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フリルの青いふちどり 透明な金魚鉢
陽だまりに腰掛ける 丸く揺れる水
雲の尾びれが覗き込み ひとくち
指に 甘くて白い 隙間が 落ち
金網を越えて 草の上 風枕にのぼせた
黒い小石を ....
すみな めくな ゆられ
ここく ついや ほせち
ならめ ひくき とずれ
ひしま わのせ ゆゆる
こまろ みのみ こそげ
わるせ なみく のむみ
のぞむ ゆめよ はだよ
ちりに ....
飛行機が頭上を飛んで行く
被災地へ向けたものなのだろう
カタカタと揺れる余震が十日たっても続く
少しくらいでは慣れて逃げなくなってしまった
今年は大雪で 果樹 建物 いろんなものが倒れ
....
朝 出勤すると 数名の社員が玄関にいる
余震のため建物の中に入らず待っている
そろそろいいんじゃないの いいよね
いざ 建物の中に働きに行く
普通の会社の建物が凶器になる
リストラ 賃金カ ....
おい いくらだ
会社帰りのバス停で 偶然会った女友達と
ご飯を食べて帰ろうという話しになり
田舎から上京して道もよくわからなかったが
あまり混んでいない小さなお店で食事を楽しみ
会計 ....
どうして足に板をつけて
高い所から窮屈な格好で滑走して
なんにも持たないで ジャンプ台から
身 ひとつで
空 めざして
飛ぶんだろ
バランス崩したら落ちて
怪我して死ぬかもしれな ....
びゅう と風雪の中 てくん てくん
雪ん子は 雪を踏まずに てくん と
滑って 凍らせながら歩く
やがて 着いたのは 雪の露天風呂
白くてキラキラした柔らかな雪が
やさしく降りそそいで ....
砂利についた 貝ガラ どろどろ
黒く吐いた あぶくに うちあげられ
ヒレの息づく爪のかけら
まるい黒い斑点に交じる
夜毎落ちていく指噛む昼
まわした儀 どこからか溢れて
....
雪づたいに屋根に登れる
大雪の林檎畑は真っ白け
ペンペンと枝の先が雪の上に見えるのみ
どこに木があるのかもよくわからない
横に伸びた枝が雪の重みで裂けて
林檎の木が全滅してしまう
父は ....
テレビ放送を後にして
二階の部屋から そっと屋根に上がる
両手を組み合わせて
ベントラー ベントラー と祈る
星空の彼方から
ユーホーが くるはずだった
それは極秘情報であり きたとし ....
仕事をとられたといっても
それはポジションをとられたって事で
経験をとられたわけじゃない
継続が終わっても持続する力
相手はあなたであってあなたではない
与えられたポジションはいつかは消 ....
用事で呼び出されて実家に行くと
車を外に出して 車庫に雪を入れている
雪の階段を五段 降りて玄関に入る
家の前のパイプとトタンでできた車庫は
軒下の雪を登って 屋根に登れる
家の ....
雪をかきこみ スノーダンプを押す人が
車道で 私に向かって来る
降りしきる朝の通勤時間帯
信号で渋滞しては 諦める日々
安全運転しかないのだけれど
ねえ私の車に なんで真直ぐ向かってくるの
....
三年は居ると思ったのに一年で帰ってきて
高校を卒業して都会で寮生活をしながら働いて
帰りたくて故郷に帰ったけど 親は怒った
だからお前には無理だから行くなと言ったのに
どこまでも行くと ....
カラの待ち雪 棘のソリ
押し花テープ 濁す香り
えんぴつトンネル 炭のスス
あいら ぶゆう
べきっ
猫も寝ず
ネジも
春 じゃがいも種の 底
芽 トタンですべって コ ....
届かなかったと
落ちた空 みつめて
眠りこむ 雪を
春が 起こして連れて行く
ここにも そこにも
次の夜が朝から待っている
影で隠している
風の遊び道具
石に座っていた凍り ....
りんご畑の中にある家は
白い雪にくるまれて
ここから見えるのは
車庫の屋根の雪下ろしは
小学生の時の楽しみだった
冬休みともなれば一階を埋め尽くす積雪に
よじのぼり一人前にスコップを
....
体が渡っていく
時というものをとらえている
内で揺れている思いは
木霊のように 降りている
次のよりどころはあるのだろうか
でも先の事を知って なんになる
ところどころに私が居る
....
寮生活をしていた頃の事
玄関に来てくれと伝言がきた
同じ部屋の同期入社の子が大変だという
数名のいつものメンバーが見に行くと
大きな台車に 彼女がぐったり横になっている
歩けずに 意識も ....
彼の家というものに誘われたのが
初めての クリスマスの夜だった
家族に紹介するというので
料理など持参してみたり
めいっぱい緊張して気を使って
ぎくしゃくと挨拶をすませて彼の部屋に行くと
....
向こうの外にある空から
根を切られて絶えた花達が
小川のように 流れてくる
一本ずつだった者が
根を捜して彷徨って流れ歩く
土を忘れるように
水を与えられ
雨の届かない屋根の下
....
よしたあとでみつめて
うつしそびれたのどかなあおを
石の空にこすりつける
指が汚れて
しかたないとふきとる
雨が来ない
ぱちと さえぎる
空腹の火種
湿りに破れていく草 ....
一次会で帰ると言ったのである
もともとお酒に弱いうえに年である
記憶がないという事もあるので
人に迷惑をかけないうちに
体も楽なうちに帰ってくればいいのだ
そろそろ終わったかな
なんな ....
センスが凄いんだよ と嬉々として言う
十九歳の甥は トロンボーンに夢中
目標にしている人もいるらしい
学校時代は吹奏音楽一色で
働きながら地元の楽団で演奏するという道を
まっしぐらに歩んでい ....
わくを滑り こめられてた隙間を
さらして 含んでいた ガラス落下
飛んでいけない底から
落ちるというのに
割れない
まだ 割られない
居場所に残る 時間
落ちるというのに
....
匂い袋を破っても匂いは漂うように
お守りの使えない事に
包む掌は頷いていた
待っている続きにしか
使えない守り
薄めれば薄めるほど
きかなくなる
でも どこまでも薄まる事に
耐え損 ....
今年最後の林檎もぎの日は晴れて
山に建つ我が家では霜が降り冷たかったけど
生まれた家の近くの林檎畑に長靴で行くと
陽気で 草露になっている
十月の葉取りから会社の休みには手伝い
雨の日は ....
やすりをかけ
ちりちりと落とした窪みに
たたずめば 格子が黒く
白い障子が ざわざわと打ち寄せる
張り紙に のびた犬歯
月の輝きが あぶりだす獲物
小鳥は眠り
....
色使いが上手じゃないし
ぬると濃くなり はげると驚く
でも 素ッピンというわけにもいかず
無駄にタップリとクリームをつけて
ちまちまとリップなどで装い
他人様にはコードネームのような
....
叫びながらカラスの群れが飛んできた
初雪も消えて見えなくなった秋の空
会社に向かう朝の空気が緊迫する
運転しながら ちらりと眼を向ける
トンビが小さな鳥を追いかけている
死に物狂いに逃げ ....
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