あたま 割れ ....
寂しいと泣いた夜
あなたはゆっくり 笑った
大丈夫
空に帰ったんだ
また 会える
海じゃなくて空
聞き返したら
頷いたね
海は生まれて来るところだもの
....
涙が流れて色になる
どんなことであれ
何か一つのことができるまで
寒くて凍えそうになっても
暑くて動けなくなりかけても
泣くことを我慢して
ようやく成し遂げる
その時になって
自然 ....
月光も揺らるや海の真ん中で無き夢となり朝日を待つか
一人では死にきれぬ故か入り来た部屋の夜虫をまずは殺して
寂しくも悲しくもないよただ、ただ暗闇がずんと来るだけ ....
誰も
さよならを言わない
誰も、何も、言わない
*
ジ、
ただ
重々しい青へ、空の、青へ
弾け散るように飛び立った蝉の
既にこげ ....
ふやけた雲が泳ぐ
夏色の空
ひとり膝を抱えて
鉛筆転がして
網戸透けて
優しい風が吹く
揺れるタオル
踊る葉っぱ
向日葵はないけれど
気紛れな猫も
すやすやおやす ....
DIVA
響きのないところに唄は産まれ
伝えようとしている。
幾つかはこぼれ
すでに無くなったのだとして、
ひとつひとつ、
朝日に撫でられて ....
炭酸水のぷちぷち 弾け飛んだ泡つぶが
空へ昇って星になったら
一等星の青がソーダ水になって
ぷちぷち ぷちぷち 泡の星を撒き散らす
夜空が星で埋めつくされたら
僕のコップは薄い青のソーダ ....
少年は
蒼に包まれて
抵抗せずに
溶けてゆく
いつのまにか
空の彩りの中を
およいでいた
どこまでも、
上昇気流にのって
からまりながら
何も言わずに
空を、
....
あるときから まいにちが
惰性になる 歳月は
ほどかれて だれのものでもない
くちびるの ふるさとへ
錘をおろしに かえる
人を殺すことを考えても良いけど。
感動させられることも出来るんだから。
水中ではうたもうたえない
だけど泣いたってわからない
ささやかなゆれはわたしの体温になって
さかなたちの集うよるがくれば
ふやけた指先からあふれていく
あらゆる目線の延長上 ....
夏は
山がすこし高くなる
祖父は麦藁帽子をとって頭をかいた
わしには何もないきに
あん山ば
おまえにやっとよ
そんな話を彼女にしたら
彼女の耳の中には海があると言った
....
夏の渓谷
そろりそろりと川の水へ
足を踏み入れる
心地よい冷たさが体の中へ
冷房の涼しさとは違う
透き通る水底には
兄弟なのか姉妹なのか
小魚が二匹泳いでる
夏の渓谷
どこから流 ....
かなしい
さびしい
つらい
くるしい
どんなにならべても
ぼくのきもちにはちかづかない
幼い頃、年明けには凧上げ。
冷たい北風の中、
小さな手で一生懸命糸にしがみついていた。
その手からざぁっと凧を連れ去ったあの風は、
友達がほしかったのでしょうか。
桜咲く春の日。
鬼ご ....
所狭しと立ち並ぶ家々を見ると
さながら箱庭のよう
走りゆく電車をみれば
そこは鉄道模型の世界
久しぶりに感じた鳥の視点
僕の心は夕焼け空に溶けてった
{引用=
1997
....
白いプラスチックの大きな箱の中で
さっきから火事
もうもうとグレーの煙
激しい咳き込み
箱の下からは
ちょろりちょろりと流れ
とても清そう
ひとくち飲んでみたい
箱の上空では
....
すごーく久しぶりの「わたしの感想」。
自分しかポイントを入れていない詩についてあれこれ短い感想を書いていきます。
良かったら読んでください。
未詩・独白カテゴリのものはのぞいてあります。
最近 ....
明日も生きていてね
と君は言う
たとえ明後日生き返るにしても
明日君が死んでしまったら
やはりそれは悲しいから
明日も生きていてね
と君は言う
なにかをかなしがるような眼で
ど ....
蚊を次々と叩いて
殺してゆく
止まった空間
泣き叫ぶ虫ども
神への声は
湯気の向こうに消えて
届かないんだよ
蚊は、たたずんでいる
かわいそうだったから
潰した蚊を
空 ....
日々の砂漠に
埋没された
わたしは一本の指
墓標のように立ちながら
指の腹にひろがる指紋は
いつからか
一つの瞳となり
遠くから荷物を背負い
こちらに向かって歩いて ....
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