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いつも見ていた。僕を知らない、君の後ろ姿。
ずっと前から知っている様な気がするのに、今の僕は君の事を何も知らない。
いっそ、話しかけてみようか。
だめだめ むりだ ....
時代の暗部ばかりを見つめているおまえに
癒しや救いを語ることはできない
たとえそれが99パーセントの真実だったとしても
人の心は、真実とは異なるものを求めているのだから
それが世の ....
お父さんが紙をつくってる
つくった紙を僕が並べていく
それがお父さんの廊下
なんだか淋しいところだね、と言うと
お父さんは土を持ってくる
足りないので
何回かに分けて持ってくる
だからお ....
人の背中をすり抜け
雲をひろう老人を見た
誰も見ない道端のすきまに
金物ばさみを差込み
しょっている籠に入れて ふたを閉める
満杯になったら
山の上まで引き ....
ある日の夏
空にできた波紋は
地上のあらゆるものを揺らした
緑豊かな森も
氷で覆われている山頂も
果てしなく続く海も
一日を必死で生き抜く動物も
せわしく生きる人間も
その波紋に包まれ ....
遅れて響く真昼の音が
午後をゆらりと追いかける
畏れのかたち
雲に去られた
空のかたち
緑と金が
ひらいては呼ぶ
空の端 地の辺に
呼び覚ます
呼び覚ます 火
....
雨という言葉は
雨からやってきたものではない
最近になって私が雨を知ったのは
金曜日の前の日だろうか
もっと幼少の頃から知っていたような気もするが
それまで冷たいというこ ....
赤坂
佇む
電波塔
赤い
夜にライトアップで
ドレスメイク
浜離宮
綺麗
綺麗
見とれて惚ける
赤い巨塔
登って
見たんだ
夕焼け
港区を紅く覆う夕焼け
喰われていた
....
一夜目に
魚は水底で静かに息を潜めてる
女は甘い溜息を波紋の隙に流してる
二夜目に
月の裏側から覗く女の憂い顔
空虚に穴の開いた瞳と痩せ細った指先と嘆きと嗚咽
とうに音をなくしてき ....
夢よりも 何よりも お年頃 素敵なこと
空よりも 海よりも パジャマ色 眩しい人
新しい光が 心に突き刺さる
そんな気持ちが好きだよ
ひさしぶりの電話の 声に気づか ....
風に体をあずけて
夜の海が見える場所で
れもんを浮かべた水を口にする
海から運ばれる潮風は体を少しだけ寂しくさせる
風に乗った冷たいしずくとれもんの香り
暗闇のむこうに何度も手招きをして
....
いのちでも
たましいにでもない
精神に吹いてくる風
それはどこか苛々としたもので
三郎に
虚無というものを教えることをやめなかった
鼈甲色の
瞳孔を携えている
その眼は
暇潰しにと
塵を捕らえて
いたずらに、世界を白く
光らせている
塵と塵の狭間に
取り残された僕は
四方八方に飛散する
....
森に架かった木の橋に
父は手にしたカメラを構え
木漏れ日と葉陰の揺れる{ルビ袂=たもと}に立つ
妻と娘をレンズ越しに覗いた
シャッターを押した後
肩を並べた三人の後ろ姿は
....
覗く穿孔の先
しろい魚がいて
半透明の皮膚を
鈍く光らせては
時々憂鬱そうにそらを仰いだり
恨めしく心火に身を焦がしたり
何時にか逃げてしまったけれど
伺う穿孔の先
しょう ....
「夜の守日の守に守{ルビ幸=さきは}へ賜へと 恐み恐みも白す」
踊れや 踊れ
妖かしの刻 沸きし炎
詠えや 詠え
命を灯し 導けや
黄泉路の宴
魑魅魍魎を昇華したりて ....
扉から 漏れる 白熱電灯
白檀の香 しめやかに 香り
私は この仏間に
この世のありとあらゆる
悲惨を出現させる
戦争 飢餓 病気
怒り 憎しみ 嫉妬
唱題しながら
どす ....
「 この世の外なら何処へでも ! 」
という最後の詩句を読んだわたしは
「 転居先 」について考えていたが
そんな場所は、何処にも無かった。
日常から逃れるほどに
毎夜訪れ
....
ばっぱ、こねえだ小川さんえのカッチャ飲んでら、ママはいってらお茶ッコけれ。
ママはいってらお茶ッコ?なえのごどだべ?
あれぇ、こねえだ小川さんえのカッチャ飲んでらっけしゃよ。
あやあ ....
書き人知らずの本でした
棚から引き抜き
いくつかの確かな硬貨を払い
手に入れたというのに
ふと気付けば
それを生んだ人の名は
どこにも刻まれていませんでした
家に帰り
日差しが中途 ....
食器棚の上で昼寝をしている猫のシッポが
だらりと垂れ下がっている
でもお刺身のパックを買い物袋から取り出しただけで
シッポはパタリ、パタリとゆっくり動き出す
どんな夢をみている ....
この橋を渡ると あのこの家に着くの?
--うん、そうだよ。
どうして?
--どうしてだろうね。
つながってるの?
道は、つながってるの?
--そうだね。
....
夜の気配に触れて
私の思いは
満点の星空へ解き放たれる
決してあなたの前では形にすることのない思いが
夜の冷気と慈愛の中
予期せぬ激しさで 身を起こす
果てしの無い天空に満ちた音楽 ....
工事現場に置かれた
大きな平面板は
空に流れる白い雲を見ながら
あの雲のように
自由に流れたいと思った
平らに寝そべっている自分では
風に相手にされなかった
起き上がれば
風を跳ね返し ....
酸欠気味だから
口から泡が立ち上らない
痛みは初めの内だけで
慣れてしまえば
麻痺してしまえば大丈夫だと思っていたけれど
何時まで経っても苦しい事に変わりは無い
過去にあった恥の分だけ ....
互いの心に根をはって
咲いてくる花がある
咲いた花なら散るのが定め
散った花びら互いに撒いて
毒の花でも祝福を
悲しいときには涙を注いで
楽しいときにも涙を注いで
間引いた葉っぱ ....
甘え甘えて箱入り娘
とうとう三十路ひとりきり
必死でいきないこの30年
努力しなかったこの30年
身体は衰弱し
すれすれの実態に
この支配する金
いつからか泣けなくなった
そう
残暑 ....
雨の夕暮れ
うそはまばたき
影の下
ぼくはうそつき
路面をみてごらんよ
路面を
路面を見てごらんよ
路面を
神頼み
なみだはかがやき
空の下
ぼくはうぬぶれ
....
青色と赤紫色
重たい宙をかいて 混ざり合おうとする
あの思い出
あの肌の{ルビ音=ね}
手をつないで
たよりなく握り会って
こくこくと
室温の仕業の汗をかく
夜は常に進み
太陽は ....
今の時間から親友が集まる木の上の秘密基地へ行く
夜も更けて満天の星空が顔を出している 月の時計が僕をウキウキさせる
濃密な暗闇は景色に馴染んでいて リュックを担いで夜道を全速力で走る
僕 ....
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