すべてのおすすめ
空の鋭角
小鳥は啼く
野の終わりのしるし
小鳥は啼く
碧のようで
碧ではなく
ひろびろと
緑に傾く石
路から空まで
はばたきは水から離れない
....
高みへ 高みへ
翼をひろげる鳥の群れに
空はふちどられたままでいる
音が音をひそめながら
緑に曇る午後を見ている
離れているのに離れずに
ともに震えを待つ姿
見 ....
川の水と
海の水が
からだのなかで
縞模様に重なり
相容れるようでいて
相容れることのない
ふたつの双葉になってゆく
ゆらめく二枚の絵の前に立ち
ゆらめく水から来 ....
雑音の雲の子守歌
雪を蹴り 光る
雪を蹴り 光る
凍ることのない遠い音
夜には優しい二本の手首
朝には見えない起伏を照らす
起伏のひとつであるわたし
片方の目 ....
ひとりひとりの背に棲むものが
夜更けに互いを呼びあっている
見えないものの通り道に立ち
腕をひろげ 聴いている
夜の光の下 揺るぎないもの
幾つもの影のなか
ひとりきりのもの
....
白の白からはじまる声
ゆるくほどける水の鳥
ひろくとどまる陽の光
町に渦まく影を着せる
散る鳥 生まれる鳥の中心
人と機械の目のなかでさえ
生きた絵のように咲きひらき
....
夜の砂の上の家
花のように動いては止まる
朝になると人は戻り
少しだけ掃除をして
着替えをしては出かけてゆく
昼と午後は暑い
風と風のすきま
....
にわかには信じがたい歌と指によって
けだものは のけものは 降って来る
目にあまるけだもの
手にあまるけだもの
首を差し出せば
からみつくけだもの
出た ....