すべてのおすすめ
雨降る夏の若き葉に
雫結びて一つ落ち
下の葉受けてまた落ちる
その{ルビ音=ね}はまさに時のよう
雨降る夏の黒き地に
蛙這い出て一つ鳴き
雨水打たれまた当たる
その絵はまさに歌のよう ....
思い出し笑いしてる花びらの話
目があって目が散って
隠そうとしたら吹き出した
晴れた空の草むらで
花びらはまだ続いてる
散らばった四本の足に巻き付いた
始まりと終わりはいつも仲良し ....
おもてはどこですか
みぎは
ひだりは
うらがわは
問いかけるほど
しずかになるから
物言わずには
いられない
すぐにも
あしたは来るけれど
ちいさな点 ....
万里の長城の城壁を全て絵で埋める計画がある
という嘘を
昔、画家志望の少女に吹き込んだ
少女は膨大な時間を費やし
ありとあらゆる美術技法を身につけて
そんな嘘などすっかり忘れていた僕 ....
微生物くらいまで
小さくなれば、
君の一粒の涙も
大きくなるだろうか。
砂浜で寝そべる、
波の一つ一つに違いはない。
微生物になれば
波に成れるだろうか。
その ....
朗々と響きわたる
近代文学の子守唄
木漏れ陽の差す教室
初夏の午睡の時間
嬉々とした休講の掲示
なくしてしまったカレッジ・リング
合コンとい ....
私は朝からずっと観覧車に乗っています
同じところをぐるぐるぐるぐると
朝からずっと回っています
病室の窓からは
あの人がこの観覧車を見ています
そして時折絵筆を取り出しては
....
目が覚めたら、いつも通りの真っ白な天井。
うんっと伸びをして、立ち上がる。
顔を洗って、朝ごはんを作ったら、新聞を取りに行こうかな。
ゆっくりゆっくり歯を磨いて、少しずつ少しずつ目を覚ませば ....
詩 って なんだろうね?
君がぼくに訊ねる
ぼくは 脱いだばかりの
クツ下のにおいを無心に嗅いでいて
君の問いに答えられない
君の目とぼくの目とが ゆっくり重なる
たとえば 早朝の ....
フロントガラスに映る
木漏れ日をなぞって
睡眠体勢をとる
外に出てしまうと
少し、汗ばむ陽気だけれど
一つ隔てた世界では
丁度良い感じだから
上昇気流に乗って
飛ばさ ....
「ひかりの信号」
ぼくは星にいた
ひとりぼっちで
裏側には、うちがあって、
温かい家族は居て
それは幸福なことだと思うけど
何故だか
ぼくはひとり
たぶん
ほ ....
いつかメンデルがせんせいの言葉で
彼女に教えてくれたもの
にんげんにとっては
哀しい筈のもの
それはすぅいと風に揺らぎ
ふわふわ散ってしまいました
もう既にいみは曖昧
十字架 ....
その本には
わずかな言葉しか
書かれていない
けれども
見えない言葉が見えてくる
それは
未来への希望であり
人生への疲れでもあり
恋する人への思いでもある
同時にそれは
読む人が ....
山鳥は、
語りえない
ゴム、しゃぼん
せかいは いとも
かんたんに
喧嘩する
きみを ぼくは零す
しゃぼんのせかい しゃ
ぼんの せかいは 簡単に
....
取り違えられた
緑
色の壁
名前を聞かれて
「青」
と答えてしまう
投げた
配水管の中に
あいまいな
猫が
右目がつぶれてしまって
横たわっている
弧を描いたらしい
血が ....
帽子の話はひととおり終わり
白い塀が先の方まで続いています
突き当たりの干物工場を右に
道順を教えてくれる指先は節くれだっていて
足元には重いものに潰されたような
カマキリの一部が残っていま ....
空の青を一枚剥がしてみた
それでもまだ空は青かった
私は意地になってもう一枚剥がし
そして何枚も何枚も剥がした
そこには青い瞳をした少女がいて
私の嘘を全て映し出していた
....
確かめるように差し出した
金魚引換券は
手のひらの熱で
もう、よれよれだ
(ううん
(いちばん小さいのがいいの
(だって
(いちばん大きくなるでしょう?
わがま ....
壊れかけた自分の欠片
肌についた悪意が零れ落ち
散乱していく
例えるなら塵とでも名づけましょうか
俺も「世界」も汚れているのだから
殻を投げて
逃げられない籠の中で
錯乱した模様 ....
隣に座った旅人に
何処に行くのですかと聞いたらば
にこりと笑みを返された
なんだかそれがとても
尊い物のような気がして
私もご一緒していいですかと
たずねた
旅人は笑って首を振っ ....
魔法使いという名のおばあさん
今日もゆぅらり揺り椅子で
黒猫撫でてお茶飲んで
お日様相手にうたた寝してる
空飛ぶ箒に引っ掛けた
雨呼ぶ帽子もゆらゆらと
風に{ルビ戯=あ ....
裸をわしづかみにする彼のことを
ひとびとは
才能と肉体の絶倫者と呼ぶかも知れない
それは間違いだ
彫刻とは
宇宙に開いた精神の運動のことだ
あえていうならば
....
二度と交わらない運命を決めたのに
今更に揺らぐ心の奥底、君の言葉
傷付けずに愛し合えたらいいのに
お互いの希望を通すことは出来ず
どちらが諦めるしかなく
お互いに譲れぬ想いを持 ....
蝉の羽根は綺麗だね
落葉樹が真冬に
枝に張った
シャボンの虹色だ
大人になりたかったかい
ほんとうはずっと
いごこちの良いこの樹の根元で
ずっとずっと、すごしたかったろう
....
もっと早く気づけば良かったのに
今ソレを気が付いたって
手遅れであって僕にはどうすることもできず
ただこの狭き場所で立っているだけだった
まぶしすぎるくらいヒカルライト ....
休日の静かな午後
図書館で借りた
図録の頁を{ルビ捲=めく}っていた
今は亡き画家が
キャンバスに描いた野原に
ぽつんと立って
空っぽの{ルビ笊=ざる}を両手で持ち
木苺 ....
心の檻に新入りのキヲクがひとつ
不安定で今にも泣きそうな灰色のキヲク
真夜中、泣きながら作った不味いドリップコーヒー
砂糖はじゃりじゃり口のなかを汚す
熱湯注ぎながら
あーこれ頭からひっ ....
雨の向こうにも
空がある
きっと青くて
鳥が羽ばたいているに違いない
雨の向こうにも
森がある
きっとさわやかに
風が吹いているに違いない
雨の向こうにも
星がある
きっと ....
夕暮れを君と二人で歩いてく
寂しいと寂しいが並んで歩いてく
おっきな夕日が沈んでく
明日もこうしていようね
寄り添いながら僕は言う
寂しいと寂しいが並んだら
嬉しいとか温かいになる ....
世界は
ビリジアンの森
流れる
コバルトの川底
私は
クリームのカゲロウ
立ちつくし
バーントシェンナの岩
見上げてばかりの
マーマレードの木漏れ日
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