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夜杖に狭間梳き
地より柔らかにうねりゆく朝もや
泊められていた火船
砥石の角をたち
白く月の望む腕に
かなえられて昇る
いだいてくれていた
ちからがぬけていく
だれのまえにもでない
ねいろで
いとしさで
ふさいでいてくれていた
もういいよ
めをかくしてくれていた
いじのわるいてが
なきむしのように ....
真っ直ぐな棒は
水面に
真っ直ぐに写らない
水は集められた檻の中でも
ゆらいでいて
少しの風にも
ついて行く
熱さがよれば熱くなり
冷たさが触れれば冷たくなり
真っ直ぐだ ....
手をのばせば はしごはゆれて
いたいけな木の棒が
うながすようにみつめる
登りはじめた私の背には
羽と
足は 鳥のようにまがり
くちばしが言葉をなくして
指が忘れていく世界の風
....
ボールペンの中
色づけされた決め事が
力を預けられなければ
生きた証をはしらせられないことと
無関係に沈黙している
トンネルに守られてる
暗闇の声達
キャップをとって
かみへ
....
火をつけた
裸ではないから あなたは
時の中へ流れて行く
服の重みに
囚われてやしないかなって
灯籠から 灯りをこする爪の音
ぼんやりとあふれてるぬくみに
口をつけて すすって ....
寝苦しい夜 はみだした足が
そろりと風を止まらせた
畳の上を這う 小さな羽虫の陰
名札をはずしたつもりになっても
はずれたくない場所がある
どこからもひ ....
体に雨があたり続けると
冷えていく寒さに
体内に取り込めば力となる水の
私とは相容れない歩みを知る
宿り木のような両手の指を暖め
握りしめる手の甲を濡らす雨と
向かい合っている体内を巡 ....
小窓が開いてる水面
くい込んでくる ヒールの流し目
セメント楽譜に 回るこぶし
フリーなの?
ロケット台からはずされる素足
雑草の お茶会に泳ぐ 雨雫
雲は いってしまった
....
ひくく香りは 風の帆を駆け上がり
瞑っているもやの巣の中
はやく運ばないと
息を つのらせてしまうから
どこかに隠れていた
泡の綿帽子が
ささやきを運んでいく
腕時計をすると
その下に洞穴ができて
取っ手のないバケツが
ピチョン ときた時のために
埋め込まれている
なげ槍の中に住み込み
解毒剤の研究をしているスルメ
永遠の若さって 日干しね ....
ドラムカンの 外にはみだしてくる
火の勢いに のまれてく
窓から見下ろした 交差点
流し込んだ 健康飲料水
一回 千円のカットだけの看板
マラソンの金メダルのテレビ放送
セルフサー ....
介添えの眠るお天気雨
ふくらませたかかと
眼を覚ませば
占いのためにだけ
花を摘めない人がいる
なくした言葉を入れる
風の器は すぐに壊れ
花の行方に問いたかったのに
ここ ....
なをかけ
そらす
わにゆれ
くいる
つつしむ
よるに
こびんの
はおと
すめない
つちに
とべない
かぜに
まつうた
うたう
はなれぬ
はると ....
枕の高さの分だけ
浮いてる孤独
しわのように
なみが 追いかけてくる
向きを変えたいけど
やっと こもってきた熱だから
隙間に入り込む外の風を
力なく拒む
しろくにごる ....
折れた枯れ枝に添ったまま
消えていく水時計を持つ土色の葉
陽射しを後にした地の床への風くぐり
通りの方から聴こえる小声
渓谷は乾き こぼれた石
切れた羽に 埋め込まれ
飛ぶ ....
地殻に居眠りする風の群れ
襟元合わせれば
擦れた羽音
すり抜けた鼓動の列の空
眠らないと 届かない宙
ひたった真昼の花の蜜 逝き
寡黙をあぶる眼に しゃがれ
かがみこんで握り ....
せとものが 乾いていく
洗った水を流す
手のとどかない
光源からのぬくもり
雇われたわけでもなく
息を 野に延ばす
図の中にいる血脈
末端を一巡り鼓動
いつか影を潰し
完 ....
凍えてしまえば
つもるものに
かけられる冷気にも
なれてしまって
記憶をなくしていくことだけが
自分へのやさしさ
ぬくもりにさえ 気を許さなければ
白い唇のまま 冬に 終えたのに ....
いえでします
と書き付けて机に置いた
小学校に とりあえず向かう
誰に叱られてだったか
何故か知っていた 家出というものを
はじめて決行した 小学一年生の時
きょろきょろみた ....
結婚が決まって 指輪を買いにいった
おもちゃみたいなアクセサリーばかりの私
緊張して店員さんに 結婚指輪をと言うと
いろいろみせてくれた
自分の指のサイズも まともに知らなくて
次々に ....
花の咲いた間だけ
とげに触れぬように
見張るように透明なコップに
移し変えたのは
空の下で枯れるすべての事から
逃げるためですか
守るためですか
とげよりもおそろしい指で
....
爪の丸みさえ
新しい希望のように
削った続きは 荒々しく
ひかれて こなごななのに
刃向かいきれない
小ささえ
隠し持てる 最大の武器にして
地図のいらなくなった
なつ ....
倒れたからって
いつか倒れるんだから
なんの問題もない
みえなくなっても
いつかみえなくなるんだから
逆らわない
動かないのか
動けないのか
はっきりしろ
寝たままで
....
月の 蜂つぼ
ねかせられた
宿のない小石
そらんじた沈黙
からかうような
漆黒の 隙間
吹き矢に痺れる
鈴の壊れそうな
苦みになく小声
外堀の端に 蝶が あら ....
どこから こぼれてきたのですか
雨の かがみ込んだ内で
抜けられない 靴ずれに
しみる痛み
知らないうちに 紛れ込んだ
砂の汚した 靴下
脱いで 素足になりたいけど ....
サンタになる
と 義父が言ったのは 六十歳になったあたり
子供の頃からの夢だと言い
衣装をそろえ 駄菓子を買い込み
白い布など用意したので
義母は 義父用に衣装をつめたり
白い袋にした ....
かかえこまれて
光線から隠れて
鼓動の深さに滲む
羅列
虹のような破線
こぼれる
ガラス の
底の底
あなた
立ち去りなさい
私が
自由になるのだか ....
何が 入りこんでいたのかも
突き止めては いけないものみたいに
吐き出すものに 流れて 流して
ターン するために ターンさせられ
海 の 底
開けられちまった 無口な口に
....
ち ひかす ひも くれ
も ふせて ゆく やみ
けどらせ
いけどる
くらがり
ぬけていく
かげ
とげ にぎり
さし もどす
めんたま に
うつすな
かがやき
....
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