草の葉を噛みながら進んだ
狡猾な蟐蛾の三日月の下
浸潤する夜の裳裾とたわむれ
潮風に臭気をさらして干乾びる
蛇行する隘路の果てには
屠られた白き幽愁
高波に洗われるト ....
献血に行ったら
貴方の血は夕焼けなので
輸血用には使えません
と
断られたことがある
16歳の頃の話だ
『血液奇談』
今は何の因果か
私は血液職員として献血車に乗り ....
ほつれた糸はよるをゆく
いつか
余裕をうしなえば
たやすく降られてしまうから
どの肩も
つかれつかれて
しなだれてしまう
うらも
おもても
やわらかいのに
ひとつの ....
火星と木星の
間の小惑星で君に会いたい
そしてそこから
地球を見たい
地球はどんなに小さいのだろう
宇宙空間は
どんなに青いのだろう
世の中に横行する
様々な言説
人はそれぞれの物語を
生きている
今
星はまたたいて
夜の闇は
いやがおうにも澄んでいく
心は澄んでいくのに
内部は充実していく
ほとんどの言 ....
おしまいの日がくるから
もういかなくちゃ
たくさん あそんだ
散らかったカード
クレヨン
すべてが
中途半端に微笑んで
楽しい時は
だけど
いつかは終わること
いったい
....
{引用=リトル・ミスに出会った}
*********************************************************************
{引用=彼 ....
赤面す 落ち込む 媚びる 自惚れる 恋の{ルビ醜態=フェイズ}の罠にあらがう
人恋し 初冬の夜半のニルバーナ 白磁のカップ一気にのみ干す
優先席お譲りください 不自由なこころの女がこ ....
船
青く
触れると
消え入りそうな
船
ここ
我らが母体
青の時間船
地球号
ここ
こころと
からだを
養う
青の
時間船
地球号
*
大航海時代・・・ ....
あしどり たんたらら、た
あさって 泣いてしまったら
よぎって つばさが抜け落ちる
たらた らたた たら、たた、たた
ねむりは あさく とてもまぶしい
ひつ ....
唇噛んできみは
嘘つきだね
本当は泣きたいくせに
街灯りに雨は白く煙って
アスファルトに伸びた
影を揺らしてる
黙ったまんまで
何を見てる
何を探してる
言葉に出来ない
夜 ....
ああ見えていつも
甘いモノを欲しがっている人だった
それなのに結局
私が差し出したものは選んでくれなかった
だから あの夜飲み込んだ金平糖は
今もおなかの中でイガイガ ....
あなたのこと あなたの好きなこと あなたの好きなもの
時間の許す限り 私は考える
だけど あなたは あまり考えてくれてないからか
いつも私ばかり話してる
壁を自在に移動する窓
持ち歩き可能な窓
心臓に取り付けるための窓
蜃気楼だけが見える窓
窓硝子に詩を書くための窓
叩き壊しても何度でも再生する窓
脱け出すためだけの窓
忍 ....
この 響きの 深く
清めた 場所で
流れる感情の帯 旗として 掲げ
密かに 掲げ 夜を見詰めて
この 夜を祈り通し
星をいだき
星をささえ
深まる 夜ごと 夜ごと
闇が静 ....
きれいな心の人が書いた
きれいな詩は傷つく
死ななきゃいけないって言われてるみたい
あいしても
濁らないひとがいるのはなんでなの
何が違うの
心のきれいな人が作る詩
....
この世界はフェイクだ
それなのに
あの人の言葉を信じてしまった
私は正気(ばか)だ
おはよう
明日の光を浴びる観覧車
地軸の傾きに反応したゴンドラが
少うしだけゆがんで
カラ、
ラ、
カラリ
まわりはじめると
冷たい大気に
隠されていた痛みが染み込んでゆく
....
1
十二月の眠れる月が、遅れてきた訃報に、
こわばった笑顔を見せて、
倣った白い手で、ぬれた黒髪を
乾いた空に、かきあげる。
見えるものが、切り分けられて――。
伏せられ ....
嫌われることに震える両手は
ひとを切らずに
済んだかい
置き去りの身に震える素足は
ひとを捨てずに
来たのかい
おそろしいものは
いつも
わからないのに
....
プリンタから大仰なオノマトペとともに
吐きだされた紙は
わたしのこころの化身の化身
余白がもう白すぎて
わたしは震えてしまう 指先 くちびる
間のぬけた音がきかい ....
世界の片隅で生まれた風は
猫柳の枝を揺らし
水辺に群がる蝶の触手を掠め
乾いた轍の上を砂塵を巻き上げながら
叫びと響きを翼にのせて
つむじとなって舞い上がる
鋭いまでの切っ先 ....
このゆびを
のぞんで降りたきみですか、
しずかな熱も
いそぎゆく風も
そのゆくすえは
つながってゆく気がして
荒れたくちびるを、恥じらう
ふゆです
やさしさ ....
雨が降ると
紫陽花の咲くあの場所を思い出す
カタツムリは今日も
葉っぱに隠れて雨宿りをしているのかな
高校生の頃
雨が降った日には
よく二人で放課後の音楽室で時間をつぶした
君の奏で ....
生きていること 死ぬことの不思議
さなぎのような体の中に
閉じ込められた私の意識
息を吸うたび膨らむ胸郭
心地よい空気の移動
耳の奥で脈打つ血のうねり
私にしか聞こえない ....
シェリル
まぶしいな、区切られない場所は
名前を持つのかどうかも知らないような虫が
指先をつたってきて
それはぼくになにも響かなかったから
そっとしておいた
シ ....
遠き空より舞ひ落つる
雪の光を感ずれば
やはら一ひら手に取りて
心を開く花と見む
近き川より流れ寄る
水の光を眺むれば
しばし一向き佇みて
心鎮むる音とせむ
遠き国より打ち寄す ....
私のクリスマスツリーが
図書館の前に並んでいる
きらびやかではないけど
曇り空を飾っている
恐いものなど
一つも無い
恐いものなど
僕
夢見る術を知ってる
空を飛ぶことも
愛すべきこの街に
このアスファルトの道に
自由に白線を引く
方法も知ってる
フ フ
....
忘年会をした
車で来た人
用事のある人
風邪をひいている人は
欠席で
参加者は六人
お店の人に
無理を言って
二つのテーブルを
くっつけてもらって
乾杯をする
夢の話 ....
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