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2年前 
中年夫婦で営んでいた 
ふっくら美味しいパン屋さん 
大洪水で流された 

跡地には 
独り身の{ルビ若旦那=わかだんな}が一人で開いた 
手打ちの美味しい{ルビ蕎麦=そば}屋 ....
あなたのむねのうちにいる 

ほとけを じっと みつめると 

あなたとわたしのあいだを 

ほとけは すっと やってくる 
今日も仲良くけんかする 
何の変哲もない 
親父と母ちゃん 

日々
腹を抱えて笑ったり
頭に{ルビ角=つの}を立ててしまったり 
からかいあったり
愉快な職場の仲間達 

両親や ....
街灯に照らされると 
夜道に私の影が伸びた 

どこまで歩いても 
影は私についてくる 

( どんな時も、ひとりじゃないよ ) 

立ち止まる 私をみつめ 
黙った姿で影は{ルビ云 ....
かみさまは
わたしを いつも 暗闇に 
ぽつんと 独り 置いている 

遠い記憶の{ルビ彼方=かなた}から 

あの日響いた産声に 
わたしが耳を澄ますよう 

光りあふれる歓びに ....
酔っ払い 
どこまでも寂しくなる夜

赤くほてった顔でふらふら歩き 
電信柱に額をあてて寄りかかる 

辿り着いた
バス停のベンチにへたりこみ

夢に見る 
愛しき君 ....
雨上がり
{ルビ水溜=みずたま}りには 
哀しい顔が浮かんでる 

ひょい と飛び越え 
曇り空の一日に向かって彼はゆく 

{ルビ仄=ほの}かな{ルビ灯=あか}りを 人の{ルビ間=あい ....
{ルビ滑稽=こっけい}な自分の姿を{ルビ罵=ののし}られ 
哀しい気持で歩いてた 

帰って来た家の門の 
足元に置かれた 
ハロウィンの{ルビ南瓜=かぼちゃ} 

皮をくりぬいて 
 ....
秋風に揺られ 
無数に実りゆく 
夜の小さい太陽達 
 
今にも落ちそうな実に 
枝はしなる 

自分らしく熟れるのを待つ
世界中の人々のように
ぶら下がる無数の実が
枝から離れる ....
秋の日の涼しい夕暮れ 
散歩から帰り家の門を開くと 
上から ばっさ ばっさ と 
木の枝が降ってくる 

数日前66歳になった親父が 
はしごの上から「お〜い」と呼ぶので 
もうすぐ3 ....
目の前をみつめると 
十字架は橋となり 
わたしの明日へと架かっていた

振り返ると 
両腕を広げたまま 
横たわる人の体の上を 
気づかぬうちに踏みながら 
産声を上げた日から今日ま ....
急いで道を歩いていたら 
目の前の車が{ルビ理由=わけ}もなく止まった 

(下手な運転しているなぁ) 

車と壁の狭い隙間をすり抜けると 
痩せこけた若い母が{ルビ咳=せき}を繰り返しな ....
窓外に 
枯れたまま{ルビ俯=うつむ}く 
{ルビ向日葵=ひまわり} 


辺りを照らす
太陽の花に
振り返っていた人々 

秋 
{ルビ独=ひと}り汚れ身を{ルビ晒=さら}しな ....
体のまあるい婆ちゃんが 
ぜいぜいと団地の階段を上っていた 

通りがかりの少年は 
後ろから両手で腰を抱えて 
ゆっくりとした歩調と合わせ押し上げた 

( 振り返ると 
( 団地の ....
仕事を終えて入った喫茶店の夕食前 
紅茶をすするカップを置いてほお杖をつき 
今日という日を振り返るひと時 

名も無き群の
無数の足音が響く 
駅構内の朝

職場の仲間と 
腹を抱 ....
親父・母ちゃん婆ちゃんは 
姉・婿・孫娘のいる富山に行き 
一週間は帰らないので
家はがらんと広くなった 

仕事を終えた帰り道 
夜空を見上げ 
雲から顔を出す十五夜お月さんと話し 
 ....
職場の先輩が 
強気な部下のOLに牙を向かれ 
いじけてた 

この日、日誌の僕は 
書類をコピーしたら 
紙が詰まった 

事務所に行って 
先輩呼んで 
「 頼りにしてます、助 ....
昨日の仕事を終えた帰りのバスで 
( 毎日々々同じことの繰り返しだなぁ・・・ 
と心に{ルビ呟=つぶや}きながら疲れてうたた寝していた 

今は亡き・好きな作家のE先生が 
ぼんやり現れ 
 ....
プラスティックケースの上に 
並んでる、ふたつのせっけん 

小さいほうが、お婆さん 
大きいほうが、息子さん 


「 生まれた時は逆だったのに 
  わたしに向かってハイハイしてた ....
雨が降る日に鎌倉の寺に行き 
賽銭箱に小銭を投げて 
ぱんぱんと手を合わせ 
厳粛な顔つきで 
びにーる傘をさしながら 
帰りの細道を歩いていたら 
濡れた路面につるんとすべって尻餅ついた ....
竹筒の側面の穴に生けた
{ルビ秋明菊=しゅうめいぎく}の白い花々 
境内に奏でられる{ルビ雨唄=あまうた}に耳をすまし 
そっと{ルビ頭=こうべ}を垂れている 

{ルビ些細=ささい}なこと ....
久しぶりに訪れた{ルビ報國寺=ほうこくじ}は 
雨が降っていた 

壁の無い 
木造りの茶屋の中 
長椅子に腰かけ 
柱の上から照らす明かりの下 
竹筒に生けた{ルビ秋明菊=しゅうめいぎ ....
遠い昔の{ルビ故郷=ふるさと}で 
おちんちん出して川を泳いだ子供の頃を 
懐かしそうに語るO{ルビ爺=じい}さん 

空の上からそっと見守る 
若き日に天に召されたO爺さんの奥さん 

 ....
お婆ちゃんの細い手が
絵葉書に描いた
美味しそうなまあるいピーマン 

筆を墨に浸した僕の若い手は 
「 いつも ほんわか しています 」
と曲がりくねった字を余白に書いた 

お婆ち ....
壁に{ルビ掛=か}けられた 
一枚の絵の中の蒼い部屋で 
涙を流すひとりの女  

窓からそそがれる 
黄昏の陽射しにうつむいて 
耳を澄ましている 

姿の無い誰かが 
そっと語り ....
気がつくとその{ルビ女=ひと}は 
明け方の無人列車に乗り 
車窓に広がる桃色の朝焼けを 
眠りゆく瞳で見ていた 

列車がトンネルに入ると 
全ての車窓は真黒の墨に塗られ 
闇の空間を ....
北鎌倉の山寺の
{ルビ境内=けいだい}を歩くと 
左手に緑色の池が現れた 

小石を一つ拾い 
池へ投げる 

緑の{ルビ水面=みなも}の真ん中に 
水の花が開いて 
広がる 
  ....
夏の夜に
いくつもの太陽を揺らすひまわり達 
仕事帰りの疲れた男に 

 わさ わさ わさ わさ 

大きい緑の手のひらを振る 

日々の職場では 
密かな善意を誤解され 

  ....
雨の降る夜の路地裏を 
酔っ払いの男は一人
鼻歌交じりに 
傘も差さずに歩く  
涙色の音符を背後に振り撒いて

雨は降り続き 
路上に散らばった音符は濡れて 
よろけた男の後ろ姿は  ....
人々が漏らす{ルビ溜息=ためいき}で 
街の輪郭が{ルビ歪=ゆが}む土曜日の夜 

場末の Bar の片隅で 
翼の生えたアダムとイブの人形は壁に{ルビ凭=もた}れ 
虚ろな瞳で古時計をみつ ....
ぽえむ君さんの服部 剛さんおすすめリスト(298)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
消えた店_- 服部 剛自由詩8*06-10-27
- 服部 剛未詩・独白2*06-10-27
瞳の内に_- 服部 剛自由詩5*06-10-27
影_- 服部 剛自由詩7*06-10-27
誕生_- 服部 剛未詩・独白506-10-27
碧い腫瘍- 服部 剛自由詩12*06-10-26
- 服部 剛未詩・独白1006-10-23
ハロウィンの南瓜_- 服部 剛自由詩15*06-10-20
柿の実- 服部 剛自由詩13*06-10-19
はしごの上_〜親父と息子〜_- 服部 剛自由詩6*06-10-18
道_- 服部 剛自由詩12*06-10-18
背後- 服部 剛自由詩4*06-10-15
向日葵_- 服部 剛自由詩12*06-10-15
少年と老婆- 服部 剛自由詩13*06-10-13
砂丘の少年- 服部 剛自由詩9*06-10-13
もらいもの_- 服部 剛自由詩12*06-10-10
「ピース」_- 服部 剛自由詩6*06-10-7
「悪い夢」_- 服部 剛自由詩8*06-10-4
せっけん_- 服部 剛自由詩16*06-10-2
お皿の傘_〜はっとりんぽえむ・その1〜_- 服部 剛未詩・独白6*06-10-1
秋明菊- 服部 剛自由詩16*06-10-1
鎌倉・報國寺_〜初秋〜_- 服部 剛自由詩10*06-10-1
滑走路_〜O爺さんとの問答〜_- 服部 剛自由詩7*06-9-28
「ピーマンの絵」_- 服部 剛自由詩9*06-9-27
絵の中の部屋_〜姿なき人〜- 服部 剛自由詩14*06-9-23
朝焼けの声_- 服部 剛自由詩12*06-9-23
はじめの一歩_〜鎌倉の寺にて〜- 服部 剛自由詩8*06-9-23
ひまわり仏_- 服部 剛自由詩17*06-9-19
雨の夜_- 服部 剛未詩・独白10*06-9-18
堕天使達の夜_- 服部 剛自由詩11*06-9-17

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