昨日と同じ色の朝の
昨日と同じ匂いの時間に
気紛れに買ってしまった
オリーブグリーンの傘を開く
慣れきった慌しさのほとりに
淡い緑色の翳が落ちて
治りきらないささくれの端を ....
窓ガラス滴る雫数えては不実な愛を嘆き悲しむ
雨の中傘もささずに飛び出せば君に出会えるそんな気がした
レインボウ追いかけて行くよどこまでもいつか君にたどり着くまで
紫陽花の冷たい青は君 ....
扉が
壁になった
観音開きの合わせ目には一ミリの窪みもなく
錠前も、蝶番もなく
光も、ざわめきも、向こう側の気配はなく
ひた駆けてきたあなたの
汗と、一千万秒が
消散した その静寂で
....
日常の底辺を二つに割って
その間を流れる河で泳ぐこと
海に出ること 叫ぶこと
朝も夜もない北へ向かって傷む
幾つもの舟は
弾性限界を突破して
大破した
塵となり
風に巻かれた星屑
....
貴方の小指は運命を匂わせ
貴方の薬指は証を嵌めて
貴方の中指は私を慰めて
貴方の人差指は罪を弾劾した
苦手ってわけじゃないんだけど
それでもやっぱし
う〜ん
苦手ってことなのかな
毎年この時期に行われるんだよね
以前は建物の裏口に横付けされた検診車のなかで行われていたんだけど
この ....
六月に雨が降る きっと降るよ
君の言葉は正しくて六月には雨が
どしゃぶりの雨でもう君の声は聞こえない、聞こえない
雨のせいだね 朝起きても君がいない
雨はまだ降っていて部屋の中は湿っぽい
....
たっぷりの熱湯の中に
捨て台詞を少々加えて
マカロニを入れる
いつまでも未練がましく
くっつかないように
十分注意しながら
再び立ち直れるまで
何回か掻き混ぜる
アルデンテ ....
海岸からは海岸が見えなくて
これでは砂漠と同じです、あなた
水があるだけよ
ただ水があるだけの砂漠よ
遥か 第五感界の外の霧を掴むには
衰弱するのがよいと聞きました
あちらこちらに船を ....
膝に水が溜まって、それは病気らしかった。
水溜まりは風が吹けば川なのに
穴を開ける その すすめ
だから天井から水滴が落ちてくるのだな この商店は
限りなく0に近い1になって勘定の対象 ....
角砂糖をひとつ
昨日の夕焼けに落とした
レモンだけじゃ
辛すぎるかもしれないし
ただなんとなく
作り笑いをひとつ
一昨日の捨て台詞に添えた
当って砕けただけじゃ
苦すぎるかもし ....
繋がって
また
諦めた
歯がゆさで
ワンマン電車が走っていく
わたしの
肯定を知りたい
たくさんの競争心を
おぼえたふりをしていたらしい
甘やかされている時間にはふと
だれ ....
世界に追いつけないでいるわたしに、椅子が用意され
明日という不在について語れと言う
目を閉じたときにだけ、
かつて捨ててきた言葉たちが 戻ってくる
根を、そこここに生やしては 日々 ....
まだ名づけられていない、
連続する瞬間で構成された時間を
拾い集めつづけても
綴じるためのすべを、忘れてしまった
わたしたちは、かわるがわるに
世界を四角く切り取ったり
はが ....
日向
欠伸をしている わたしの
弛緩したくちびるに
消防士が侵入をする
繊細な内臓
大音量のなかで わたしの
太陽が鎮火した
焦げ臭い
拒むきみを探るゴムホースの舌
ちろちろと ま ....
気づいたときには、わたしが
わたしという輪郭に 縫いしろを足して
日常から切りとられていた
景色はいつも、ひどく透明なので
ふりかえっても もう
戻るべき箇所を、確かめることができない ....
わたしのあげた小さな声を
今か今かと待ちかねていたかのように
彼はわたしの身体からそそくさと出て行った
愛し合う余韻に浸ることもなく
そして満ちはじめようとした潮の流れが
素っ気なく沖合 ....
さようなら、の向こうで
夢、夢の花が揺れる
その花びらの裏側で
思い出が溜め息をつく
生きて行くことは
分かれ道の連なり
傍らをゆく風さえ
その地図を知らない
今日にうたえば
....
多摩川に架かる鉄橋を渡りきる頃
メールの着信を知らせる携帯の光が走る
両親も恋人と認める彼からのメール
簡潔な朝の挨拶に優しさ溢れる短いことば
先輩は幸せ過ぎるから
傍から見ると憂鬱 ....
何をどこに忘れたのですか?
駅の係員は開いた記録簿に目を落とし尋ねた
普段から乗りなれた通勤電車
それなのに今夜は何かが確かに違っていた
勧められるまま飲んでしまった新年会
赤ら顔の同僚 ....
さらりさらさら、刻の砂
さらら、今日の出口は見つからず
さらり、昨日の砂は無い
時計のなかでは
あどけない頬が
片隅にほんのりと笑っており
記憶の岸辺に
くすくすと
無邪気な声 ....
サディスティックな檸檬をいたぶって
サディスティックな快楽を!
サディスティックな刺激を含んだ果汁を
搾り取れるだけ搾ってやろう
青く分厚い果皮にカッターナイフで切りこみ入れて
透き通っ ....
わたしのたいせつな彼氏
ちょっと太めで
なんだか見た目はイマイチだけど
ひたむきって感じの横顔が
とても好きなんだ
でもね
困っちゃうんだよね
おんなの子はこうあるべきだという信念
....
顔が
いい感じで
寝転んだ姿が
可愛くて
何を考えているのか
よくわからなかったけど
ちょっと好きだった
京王線が好きで
就職したら
千歳烏山あたりで
一緒に暮らそうって
言 ....
お姫様が
何でも許してくれる王子に
浮気を告白しました
それを聞いた王子様は
持っていた剣で
お姫様を
刺し殺しました
「許してあげるよ」
そう言いながら
古風な恋愛をしたいって
女優さんが言っていたような気がする
三歩下がって師の影踏まず
じゃなくて
それは夫唱婦随ってやつだよね
男尊女卑だと指差されそう
でもね
ちょっと考え ....
最低のことをしているという
自覚は一応あった
でも相手は男の子なんだから
これくらいいいかっていう気持ちもあった
恋がダメになるたび
手近にいた
誰かに手を出した
「今夜は一緒にいてね」 ....
昨夜は仙台で大きな花火大会がありました。
わたしは東京からのお客さんと一緒に、西公園という大変混雑している場所の片隅で、たこ焼きとビールを片手に、跳ね回る子供を叱りつけながら花火を鑑賞していたわけな ....
蒼く染まった心が ね
時々紅く点滅して ね
泣きじゃくる
幼い子供のように
わけもなく
夜の帳の中で ね
あなたが抱きしめてくれて ね
点滅した赤が ね
ゆっくり蒼に戻 ....
散文的であるかも知れない
晴れ間を見つける
こころはいつも
古くはならない
あたらしくもならない
それが空なら
繰り返すものごとに
少しだけ優しくなれそうな
そんな気が ....
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