蜂蜜のような青さで、と誰かが言ったので何となく納得した。最近は何となく納得することが多い。空は蜂蜜のような青さでとろりとろりと甘いもの好きな子供たちを誘うのだそうだ。それから耳。耳たぶが際限なく広がっ ....
散文的であるかも知れない
晴れ間を見つける
こころはいつも
古くはならない
あたらしくもならない
それが空なら
繰り返すものごとに
少しだけ優しくなれそうな
そんな気が ....
聖なる牛を追って河原に遊ぶ
権力の恣意的な横暴に満ちた企みだ
牛は水辺に顔を背けていやいやをする
なんたって水は不気味だし
入るには深そうだ
それに何が居るか分かりはしない
....
夕暮れの残照に透きとおる
樹々の枝葉のように拡がった
私の末梢
手のひらの静脈
幾度となく
訪問する季節を測り
文字にして書き写し
そしてこの夜の連なりへ
伸ばされた白い片腕から
一 ....
わかんないけど。
食べていい?
「ロビン・グッドフェローを探せ」
悪を憎む男
ロビン・グッドフェローを探せ
晩秋の森の奥深くに隠れている
弓の使い手を探せ
見えない未来とさかさまな世の中
逆転の力学を背負って迷っ ....
割れた小窓の向こうに
子供の靴が転がってる
幸せはいつも
シャボンが泡立ったときの
匂いに似て苦しい
どうしてわたしは
名前を書いておかなかったのだろう
指を動かして
桟に父の旧姓 ....
街の境界で
2才児が、
空を裂いていた。人々のさまざまな傘が壊れだし
小さなハミング
ひびきにとらわれる、成長痛
からだの隅々で、こんなに軋むとは
思わなかったね
次から次へと間違いを正 ....
ピアノ線で結ばれた
あなたの希望
私の誤解
でたらめに
あなたがはじく
私たちの
無数の意味が
夕暮れの
部屋に満ちる
他愛ないカーテンが
ふたりを
窓から避けてゆく ....
もりのおくにはしたいがありました
あたしはしたいをみるのは
はじめてだったから
ちょっとドキドキしました
おかあさんは
したいにはさわってはいけないと
いいましたが
し ....
向こうのひと
と思っていた
向こうの世界だと
思っていた
よくわからないまま
手を振った
まだ会ってもいないのに
さよなら
って
銀河鉄道の話を聞きながら
僕は ....
世界へようこそいらっしゃいました。
ここでは基本的に
自由にしていただいて結構です。
ただ、一つだけ注意事項がございます。
他愛なく誰かに見捨てられそうになったり
すっかり文明に溺れそう ....
珍しく田舎から餅が届いたので。
食欲は無かったが食べないのも申し訳ないから。
焼餅にでもしようと箱から三つばかし取り出し。
オーブントースターに並べて焼いたみた。
すると餅の入ったダンボール箱 ....
ペーパー
{引用=
深い紙の淵におちて
死ぬのは こわい
あんまり、静かだから。}
指
{引用=
白い紙面に落ちた
指は何を思うのだろう
静かに目をつぶって
目をつぶって} ....
あったかいですね
こんな時は
ありがたくなります
きみの体温
きみの赤いいのち
手をこぶしにしてみたら
ちょっとだけ穴ができて
覗いたら
やっぱりきみは
笑ってました
こぶ ....
東京と東京のあいだは
やはり
びっしり東京だった
銀色のパチンコ玉で{ルビ犇=ひしめ}いていて
覗き込めば
ひとつ、ひとつ
{ルビ歪=ゆが}んだ顔を映す
冷たい光の反射に
じっと身 ....
もう今さら
言いたいことなんてないし
毎日
言いたいことばかりで
今は
それと同じ
「冷たい」なんて
言われたことがなかった
反論も
きっとできる
でも 自信がないのは
....
その女は
爪先から
生れ落ちてきたので
岬の先端の
切り立った崖から
飛び降りるときも
やはり
爪先から
落ちていったそうです
波頭が捲れ上がるように
荒れた岩場に
打ちつけ ....
寒波襲撃
そんなニュースを聞いた 真冬の14時
近くの雑木林に 散歩にいったときの できごとです
季節はずれに咲いてしまった
きいろい ぽぽんたと 出会いました
冬の装いにも 物おじしな ....
手すりのない屋上で
そらをとりもどす、わたしがいる
{ルビ限界線=ちへい}に浮かぶ遠い筋雲の
気流の音に耳をすます
わたしがいる
まぶたの裏に
真昼の月を新月と焼き付け
まぼろしではない ....
ピッ。
目的地マデ300mデス。
冷タイ風バカリガ吹キスサブ、
冬ノ一本道ヲ抜ケルト
悲劇ハ喜劇ニ一掃サレルト
悲劇ノ劇中歌デ歌ワレテイマス。
ソノ旋律ハ伸ビ伸ビトシテ
左手スラ届カナカ ....
{引用=
伝えたいことがないけど帰らない 歌う自由が僕にあるから}
ギロチンが雨の代わりに降る夜に野外ライブは実施されない
陽の当たる時間短いこの国はかいわれ大根生えたス ....
檻の中には
消しゴムがひとつあった
動かなかった
夜行性
と書かれていた
夜まで待ちたい
君は言ったけれど
その前に
閉園時間になってしまった
帰り道、赤信号で止まった
右左よ ....
町も風もかなしく震えるので、
ろうそくの火のように、
さびしいやさしさで、
生きものは尖ってゆく、
のだと思う
生きものは、
風の群れ、
消え入りそうなほど、
ほそく、とがって、
....
白い海触崖の上
見渡す限りさえぎるもののない
広大な草原の真中にいて
両手を広げ
はたはたと
羽ばたく鳥のまねをしてみたり
帆のように風をはらみ
さらに白い空の彼方へと
消え入りたいと ....
闇に落っこちたので
わたしは強く目を閉じました
瞼が痛くなるほど強く
そうしたら目の奥の方に
赤黒い光が浮かんできたので
わたしは手探りで
そちらに向かって歩きまし ....
あなたはためすように
月を詠むのです
椿の花が落ちる夜に
闇から色を分かてるのか
ためすように
あなたは月を詠むのです
くれなゐは
いつぞの契り
くれなゐは
今わにみ ....
そこに
ひめられたもの を
ちから
と よぶ
だいちの ち
わたしの ち
ちえの ち
ち に ひめられたもの
ち から
うまれでるもの
....
それでも止めないのは
あの一言のおかげだと思っている
『最期の写真家』
気付いたのは
老夫婦の写真を撮った時だった
仲の良い夫婦で
金婚式の記念にと
シャッターを ....
昼下がり
雲がぼやぼや流れている
ハラピンが道を歩いてきた
ぼーとしながらふらふらしている
俺を見ると
ダッシュでやってきた
汗でふにゃふにゃした原稿用紙を押し付けてきた
読 ....
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