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嫌い
あ
花 ....
夜明けの窓は孔雀色
今年もまたうたうように
アガパンサスが咲いている
七月はわたしの中で
いちばん甘く実る果実
君はいつかそれを 別の名前で
呼んだかもしれない
少しずつ風がうご ....
何故この世界は
こんなにも{ルビ靄=もや}掛かっている
まるで行く手を{ルビ阻=はば}むような
分厚い幻想
危うい強さで
線香花火の未来を見るような
脆い理想…と希望
崩れそうだ
....
{ルビ一歩=いっぽ}踏み出せばどこまでも
この季節が続いてゆきそうな気さえする
はやるきもち
紫陽花とひまわりの{ルビ間=あいだ}
入道雲の{ルビ構成=つくり}
光のつぶ
....
初夏の雫を集めた、里芋の
透明な葉脈の裏側で
夏風の子が
小さな産声をあげる
まだ、うまく飛べない
棚田の{ルビ畦=あぜ}に沿って
緩やかな曲線を描くと
早苗に浮かぶ蛙が
水かきを ....
打ち捨てられてそこにある
朽ちたピアノ
横たわる私
ぽろんぽろんと
雨音と共に
雫が鍵盤を叩く
音色が世界を包むとき
雷が悲しみを切り裂く
思いはどこへ
姿なき君の手をとり
ぬかる ....
ショーウィンドウを飾る
真夏のアイテムたちは
誇らしげに季節を謳歌する
けれどそこには灼熱の光線も
砂浜の輝きも届きはしなくて
街の雑踏はただ息苦しくて
日焼けした肌を ....
イディオとサヴァンは瓜二つ
それもそのはず 種ひとつ
イディオは天才 サヴァンはあほう
サヴァンは道化でイディオは発明家
どちらも村の人気者
だけど夜にはふたりはひとつ
....
山よりも高く雲は聳えて
雲は天蓋として
瞬く間に紺碧の空を覆う
燃え立つような風が
一瞬にして地表の全てのものを清めると
卒然として雹
雹!
瑠璃色の雹がアスファルトに砕け
赤土に食い ....
一日の仕事を終えて
日誌のコピーをシュレッダーにかける
箱の中に吸い込まれてゆく紙
粉々になってゆく一日
見下ろす私の影
産声を上げた日から今日迄の
私の年譜をシュレッ ....
肩のあたりを噛んでほしいのです
思いっきり歯形がつくまで
血が滲むぐらいに
/
今日は抜糸です
と
彼女がメールを送ってきました
八針も縫った傷痕は
一生消えずに残るのでしょう ....
引越をした日は、
青空だった。
近所の空き地の、
壁に、ボールをぶつけ、
グローブで受けとる。
ひとりで遊ぶわたしに、
アキラとリョウが、
笑みを浮かべ、声をかけてきた。
初登校の ....
N・Kに
魚がいる
魚についばまれている
ちいさな
魚たちに
僕は部屋 ....
ふたつの火の間に
煙は消える
いとおしさ
うなづく いとおしさ
風のない日の
指をすぎるいとおしさ
見るまに変わりゆくものの
とどまらぬ今をたしかめるように
せわし ....
#41
青い瞳からは
青い涙が
こぼれるものだと
思っていました
#42
オリジナルという名のコピー
コピーとしてのオリジナル
オリジナルなコピー
....
苔が吐きだす一千年の時
崩れてゆく胞子嚢が
クラッシックなビールの泡を
吹いて
ぼくの肺を満たしていく
遠い
ひかり
さえぎる
巨人た
ち
あなたが得た
この深刻な自由
じ ....
夏休みになると自転車で旅に出る男の子たちがうらやましかった。
大きな国道沿いの集合住宅から、蝉のぬけがらを轢いて、
日差しに溶けないように黒くなる細っこい脚の駆け出す
立ちこぎの夏を横目に ....
パキシル30mg
の、見せる現実のプラスレート
空想の透明度
限界線を見せない
夏雲の上に抜ける青に似た
昨晩打ち明けられた
銀粘度の約束は
いつか憧れた遠い未来にリンク ....
めろんの翠が涼しい頃
強引な若さだけを連れて
新しい部屋を探したわたしが
照れながら甦る
必ずしあわせになるのだと
啖呵を切って
飛び出した古い家
裏付けるものなど何も無く
ただ
....
{引用=
一、漕ぎゆく者へ
明るいうたは明るくうたおう
明るくないうたも明るくうたおう
そうすれば
必ず
いつかどこかが壊れてゆくよ
治すというのはそ ....
蛇口にもいろいろあんのよ
飲食店の蛇口はいつも元気で
小学校の蛇口はお喋り好き
公衆便所の蛇口は毎日がつまらなさそう
なんで私がそんなこと知ってるかって
旅好きな水から聞いたのよ
私は ....
すぎていくものに吹かれて
川辺で季節におびえ
一掴みの名も知らぬ萱よりも
かほそくゆれ
ただ老いていくことに
腐っていくのでしょう
笹舟のように
未来にむかってちぎれていくものが
....
雨雲が熟すのを待てずに
落ちてきた水滴は
過ぎた日の埃の匂いがする
名もなき小鳥が
一斉に声を上げて
巣を目指して羽ばたき
一瞬の喧騒を誘う
今日のわたしには傘がない
誰も此処 ....
夜 眠ろうとすると
世界中のあちこちから甥がやって来て
カブト虫を探してくれと言う
逃げてしまったらしい
眠くてもしかたがない
夜はまだ長いから
大勢の甥たちと一緒に
カブト虫を探してや ....
セルリアンブルーの本から
零れ落ちる音符のような
啓示
に搏たれつづける心が
1068番目の奇跡を通じて
うつくしく褶曲する地層のような
洞察
へと繋がるのならばと
今夜は違う窓に向か ....
雨粒に濡れる蜘蛛の巣
行き交う車のワイパーは
静かに動いている
食べ残しのとうもろこしを卓に見
私は夏の訪れにについて
思いを巡らす
齢を重ねても
全く同じ夏は来ない
ただその ....
『{ルビ大浦洞=テポドン} 〜대포동』
南の大浦洞は{ルビ雪嶽山=ソラクサン}の麓
朝日のきれいな穏やかな海岸
夕暮れ時 おでん屋台がせわし ....
雨が走り去ると
レンズになった大気が
緑を浮かび上がらせ
耳の輪郭を追う
待ち望んでいたタオルケットが
部屋をすっかり包みこんで
静かに反省をうながす
今夜のニュース
鐘の、音 ....
{引用=
-----------予備知識------------
アルタイル
わし座の中にある白い一等星で
「ひこ星」と呼ばれる
ベガ
こと座の中にある白い一等星で
「おりひめ星 ....
通りの
突き当りには
とても大きな
古い病院
薬と
消毒と
おしっこの匂い
クリーム色のカーテン
ひびの入った白い壁
触ると
とても冷たい
わたしは病気で
入院した ....
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