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切り刻め
春を
芽吹きを
生え初めたばかりのあわい下草を

切り裂け
よく研いだ鉈で
大地を
老いぼれた大樹を
枯れながらまだ生にしがみつく老骨を

一刀両断されたきみの住まいに ....
水時計は五色、
薄紅、薄青、亜麻色、鈍色、萌黄、
途方もなく贅沢な時計、

薄紅ならば奥方さま、
薄青ならば二の奥さま、
亜麻色ならば三の奥さま、
鈍色ならばあたし、
萌黄ならばあなた ....
あてどない という言葉と
鍵 という言葉
ばかり頭に浮かんで
要するにわけがわかんない

風を名づける人たちに
風の色を訊ねてみた
だあれも知らなかった

なまぬるいきさらぎの曇天
 ....
ぎちぎぎりちぎちちり
湖水が夜半に凍ってゆくよりもゆっくりと
圧縮する

大木を一冊の辞書にする工場よりも残酷に
圧縮する
ちぎちちりぎちぎぎり

なんとなまっちろい頸
この白いもの ....
夜ふと目をさましたら
胸におおきな風穴があいていました
最近苦しい恋をした覚えはないので
これは病気に違いないとおもったのです

翌朝ユリノキ通りの魔女の家にゆきました
ヤブって評判だけど ....
最初に巨大なテーブルが在つた。
テーブルこそは原初の者である。

テーブルの一辺は三千{ルビ阿僧祇=あそうぎ}四千{ルビ阿僧祇=あそうぎ}であつて、
其の対角線は五千{ルビ阿僧祇=あそうぎ}、 ....
呑んだくれた父が
血まみれになって帰宅したことがある
前歯が三本折れていて
目の周りは真っ黒だった
何がおきたか怖くて聞けなかったが
父は喧嘩をするような人間ではなかった

呑んだくれた ....
白百合の季節ではないから
梅の枝を切ってきた
山の梅だから
きっと白い花が咲くだろう

ほんとのことをいえば
白い花はあんまり好きじゃない
私が好きな花は深紅の彼岸花で
それも墓地やな ....
彼等は天使なのだから自由に降りてくる
ひとは誰も彼等の姿を見ることができない
彼等に思想はない
彼等は天使であり善でも悪でもない

天使は通り過ぎる
ありとあらゆるものを刺し貫き ....
plain damageをなんて訳そうかと思い悩みながら師走の
群衆のなか歩いていた
とおもっていたとき

からっかぜが吹きすぎたプルトニウムのからっかぜが
あそこから60キロ半径にあるすべ ....
 私はもともとマンガが書きたかったヒトなんだけれど、絵がぜんぜん描けないのでやめてしまった。しかたないので小説を書こうとしたけどうまく行かない。どうしてうまく行かないかとゆーと、10枚くらい書いたとこ .... 世の中は変わってゆくけど、変わり方はおっそろしくのんびりしていて、どこがどう変わっていくのかよくわかんない。ちょっとずつ変わりながら繰り返し繰り返し続いてゆくボレロのよう。詩もそう、音楽もそう、物語も .... ゴミ箱を探してみたけどなかった
まあ当たり前なので気落ちしない
道ばたの石ころをひっくりかえしたけどなかった
これも当たり前なので気にしない

実を言えば私は知ってる
オズはあの空の彼方に ....
しらじらと明るい午後二時の浜辺
空はうんざりするほど晴れ渡り
こんちくしょー嘘だろと思うくらい雲ひとつなく
砂は一粒一粒がそれ自身の光を放ち
そのくせどれもが真っ白で
海の彼方ににじむのは伊 ....
暗い部屋で、でなければ暗い森で
そうでないなら
夜七時過ぎの町工場の隅の暗がりで
(何がなんでも、あくまでも、暗くなくてはならない)
かさり、と微かな音たてて動く物影は
ホモ・サピエンスかも ....
ぼくの名前はシニ、
でも名前なんてそんなに重要なことじゃない。

その日は朝からひどい土砂降りで、
ときどき雷も鳴っていたから、
サニはとびっきり不機嫌だった。
こんな悪い日にはきっと、
 ....
1.白馬の王子(わたしの巻き毛のリケ)

颯爽と白馬に乗って駆けてくる
巻き毛の王子は
ぶざまな小男でやぶにらみ
しかし王子がパチン!と指を鳴らせば

王子の姿は誰よりうるわしく ....
練菓子のなかの干あんずを探るように
俺はストゥーパのなかを探ってみた

縞瑪瑙がひとつ布に包まれてぽつんとあった
そんなものだそんなものなのだと
以前誰かに聞かされてはいたのだけれど
俺は ....
明日がある
と貴方が言ったので
私はすこしだけ淋しかった

いつだっけ
明日がどこにあるの
と尋ねたら
東北東
と答えたのよね
貴方は

どこからくるのか知らないけれど
明日は ....
仕事中の脳味噌はとてもヒマだ。
だからビスを締めながらあたしは考える。

一日に24時間あるわけで、A勤かB勤の場合は8時間拘束、
AB勤は16時間拘束、C勤かD勤のときは12時間拘束。
通 ....
みどりに腐った冷酷非情の都市よ
海底に眠り死を死んでいるルルイエよ
今こそ浮上せよ

われら人類の歴史は今日
終わりの序曲を奏ではじめる
狂えるアラブ人アブドゥル・アルハザードが
ネクロ ....
俺は「ありがとう」と言った。

朝起きてからずっと目の焦点が合わなくて俺は窓を開けて空は高曇りで
ノーテンキに雀が鳴いていて医者に電話をかけたら予約がいっぱいでど
うしてくれるんだ何か起きたら ....
雨がしとど降る夕方にさえ
その図書館は
虹のなないろよりも多くの色彩にあふれているのでした

花はバラ色
空は空色
木々は緑

図書館に住む少女たちは
童話の勇気ある少女のように
 ....
歌いたい歌はもう歌われた歌ばかり




聞こえないものを聞き取る見えぬ耳

自民党巨人牛肉米国貴様

手と足をもいでもできるウォーゲーム

憲法にない奉公で自衛隊

台風よ ....
髪の乱れを気になさるな。
血濡れた衣も気になさるな。
そなたは美しゅうござります。

この身はすでに腐り果て
ところどころに穴ひらき
覗く腐肉に蛆が這い。
しかあれど
まなこはかっと見 ....
早起きに過ぎる。
セミのくせに早起きに過ぎる。
年寄りみたいに早起きだ。
それとも年寄りなんだろか。

夜勤が明けて、
眩しい日射しが鬱陶しくてたまらない朝、
それでも眠らなくちゃならな ....
{引用=私イコール作者だと信じる純朴な読者は、読むな。}


夫のいびきが隣の寝室から聞こえる
ここは私の部屋で ここにあるのは私の取り分
大きな書棚 たくさんの本 オカリナ ちゃちな顕 ....
どうしましょう
幸せなのです
幸せでたまらんのです
涙も出ます

それは煙草の煙のせいかな

とにかくとてつもなく幸せなのです
不思議な気分です
ほしいものがありません
必要なも ....
ものすごく
おなかがすいているらしい

そりゃそうかもしれない
今日はバニラアイスをひとつ食べたきりだから
食欲ってどんなだっけ
胃がしくしく痛い気がするけど
これがおなかすいたというこ ....
焚き火の火を見つめながら
煙草を吸っているから
涙もくしゃみも煙のせいにできる

焚き付けの新聞紙にはテロのニュース
世の中のもめごとみんな燃やしてすっきり
なんてわけにはいかないけど
 ....
あおばさんの佐々宝砂さんおすすめリスト(296)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
冷蔵庫の扉に貼ってあったメモ- 佐々宝砂自由詩1206-3-6
冬のカナリア- 佐々宝砂自由詩6+06-2-17
それでも私は元気だよ- 佐々宝砂自由詩7*06-2-16
いろくづのなみだ- 佐々宝砂自由詩306-1-27
青猫の意見- 佐々宝砂自由詩606-1-27
蓋天宣夜- 佐々宝砂自由詩306-1-15
海に出るつもりじゃなかった- 佐々宝砂自由詩17*06-1-13
白梅- 佐々宝砂自由詩11*06-1-10
蒼白の天使- 佐々宝砂自由詩9*05-12-28
ゴン太くんとふたあり- 佐々宝砂自由詩12*05-12-13
昔の駄文「詩の人称について」- 佐々宝砂散文(批評 ...7*05-11-12
ボレロに耐える−めざせ最強ミーハー- 佐々宝砂散文(批評 ...8*05-11-10
恋に似てるけどそうじゃないもの- 佐々宝砂自由詩4*05-11-8
願望充足2- 佐々宝砂自由詩7*05-11-6
願望充足1- 佐々宝砂自由詩405-11-6
The_grasshoppers_in_the_rain- 佐々宝砂自由詩6*05-8-16
幻想の王国_あるいは_詩権神授説- 佐々宝砂自由詩505-8-16
プルシャプラの石工- 佐々宝砂自由詩4+05-8-2
明日について- 佐々宝砂自由詩9*05-8-2
ビスを締める。- 佐々宝砂自由詩11*05-8-2
クトゥルフ・フタグン- 佐々宝砂自由詩805-8-1
踏みのめらかし踏みすべり- 佐々宝砂自由詩7*05-8-1
だいだい色の童話集- 佐々宝砂自由詩12*05-7-31
普通の川柳2- 佐々宝砂川柳3*05-7-31
小塚原道行- 佐々宝砂自由詩13*05-7-28
クマゼミ(百蟲譜50)- 佐々宝砂自由詩405-7-22
鏡を割りたくなるわけ- 佐々宝砂自由詩15*05-7-16
とーとつに幸せになってしまった- 佐々宝砂自由詩10*05-7-15
本能について- 佐々宝砂自由詩6*05-7-15
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