「急に泣きたくなる」
という設問を読んで
泣きそうになる
つきつめると
あふれてしまうので
空みみのふりをして
「いいえ」に丸をつける
+
淡い花のきもちになって
窓の外 ....
かくしごとなんて
はじめからなかったはずなのに
生きてると
知られたくないことの
ひとつやふたつあるものでした
できることなら
椅子に生まれて
何も思わずにただ生きて
人を支 ....
世の中って不思議だね
土もないのに葉っぱが咲いてる
きらめく夜に
月とオリオン、その他の
きょういちにち
清く正しくがんばったから
ひとびとは不思議な家族だね
....
さかなの星空はいつも
境界線でゆらめくのです
星空を落ち葉がよこぎり
岸辺のすすきも
月明かりに
にじみながら手を振って
失ってしまったときに
ひとはさかなになる
月だってゆら ....
ちちゅうでダイアモンドがつくられている
きっといまもだ
「明日やらないことがある」から」今日は、今日は
はちあわせよりもまちあわせしましょう
あるのです
たくさんあるのです
あるに ....
木枯らしが吹いて 柳が鳴く
ぐるぐるネジを巻くと 明日が育つ
ダーツ遊びで 二の腕だるい
狙い通りには 上手くできないな
時計が壊れても
太陽は昇るよ
無邪気に地球儀をま ....
勝手に灯りを消したのは誰?
まだ僕は眠たくないのに
電気を点けたようにもスイッチに手が届かない
時計の音だけが響いていた
★
辺りはすっかり静まり返っていて
月の光も雲に隠 ....
星よっつ
なかみっつ
くさったところに
見えない虫
きらり哀しみ
こぼれる夜に
もうにどと
会えないひとなんて
いるのだろうか
星よっつ
....
小学生の時
わたしは薄水色だった
黄色のハンカチ
黄色の傘
黄色のお気に入りの服
だけど、わたしは
小学生の時
薄水色だった
黄色の長靴で
水溜まりに入るのが大好きだった
....
近所の用水路で小さな魚を捕まえた
家にあった水槽に放し
部屋の日当たりの一番良いところに置いた
魚は黒く細っこくて
その頃のわたしは
なんとなくまだ幼かった
+
....
熱が下がった朝
起き上がるとまだ
少しだけ喉が痛い
でも、気にならないくらい
だから
顔を洗う
洗濯機に洗濯物を入れ
スイッチを入れる
台所の椅子に座って
湯が沸くのを待つ
....
わらっていた
こどもたちは
もう鉄塔から降りた
手のひらに
赤錆を
たくさんつけて
ひとりが
鉄錆 ....
人間関係へたくそなはずなのに
達人のように思われている違和感
逃げ出せないルーレット回っている
頭ばかりくるくるキレて
間違いがあれば素直に謝る術も
身につけている薄っぺ ....
{引用=既に知っていることをまた
振り返って
つまらないことと思い直す
夢は夢
胸に灯された光は
なんだったのか}
キンモクセイの季節と人は云う
小道の角を曲がる時感じた匂いを
記 ....
ためいきの
かず
きんもくせいの
かおり
なにかに
あやまるとするか
オレンジの
ひかりやかげ
おさなくて
かげやしない
つんとする
....
そうだね
あまりきにしない
なにがおこっても
きみがおこっても
あまりきにしない
そうだなぁ
そんなきにしない
きみがき ....
(わたしは秋
枯れゆく落ち葉のしたで
春の夢を待ち焦がれている)
北国の夏はぬるい
日焼けした肌
汗臭いTシャツ
サングラス
海と空がひと ....
実態がない
1ミリもない
あの子の必要としているのは俺じゃあ無くて
俺が必要としているのはなぜあの子なのか
そしてこのタイミングなのか
三本足の野良犬のびっこの足跡をたどる ....
そんなこともあったっけ…
あれは息子と歩んだ道
四谷大塚の教本や模試の受験票が
ジグゾーパズルのように
断片となってパラパラこぼれていく
うまくつながらないのは
終わってしまったも ....
一日が終わっていく
きょうは
1/150億年の一日
ちいさな一日
僕の一日は乾いていた
びしょ濡れだった人もいるだろう
途中で息絶えた人もいるだろう
寝過して飛ばしてしまった
....
砂浜からおーいと呼ぶけれど
友だちはもうみんな遠くへ行ってしまった
かもめかと思っていたら
船だったので
白い帆はどんどん小さくなって
水平線の向こう側へ
目的地が ....
砂を
体中の空いてる
穴に詰めていく
埋め立てた人工の砂浜の
ほつれたぬいぐるみが
さみしそうに息をしている
「あなたのコドモを産むよ」
と笑い
雨上がりの
草いきれで肺一杯にして
....
眠れない夜
詩が書きたくなった
誰かに伝えたいわけじゃない
誰かに存在を知って欲しくなった
S・O・S
愛だの世界だの大口叩いてはみたけれど
正体はただの寂しがりやなんです
....
・
めざめたら
体中が赤の水玉だらけになっていた
なんだか痒くて仕方がない
そのうえ頭皮にまで広がってるらしく
頭をかきむしらないといられない
体中かきむしっていたら
いつしかわたし ....
ゆっくりと日が沈む
みたいに
さよならを言う
もういない君とか私みたいな
消えていった
あなた
過去というものですか
陳腐だ
陳腐だ
陳腐だ
言わなくてもいいことを言い続け ....
てゆーか旅と言ったら死体を探す意味で
凪いだ東京湾の沈んでいるヘドロとか
晴海の奥の草地に放棄されている冷蔵庫の中身に十字架を切る
みたいな
永遠に浮かぶことのない人たちみたく
あ ....
暇つぶしに読んでいた夫の漫画本に
ヒミツが挟まっていた
それはちょうど主人公が
携帯電話のメールを確認している場面で
お札と同じくらいの紙切れだった
(本当のお札だったら良かったのにな)
....
気が狂っている
音声で表示されていく地図たち
がひろがってみんなしねばいい
信号待ちから動き始めた列を追っかけてくろくながくブレーキの
ながくのびながらまっすぐ中央分離帯にむかってく痕 ....
銃声が鳴り響いたもんだから
運動会でも始まったのかと思い
颯爽とクラウチングスタートを決めたんだ
だけど走ってきたのは兵隊さんで
銃口をこちらに向けるもんだから
慌てて草群に逃 ....
車に轢かれた「ただいま」があった
この持ち主はきっと
今頃帰る家がわからなくて
公園のベンチに体育座りしているのだろう
蒸し暑いこの季節になると
「ただいま」がそこいらで車に轢かれて ....
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