交絡
伊月りさ

日向
欠伸をしている わたしの
弛緩したくちびるに
消防士が侵入をする
繊細な内臓
大音量のなかで わたしの
太陽が鎮火した
 焦げ臭い
拒むきみを探るゴムホースの舌
ちろちろと また
燃上した肉体が海に沈められている
びしょびしょになっている
 焦げ臭い
炭化したゴムホースの気管

創生 そうして 破壊する
きみは神様になられたようだが
殺したいのなら死ねばいいのだよ
殺したいのなら死ねばいいのだよ
小惑星をひとつずつ握り潰している
理不尽な手、ねえ、
わたしを殺したいならきみが死ねばいいんだよ

境界線は溶解して
巨大な岩になっていく
消火活動に勤しむ きみが
とぐろを巻いた
わたしの宇宙は膨張して
濡れそぼった黒い塊がゆっくりと回転しながら
震えている
この地層、
この大気、
この動植物、
この血液の炎上、
このやわらかな唇がかたく閉ざされて
終わりました
プランクトンが集まって
言語の死骸を解体している

きみの
長い粘膜による火傷で
日が昇っていきます
逞しい背中は出勤しようと
ゴムホースのネクタイでやっと窒息して
終わります
終わります
そうして わたしはまた
始まりました


自由詩 交絡 Copyright 伊月りさ 2008-12-10 01:09:57
notebook Home 戻る