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それは夜空に間に合うために広がっていく感情たち
受け止めてきた数々の摩擦を銀紙の画板に敷き詰めるように
あちこちで火花をおこしながら流れていく
想いたいことはたくさんあるくせに
掴めたのは ....
肉付きの薄い足はぺたぺたと
鏡張りの感情を踏みつけている
言ってはいけないことばが多すぎるから
覚えたての星座の名前を忘れていく
ユートピアの玄関口で
警備員に渡したのは虹色の砂
これ ....
もやもやの空気の中をいく宇宙船からミサイルがこぼれた
てきとうなお椀にいれて水を注ぐ
机の上に置いて、こわいものをもてあそぶ
たとえばこのひっかかりに指を差して
底から上手に抜 ....
日暮れが命を光らせる
うすい羽の滑空を
ぺらぺらぺらぺら遅らせる
何度もここで羽化をする
通り過ぎた残響を
鼻を湿らし数えてる
長い時間はプレパラートで
あたたかいのはたぶん届い ....
近所の定食屋がなくなっていた
火曜日に定休日で水曜日につぶれていた
またひとつ思い出のストックを増やして
カウンター席からの、
大きめなテレビがあった風景をかりかりと刻み始める
いつ ....
室外機のそばの窓に 白い紙から切り取った星を貼って
自分が手を伸ばせる範囲を決めている
ホームから離れた電車はたぶん季節を引き裂いて走って
夜という夜を願い事だらけにしながら傾いた
....
えんぴつが折れるまで憧れを書き続けていた
まっくろい手のひらに重さはほとんどなくて
誰かがのせてくれた飴玉の部分だけひりひりしているようだ
信号がかわるたびに思い出を切り売りしているみたい
待 ....
大きなサイロの下に身を潜めて
電柱に止まるカラスそっくりの雲を撃ち落とし続ける
大胆な予想はいつもはずれて
てきとうな優しさに骨が溶けそうだ
もしもロボットになれたら
光とか匂いに包まれ ....
あふれていくものをせき止めるすべはなく
細い腕がグラスを傾かせるたびに、
毒のカプセルを口の中で遊ばせる作業を
どろどろする部屋の、青い窓から見ている
絆創膏では隠し切れないものが、君の影 ....
この路線はもう天国へ連れていってくれないのだろうけど
わりとひらけた停留所で緑色の傘が落ちているのを見た
空き缶一つ見当たらない不自然な砦で
小銭の音が響いているだけ
七年ぶりにハチ公のた ....
窓の下には鉄の部隊が並んでいて
わたしは今日も外に出られない
大きな口をがらんとあけた
あのパラシュートみたいなものに飲み込まれる
そうすればわたし、麻を縫わなくてすむのかしら
見世物小 ....
またそういうこと言うもんだから
誰かがいろんな勘違いを始める
もともと夜行性なもんだから
朝が待ち遠しいのを知っている
端が凍った水たまり
ガスマスク着用が義務付けられた極彩色の ....
かかとを鳴らして歩きたい
早くしないと夜が来ちゃうよ
ピアノの前でうつむいた
包帯まみれの正直者も
ハサミになって帰っていくよ
暗いところの過ごし方を
人より詳しく ....
私の指はとても不器用で
目の前にあるものを掴むのに時間がかかる
だから誰かがサッと掠め盗っていってしまったり
のんびりしすぎて消えてしまったりする
ビルの谷間に逆立ちで歩いている
理想郷 ....
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