秋めいた頃
あの丘の上に
古城があったような気がします
前に見たことあるような
なつかしい
古城があったような気がします
それから何日か経って
私の心に古城が建ちました
前 ....
階段の1番上に座って
下を見下ろす
闇に包まれて
どこへ繋がっているかは
わからない
奈落の底か もしくは底無し沼か
ため息の瞬間は
一度落として再浮上させる
ギアチェンジのようだ
うまくいかない
何度もギアを入れ直す
あなたは
うまくギアが入らないねと
やさしく言う
うまくギアが入ると
ギアが入っ ....
比べたくなるものがある
幸せの度合いとか
それぞれの人生のありようとか
ひとと比べることで見いだせるものとは
柱に刻まれた幾筋かの古傷は
生を授かった証であり
輝ける未来への歓声で ....
雨粒が
なみだみたいだなんて
陳腐ね
とても
雨滴も
落ちてしまえば
ただの雨水
なみだだって
たぶん
膿んでいることはわかっているから
なるべく開かないように
大事にしまっておくのだけれど
たまに何かの拍子で
飛び出てしまうことがあって
ぐちゃぐちゃ
びちょびちょ
ぐねぐね
赤黒い
....
近づいてゆく
風が乾いた草の匂いをはこんで
近づいてゆく
滅んでゆくものの気配を
怖がらないで足をのばし
サンダルを遠くに飛ばして
近づいてゆく
秋のサテンのやわらかな手触り
私はこの ....
{引用=
あてもない旅の
白い起伏を
さまよって
います
私が蜻蛉だった頃
あなたは
真夏が大好きなあなたに
暑いのが嫌いだと言えなくて
....
かつて潔く閉じた手紙は風を巡り
伏せられていた暦が息吹きはじめている
朽ちた扉を貫く光は
草の海を素足で歩く確かさで
白紙のページに文字を刻みはじめ
陽炎が去った午後に、わたし ....
夏の終わり
りんりんと鳴く虫の音の響く夜の淵
なまあたたかいぬめり気が
頬をなでる
セックスを終えてアパートを出た後の
このにおい
夏のにおい、のような
記憶のか ....
夕暮れのバス停で
鳥になるの、と
呟いたきみの背には
小さく
ほんの小さく、翼が生えていて
ぼくは思わず
溜め息を吐いてしまった
砂時計の砂を飲み込んで
時を止めようとしたことを ....
Quartz
震えて
終わりと
始まりのないものを
区切っていく
切り刻んで
数をあてる
なにものとも
名づけられない筈の
私より薄くて
鉄も
昼夜をも含 ....
あなたは陽のように
わたしの胸を
つつんでくれました
わたしは影となり
あなたの心で
生かされたいと願うばかりです
あなたは哀しみをまとい
それでも生きようとする姿に
光り ....
あの日
あっというまに難破した僕らは
流木にもなれずに
世界中の海に散らばった
絶え間なく打ち寄せるくらやみの音色に
安心してしまいそうな
ちいさな木片
ほんの少しの誤り
いく ....
目を覚まして
つけっぱなしの電気に
駄目駄目と首を振る扇風機
頭上ではコンポが唸ってる
抱かれない抱き枕に
足だけ投げ出して
ヨガのポーズをとってみた
ちょ ....
揺れるものが
すきだ
ぶらんこ
はっぱ
おっぱい
おしり
ぷりん
せんたくもの
くもの糸
みずたまりの青空
海のそこからみたひかり
なみだとほほえみ ....
トイレで用を足したなら
ちゃんと流す
それがおとなの対応
いくら大好きな彼のであっても
普段は決してあからさまにすることの無い
若かった頃の女性遍歴やら
誰かと何を食べたのか見せつ ....
夏は涙を流してくれない
秋
瑞々しい草木の
しなやかな手に雫を落とす
冬
食卓のある窓の
鈍色ガラスに雫を垂れる
自分たちの体温に気づいた時
季節は泣いてくれる
....
犬は閉ざされた窓から外を見上げ
うごめく棕櫚の森に耳をすませていた
そこに勝手な押しつけや創造はなく
素直な発見に頷くまで
あるいは発見がないと悟るまで
心を離すことはないのだろう
犬 ....
以前にも書いた通り、自分はこの現代詩フォーラムの投稿から
詩歴が始まる。
今まで詩を書いてこなかった自分にとって、どうやったら
詩をうまく書けるのだろう、そう思いながらあれこれと
考えていくう ....
風になった
あなた
が さする
星の瞬きは
永遠という
はかなさを
楽譜に残し
美しいなんて
残酷な想い出
聞くことのない
あなたの調べは ....
+落葉の日には
赤い色、青い色
残りの空を数えている
穏やかな日々、頬は
青く紅葉として
時間は等しく流れていく
境目に乗って遊ぶ
あなたの身体に耳を置く
....
間違ってもいない公式を
何かおかしいな
疑って消してみた
もう二度と正しい公式はたたなくなった
暗くもない部屋の電気を
何か違うな
怪しんで回してみた
もう二度と ....
ひとりで食べる夕食は
いつものように
電子レンジでチンして3分
たった3分
それでも3分
どうにも待ちきれなくて
電子レンジの前で腕組みしながら
ながめるタイマーは
永遠にカウ ....
夕刻が近づき
ネオンサインが灯り出す
歓楽街に仕事を終えたサラリーマンが
群がりだし
熱で火照った空気が放たれる
虚ろな時を友にする俺は
ありもしない物語を語っている
....
草あざみ風はどこへと吹くのやら
一人の道に時は惑いて
くちづけはブーゲンビリアあかあかと
見つめる瞳にしずむ太陽
透きとおる{ルビ項=うなじ}をみせて{ルビ月見 ....
ぼくのこの手に
あのあたたかい
陽だまりを拾うことができるなら
あなたのもとに持ってゆくよ
いのりが
ああ、
きこえない
キズだらけのあな ....
なにも伝えられない
こんな夜は
静かにあなたの詩でも読んでいよう
なにも言えない
こんな夜は
静かにあなたの歌声でも聴いていよう
今夜だけは
あなた
ひとりでい ....
匂やかにすみれ花咲く
白い星を押し{ルビ抱=いだ}き
夜の{ルビ水面=みなも} さざめきだち
{ルビ朱=あけ}にめくれてゆくまで
1 + 1 = I Love You
2 - 1 = I Miss You
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