午後の手
木立 悟
高みへ 高みへ
翼をひろげる鳥の群れに
空はふちどられたままでいる
音が音をひそめながら
緑に曇る午後を見ている
離れているのに離れずに
ともに震えを待つ姿
見えないものを待つ姿
鳥のかたちをふちどる銀から
鳥のかたちの雨が降る
音を描く手は雨につながり
雨につながり
ひらいてゆく
音は緑に 手は銀に
銀は緑に 音は手に
うつり変わる光を重ね
午後は空を描いてゆく
午後は鳥を描いてゆく
自由詩
午後の手
Copyright
木立 悟
2004-05-19 17:23:44