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ぽとり、と蝋梅
黄色い窓を覗く
すると向こう世界の隅で春が騒いでいた

「梅、桃、桜の順で咲いていくのよ」
「そうして、春になるの」

白い酒器の表面に落とされた桜
注がれた梅ソーダが ....
それはとてつもない絶望であり
そして希望となった

手が白い

夜中二時前のピアニスト
ショパンの英雄ポロネーズが無音を切り裂く

何かを彷彿させてから飛び出す高音
低音も楽しみ ....
うだる夏

蔓をのばし 背をのばす
巻きつく ぐるぐる
行き先はどちらですか 
天ですか それとも天国ですか はたまた地獄
 
我が家は関東と東北の血筋が強いもので
ゴーヤなんてそんな ....
客電(#60、70、80代)、カットアウト

あなた 言ったわね
もう二度とお礼は言わんって
だから信じていたの
こっちから一方的に言いまくってやるって

舞台(#0)、フェードイン
 ....
快晴とは程遠い 灰色の空
本日 あなたはついに最愛の人の隣で永遠の眠りにつく

見守りにいけなくてごめんなさい
あなたの娘とその夫が
私の分も あなたが永遠に眠りにつく姿を見ています

 ....
ぽ、と、り、ぽ、こ、り、と、あ、わ、に、な、る、

もう忘れていいのです
苦しまなくていいのです

もう昔のことなのですから
これからはほかの誰かのためにないてください
わたしにはも ....
はろー はろー
わたしはここにいるよ
きみがしってるわたしはここにいる
だからさがさないでね
おやすみ ぐっない
いいゆめを
体が酸素を欲している
消化器官がせわしなく働いている
その上 申し訳なさそうに今日までの出来事を語る彼は
私を夢の世界へ誘おうとしている

この時間の枕は
歴代のあらゆる出来事を行った偉人 ....
歌うこと
歩くこと
泣くこと

オレンジになって消えた
/
/かなしい/おしらせ/です/
/あなた/を/この/あたま/から/しょうきょ/し/ます/
/さようなら/おげんき/で/

青いにおいが鼻につく
遠くに見える海が白い光を生みだしている
 ....
はじめまして
初めてこの枝で花を咲かせました
これからもこの気持ちを忘れずに
毎年、花を咲かせたいと思います
幸せになりなさい
私の分まで幸せになりなさい
こんなところに君はいてはいけない
こんな暗闇の中に君はいてはいけない
私は放っておいてはやく行って
光射す眩しい世界へ

私はここから出れな ....
今からずっと昔
何十代も前の祖先の頃
存在しないという存在を
ゼロという存在に仕立てあげた

見えないものを見ようとして
崖っぷちから恐る恐る覗き込んだ
そこから見えたものは
自分に住 ....
ベットの上で外の様子をうかがった
街は未だにクリスマスムードが漂っている

サンタさん
今年はこんな高価なものは入りませんでした
私が欲しいかったものは
街のイルミネーションより温かく輝く ....
音もなく夕日は眠りにつく
車のライトに照らし出されるのは寝不足の私
赤いイヤホンから頂き物の曲が飛び出してくる

私の帰宅時間と国道の車の多い時間は重なる
あえて国道沿いを歩いて帰ってくる
 ....
問題です
この赤い糸はどこへ繋がっているのでしょうか
わかった方は緋月衣瑠香まで、どうぞ
この世界に産み落とされてから
ずっと見てきた光

あの光を手にしたくて
必死に手を伸ばした
でも
この手が掴んだものは空気のみ
光はもっと上にいた

日々 背伸びをして悔しんだり
年々 背が伸びるごと ....
気がつけば
柔らかな布団が体を包みこんでいる朝
遠くから聞こえる踏み切りの音
肌寒い朝の目覚めは私を憂鬱にさせる

嫌なことを思い出させる季節、冬
雪の如く心に降り積もり熱を奪っていく思い ....
ふと見上げた空に
鳥が一匹
町を見下ろしていた
霜降の午後4時
自分が嫌いだ
身近な人を傷付けまわして
誰もいなくなってから後悔する
そんな自分が嫌いだ

くろ

人間が好きだ
身近な人を傷付けまわして
誰もいなくなってから後悔する
そんな人間 ....
少年Aは今日も何気なく日常を過ごす

背が高い
その高さがよく目立つ
少年曰く、遺伝らしい
家族で外に出歩けないとよく言っている
彼ひとりでも道行く人々が二回ほど彼をちら見するらしい

 ....
昼の情熱
夜の冷静

今ひとつの線上で
双方が交わる

子供の声も
雲の流れも

薄いベールの黒に
包まれる

風鈴の音に
星の瞬きに

一日の思い出達が
暮れていく

この光
全ての人の願いでありま ....
この夏が終わるのもそう遠くはない、と
花火が打ち上げ終わった海にいる私

横たわる一メートルと五十センチあまりの生身
押し寄せる波に三十六度五分の生気は解放される

あれからどれぐらい経つ ....
心のダムに
言葉の雫がたまったら
きっと流れるうたの川

溢れ出してしまいそうになりながら
きらきらした雫だけ抜き取って
私しかつくれないうたの川

いつかとっておきの
雫でできた川
ここのダムから流 ....
世界って、かなしいね
無理して笑った女は言った
彼女は最近、死を知ったらしい
雨が止まないね
呟いた言葉は雫に溶けていった

冷たいね、冷たいね
雨って、冷たいね
冷たいね、冷たいね
 ....
本当に馬鹿馬鹿しいね
1時間も歩いて
君に会いに来たなんて

お陰で足にマメが出来ちゃった
家まで帰れるかな

あーあ
本当に疲れた
もう、ずっとここにいたい
せめて少しだけ
君の声を聞かせて

午後 ....
目眩を起こし
手摺りを捜す右手
宙を荒らした左手

しゃがみこめば
目の前に広がる鏡の世界

鏡は
私をうつす
私は嘲笑っている
その異様なほどに三日月を象る口が告げる

かわいそうに。
あわれよのう ....
淡い色のアスファルト
履き慣れないローファーがなく
緩やかにのびる桜のトンネル
出口は海へと繋がる

祖母は言っていた
この町は桜が多い、と
まるで桜の中に町があるようだ、と

寝ぼ ....
雨のリズム
秒針の鼓動
一定に停まる気配もなく
ただ無機質に

「只今、午後4時39分になりました」
電子音が遠くから聞こえる
見えるはずの海のむこうは見えない
もやがかかって曖昧に直 ....
まわる まわる
くるくるまわる

世界はまわる

今日も停まることなく
くるりくるりと

目がまわる

この世界には
たくさんのことがありすぎるから
北大路京介さんの緋月 衣瑠香さんおすすめリスト(68)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
十九歳の雛祭り- 緋月 衣 ...自由詩14*12-3-5
夜中のピアニスト- 緋月 衣 ...自由詩10*11-12-29
黄色い庭- 緋月 衣 ...自由詩8*11-8-17
さよなら、後藤さん。- 緋月 衣 ...自由詩7*11-1-6
49- 緋月 衣 ...自由詩9*10-10-17
人魚の涙_- 緋月 衣 ...自由詩12*10-8-7
想撮空間「ハローグッバイ」- 緋月 衣 ...携帯写真+ ...4*10-3-31
午後二時、黒猫は日本国の歴史を知る- 緋月 衣 ...自由詩4*09-11-16
忘却- 緋月 衣 ...携帯写真+ ...2*09-10-26
不透明な世界- 緋月 衣 ...自由詩17*09-5-16
想撮空間「初志貫徹」- 緋月 衣 ...携帯写真+ ...5*09-4-6
偽善じゃない、真実- 緋月 衣 ...自由詩11*09-2-7
創造- 緋月 衣 ...自由詩5*09-1-12
クリスマスプレゼントの返却願- 緋月 衣 ...自由詩4*08-12-26
寝不足パンクの憂鬱- 緋月 衣 ...自由詩3*08-12-15
想撮空間「問題です」- 緋月 衣 ...携帯写真+ ...3*08-12-14
想撮空間「背伸び」- 緋月 衣 ...携帯写真+ ...8*08-11-30
眠り姫の冬の朝- 緋月 衣 ...自由詩6*08-11-8
冬のお告げ- 緋月 衣 ...携帯写真+ ...3*08-11-3
モノクロストライプ- 緋月 衣 ...自由詩9*08-10-5
少年Aの話- 緋月 衣 ...自由詩13*08-9-21
残照- 緋月 衣 ...携帯写真+ ...6*08-8-31
海になる- 緋月 衣 ...自由詩11*08-8-24
想撮空間_「言葉の雫」- 緋月 衣 ...携帯写真+ ...5*08-7-19
雨ときどき涙- 緋月 衣 ...自由詩7*08-6-29
告白‐海に捧ぐ‐- 緋月 衣 ...携帯写真+ ...3*08-5-18
想撮空間_「鏡の世界」- 緋月 衣 ...携帯写真+ ...6*08-4-27
桜の町- 緋月 衣 ...自由詩14*08-4-5
別れの手前_止まない音- 緋月 衣 ...自由詩9*08-3-10
眩暈- 緋月 衣 ...携帯写真+ ...4*08-1-10

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