街路図には
方位が記されていないので
正しい道順はもうわからない


人影のないアーケイドを逆順に進めば
三番街と一番街のあいだに
二番街がない


封鎖された地下通路から
川底 ....
北インド
ウッタール・プラデッシュ州の
首都ラクナウを
北西から東南に流れる
にごり水。

ゴームティー川は
午後のつよい日差しをうけて
にぶく光る。

水牛の群れが土手の斜面にひ ....
 感情の吐露です
  それは美味いのですか
  脂がのってるのですか
  私は場違いではありませんか
  大将、
  はちまき ずれていますよ
  ずれているのは何だっけ
  そ ....
うすよごれた
鍋に
ぜんぶいれなよ
なぁ


あたたかいふりをして
わたしの隣を歩く魚
ララと呼んだ
われ鍋に閉じぶた


あれが鍋です
今はれきしのしゅんかんです
椅 ....
近くの小学校から
家路のメロディーがかすかにきこえる。
むくどりが騒ぎながら巣に帰る。
そろそろ帰ろうと思って土手に登る。

いつも歩く河原の
何度も踏みしめた砂地。
そこに蟻地獄がいる ....
野生の呼び声を真似て 空を見上げる
数えられる雲の数だけ数えられる仲間と
数えるのを待ちながら数えられない他人たち
結託して
町の廃工場でシンナーを吸う
煙突から見える空は黒い
もしくは見 ....
ちっちゃくて硬い。
鈍色にくすんだ鉄のかけら。
美しい鳴き声は持たない。
美しい模様もない。

田舎の物置の
米ぬか臭い片隅で
ただ生きてゆくために
もぞもぞと生きている。

生の ....
君とアリス・ドライブの途中
蒼い森の入り口で白い車の息があがった。
僕は
車のボンネットを開けてしたたかに朝の蒸気を浴びる
ナビ・シートでは彼女のソウルが
コールタールの音をたてているんだろ ....
西北東三方を山に囲まれ
南東は関東平野に面する内陸県
高崎から下仁田を結ぶ上信電鉄沿線
南蛇井あたりの豪農の何代目かの曽祖父の放蕩がもとで
国を追われて富岡に出てきた祖父徳太郎は
赤貧洗うが ....
 ☆山中散生「JOUER AU FEU」の場合




 
 いま私の手もとに「JOUER AU FEU」という一冊の詩集がある。このタイトル、外国語なので、もちろん読めない(笑)。が、検 ....
白黒白黒 テントに籠もる咳払い 秋の夜長の神経衰弱

七並べ アルミパイプの指定席 正面に花 照れるジョーカー

「大ちゃんの絵ができました」叔母の手による油絵を喪服で抱え

安らかに ....
わたしは、男のおかあさんと暮らしている
男のおかあさんは、働いているので忙しい
男のおかあさんは忙しいので、わたしは留守番をする
わたしは遅くまでひとりで遊んでいるので、いつも眠い

男のお ....

荒れ果てた病院の屋上に登り
からっぽの街を見下ろす
一本の蝋燭すら点らぬがらんとした暗闇が広がる
この街は死につつある
病院の各階の二百二十あるベッドは全て閉ざされ
腎臓透析室も実験室 ....
口笛が遠くまで聞こえるのは
まわりに誰もいなかったからだ
分かっていたんだろう


少女よ
どこにも行かなくていい
君が知ってる誰もかもは
どうせ君の知らない場所で笑っている


 ....
1.

洞窟は亜硫酸ガスに満ちている。
酸素濃度計は警告の悲鳴をあげ続け、
俺のマスクは目詰まりしている。
俺が生きているのはどうやら奇跡的なこと。

俺を拒み人間を拒む洞窟世界で、
 ....
はじめてのくちづけ熱くこの天も地も知ろしめさせ響け和音よ

こまぎれの短歌かたかた細切れのねぇねぇそれは美味しいですか

死者誤入されて冥土もこの世にも居場所がなくて北風となる

さぁ ....
――油膜のような色なんだ、赤にも緑にも見える。

Tはテーブルの上のカップに視線を注いだまま
落ち着かない様子で呟き口に手を当てる
僕は僕で
冠雪して間もない山なみを窓ガラス越しに見ながら
 ....
この惑星のこのあたりはそろそろ晩秋で
赤く色づきはじめたハゼの葉が
窓の外に揺れ

この惑星のこのあたりはそろそろ夕刻で
暗くなってきた室内に
パソコンの画面がまたたき
またたき

 ....
いまはただ
雨が降り
石にしみるまま
あけないおくで翳のかたちを追っている
ひがしの空だけが
ゆるやかに
くちびるをひらき
すきまから虹彩をのぞむ
わたしは
まるい眠りを
かきわけ ....
まずは詩をひとつお読みください。
著作権は切れております。

***

「琉球娘仔歌」佐藤惣之助

その黒髪の上(へ)に瓜籠やのせて
その黒髪の上に仔豚やのせて
紅藍(べに)の花よま ....
1.

鏡の中の僕が
いつまでも笑わないので

仕方なく
こっちが笑ってみたら

とたんに笑いやがった


2.

山の向こうは
雪が降っているらしい

今汽車に乗れば ....
かな小父の通夜はにぎわい
三弦と木魚 お宮の龍笛をひきあいに
かな小父の唄と三弦曲かれこれが寄って
大ざら酒瓶もたたかれる とむらいの夜
かな小父がわたしにくれる遺物 掌が
その壺の ....
(たもつ氏作「透明人間と」に寄せて)
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=271&from=listdoc.php%3Fhid%3D42%26from ....
東北の湯治場
暗く高い天井にもうもうとこもる湯気
湯に漂う吸い尽くされた乳房

東京の銭湯
午前三時
夜の女たちの化粧を溶かし込んだ湯が
白く濁る

水に集う
サバンナの象の群れ
 ....
 Fiorinaさんや原口くんや山田さんの後塵を拝するつもりは全然なかったのだが、たまたま私事が一段落して現代詩フォーラムに来てみたら、みなさま方の力作がありました。
 Fiorinaさんは「批評」 ....
山田でございます。
さて今回のお題は「酷評を超えて」お前が言うなというディスプレイ越しの突っ込みの罵声やら果ては手近なものを投げてぶつける皆様のお姿が、なにやらこの耳に聞こえ、はたまたこの目に浮かぶ ....
--僕は彼女の写真を、白く明るいハダカを忘れない
 パールの明度とオレンジの彩度
 君はマーメイド/マーマレード
 あるいは風船でいっぱいの海/渋谷/チカ

 リスカ。
 チ カ


 ....
ルルリエ
文鳥はいらないと言った

ルルリエ
いつものど飴をくれた

ルルリエ
撮った写真は壁に貼ってて

ルルリエ
浴槽に潜って笑ってた

ルルリエ
ルルリエ

ルルリ ....
一本のラインが羊を造形する、その工程は普遍化の道程を離れ手工
業の未分化へと進んでいる。進むことは進歩ではない。進むことは
退化ではない。多様化と呼ばれる分岐信仰がラインを圧迫するポイ
ント ....
子供が突然
図鑑に頬を押しつけて


「宇宙遊園地!」


と しゃべりだした

「電車」の次に
覚えた言葉だった

そうしてみると
確かに 遊園地だった

台所の妻も
 ....
片野晃司さんのおすすめリスト(295)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
空白の森- 安部行人自由詩1103-11-20
四月- 狸亭自由詩203-11-18
寿司屋にて- 嘉村奈緒自由詩6003-11-18
ララとゆく- 石川自由詩403-11-18
カゲロウ(百蟲譜6)- 佐々宝砂自由詩203-11-18
ガラガラ遊び- 黒川排除 ...自由詩303-11-18
ゾウムシ(百蟲譜4)- 佐々宝砂自由詩403-11-16
『境界船アリス・ドライブ』- 川村 透自由詩9*03-11-16
今吉とこま- 狸亭自由詩503-11-16
風のオマージュ_その7- みつべえ散文(批評 ...703-11-15
法事にて- 石原大介短歌13*03-11-15
男のおかあさん- サダアイ ...自由詩1303-11-15
死にゆくベイルートの空に光はない- 狸亭自由詩503-11-12
いつか大人になる少女達へ(おもいで)- からふ自由詩2603-11-12
白熱_リバース- 佐々宝砂自由詩503-11-8
天と地の狭間にて- 白糸雅樹短歌503-11-8
ありうべからざる色彩- 佐々宝砂自由詩403-11-3
九十億のそのつぎの- 佐々宝砂自由詩603-11-1
「しののめはあなたのなかのまるい眠りに棲む」- キキ自由詩2103-10-27
南国の娘仔たち- 佐々宝砂散文(批評 ...303-10-26
小詩集『今度食事でも。食わないと死ぬので』- ミサイル ...自由詩2003-10-24
にぎわし日- 田代深子自由詩1003-10-24
甘いウェハースのように、ほろ苦く。あるいは、循環する名付け直 ...- いとう散文(批評 ...803-10-23
風呂場に集まる女たち- 岡村明子自由詩503-10-22
「読者」偶像化計画- ななひと散文(批評 ...903-10-22
山田せばすちゃんショウ・・・何回目か忘れた(苦笑)「酷評の彼 ...- 山田せば ...散文(批評 ...703-10-22
『リスカ/チカ』- 川村 透自由詩5*03-10-16
ローカル- 林帯刀自由詩403-10-15
羊/綿羊/工場とその周辺- いとう自由詩1003-10-15
宇宙遊園地- バンブー ...自由詩403-10-15

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