想撮空間 「鏡の世界」
緋月 衣瑠香



目眩を起こし
手摺りを捜す右手
宙を荒らした左手

しゃがみこめば
目の前に広がる鏡の世界

鏡は
私をうつす
私は嘲笑っている
その異様なほどに三日月を象る口が告げる

かわいそうに。
あわれよのう。

何を言うか、と
己の化身に悲鳴をあげるが
それは笑い続ける

あわれ、あわれ。
そなたは、あわれなり。

おさまらぬ目眩と
壊れたラヂオのような『あわれ』の波

ふらつく身体を懸命に動かし鏡に手をやる
そして
私は私を破壊する

光を反射し雪の様に散り輝く私の化身
響く笑い声は
私の真の世界を蝕んでいく

恐怖をおぼえた私は
私をも壊していく

本当の私は
どんな風に散ってくれるのかしら


携帯写真+詩 想撮空間 「鏡の世界」 Copyright 緋月 衣瑠香 2008-04-27 23:06:01
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