すべてのおすすめ
秋は深まり沈澱しつつ
冬はしのんで近寄り来つつ
風が吹けば
この季節を経るための
灼けて焦げるようなにおいがする
きっと生き物たちの
魂とはいわずも
肉でも果てるときには
こんなにおい ....
母ちゃんは台所(だいどこ)飯を炊く
父ちゃんは精出し仕事する
祖父ちゃんの戯れ言聞き流し
祖母ちゃんよ天国で見てろ
嗚呼、宵や宵や
夜風よ冷たくて
何億光年先も見えそうさ ....
雨が
雨が降る
雨が降る
あぁ、雨が降る
あぁ、雨が降る
強く儚い雨が降る
どこまでも続く
いつまでも続く
雨が降る
雨が雨が雨が
....
塊を握り締める
指の間からはちきれた渦
おろし器を経て屑になっていくわたしのからだ
君のために熱をいただき、
君のために繊維をほぐそう
あたたかくやわらかくなろう
....
冬の青い空を眺めて
見えたのは
光の粒子だった
きらきらと光るその粒は
純粋な希望の輝き
冬の白い地面を眺めて
見えたのは
水の結晶だった
きらりと光るその粒は
純粋な創造の輝き ....
永劫の「時空」を甘受しているかように
風雨に耐えながら
並木の根元で寄り添い
やがて大地に帰る
枯れ葉たちょ
....
私の中で歌っていた
リズムはもう死んで
あとには振子とぜんまいが
解体工場の鉄くず同然に
ゆっくりと瞬目しながら
光の中に溶け出していくのだった
....
はるは さくらのおちるそくどでやはり
おちていく
はるに かぜをまとった やどなしびとと
おなじ ことばで
おちていく
夜の母校に忍び込んで
安い酒を飲みながら
グラスを窓から落として割る
黒板に一筋の白線
暗闇を引き裂く流れ星
先生、わたし正しい答えなんて、大人になっても分かりませんでし ....
唇についた生クリームと
コーラの泡を
知らないふりで、だからにやにやした
帰り道の電灯の下で
蒸発していく我々の影が
気づかれないうちにこっそり
合図したの
いまだ! ....
劣等感は持つだけ無駄だった
てか
これ以上は持てないのだ
表面張力で
あふれる寸前のコップみたいに
で
あふれてみたら
たいしたことなかった
テーブルが少し濡れました
みんなトゲ ....
紅を差そう
朱色の布をまとわせただけの軽い体を起こして
襖の向こうでは三味線と声
硬い布団と一緒に沈んでいく長い黒髪
艶やかな声
媚びる声
細く白い足の影が
いくつもこの小部屋の ....
メガトンハンマー持って
彼氏を追いかけるあの子
素直な気持ちになれなくて
ハイハットのペダルロール
運命の扉が今開かれる
どんな出来事が起るか分らない
ゴングが鳴り響く
右か左か選択 ....
公園に散歩に行くと
楽しげに飛び回る犬を横目に
足下のシロツメクサを見つめてしまう
あ、もしかして四葉かもと
思わずかがみ込んで
でも滅多な事では見つかりはしない
三つ葉が普通で四葉は ....
めをふせたまま
ぐったりしたきみ
りかいできない
あいことばをいって
いちじくに
のみこまれて
こうこつとしたよる
とぎすまされた
でんとうのひもが
する ....
部屋の隅に蹲り、彼女が一人泣いている。
瞳から零れ落ちた涙は頬を伝って
コロリ
と小さな真珠になった。
右目から
コロリ
左目からも
コロリ
....
人肌のぬめり
満ち足りた舌
極彩色が
降り来る
清涼な 愛
濃密な 霧
金色の 雲
漂いの快楽
そしてその髪を濡らした
広まる 幽体
聞こえる楽の音
色 ....
冷たい風は
そのまま冷たくて
ぼくの身体を凍えさせてゆくけれど
この寒さを乗り越えなくてはと
ぼくを熱くする
冷たい風は
さらに強くなって
ぼくの身体を固めてゆくけれど
この辛さを ....
世界の果てって行ったことあるかい?
先週もソコに行ってきたんだ
家族連れやらなんやらで
てんやわんやの大騒ぎさ
広い大地
燦々と降り注ぐ太陽
きれいな瞳
そして心
....
{ルビ銅=あかゞね}の地に影なす禿げ山は峙ち
ひと足もふた足も早く夜を招き入れる
時のか細き尾は見え隠れを続け
遠くより線路の軋む音が届く ....
ねぇ、どうして海が碧いのか知ってる??
それはね、空の蒼が映っているからだよ。
じゃぁ、どうして空が蒼いのか、知ってる??
そうだね、きっと、世の中の全ての悲しみを知っているからだよ。
....
「お前はヒーローじゃないんだよ。」
会社の上司によく言われる。
芋焼酎の甘美な力を借りて。
人生について語るとしばしば指摘を受ける。
積極的にヒーローになろうとしては ....
中途半端な気持ちに乾杯
緊張してお腹痛くて
5時に目が覚め
投げやりになれない
伝えたけど
肝心の事は
言えなかった。
だから
ラブレター書いた。
来週中には
多分静心無く ....
何が 入りこんでいたのかも
突き止めては いけないものみたいに
吐き出すものに 流れて 流して
ターン するために ターンさせられ
海 の 底
開けられちまった 無口な口に
....
1.永遠の序章
(総論)
一人の少女が白い股から、鮮血を流してゆく、
夕暮れに、
今日も一つの真珠を、老女は丁寧に外してゆく。
それは来るべき季節への練習として、
周到に用意されて ....
太陽が丹前の雲をぬぐうようにして
南まどのガラスを黄色に染める
きょうは北風のご機嫌がいいのだろう
プロムナードの並木のかげもあざやかだ
....
小さい頃は
家の絵ばかり描いていた
庭付き一戸建て
という物質が
人生の最終形態であると
そう思っていた
今でも
画用紙を与えられれば
わたしは庭付き一戸建ての絵を
あの頃より
....
幹に巻きつけられた
青白い麦球は
今年も
明滅を繰り返す
流れる光は
高い空に昇って
どこへ
すれ違う流れに
爪先を探す男は
今年も
うずくまる
染みだらけのジャンバーを
....
あおいそらをおなかいっぱいすいこむと
こころがうわぁんと大きく広がっていく
そう、自分が空と同化していく感じかな
はっぱや樹々とお揃いで空の下が大好き
ピッポッパッ♪ミ ....
初めて彼の実家にお邪魔したとき感じた
他のひとにとっては些細なこと
それでいて我慢出来ないこと
緊張して過敏になっていた訳じゃない
踏み入れてはならないもの
その家の家族だけが安らげる
ど ....
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