世の中には
味を感じさせない味
があるという
甘さを感じさせない甘さ
苦味を感じさせない苦味
人はそれを
かくし味という
同じ料理であっても
どこかが違う
何かが違う
どこかや ....
車を運転していても私はすぐ近くばかりを見ていて
遠く先まで見ることを指示されてようやく
改めて世界は広かったことに気づいた
それは指示されたことに従っただけなのだが
狭い世界で怖がってしが ....
むせかえる 肌の匂いで 妄想す
うなぎより 冷麺よりも かきごおり(苺)
いい年の 君のうなじに あせもでき
束の間の 癒しの時間 雨宿り
花細工 萎びてもなお 花細工
....
いつも寄り道せずまっすぐ帰るあなたが
今日、突然に、隣駅で降りたのはなぜ?
缶コーヒー1杯分の小銭も節約するほどのあなたが
急に、ここでブレンドを頼んでいるのはなぜ?
いつも我慢強くあの人 ....
ぼくは詩を書きたい
知識を忘れていないことよりも
無知を忘れていないことの方が
ずっと大切である
今日もまた
朝の散歩をしていると
無知に出会いました
なぜ花は花として咲 ....
毎度のことながら、
女にふられたので、
ラブホへ行って死のうと思った。
どうしてラブホかといえば、
情死かと思われるかもしれないからだ。
死んだ後のことなどどうでもよいかと思えば、
にんげ ....
夜はうえ。昼はしたを見て歩くのがよい。
ひかれたトカゲが一匹、ひからびていた。なぜか仰向けで。もしかしたらひかれた後、のたうち回っていたのかもしれない。肌がぴりぴりと痛い陽射しの中。彼のお腹の ....
さまたげるものだけが
私を
言葉に向かわせる
たとえば 雨
いつだって
あなたも同じだ
突然
ひょい、と現れて
私が
気にしないで生きようと
思っていた矢先にいつも
嫌い ....
私は盲目ではないけれどあなたの事が見えません。
私は耳が聞こえるけれどあなたの言葉が聞こえません。
私は口がきけるけれどあなたに言葉が届きません。
だのに
だのに
私はあ ....
みじめだから詩をかくのか、
詩をかくからみじめなのか。
ニワトリが先か、たまごが先かには、
研究者が結論を出したらしいけれど、みじめなきもちに答えは出ない。
詩が、さも大事な何かであるよう ....
「ぼくたちは
一言のことばを交わすたびに
一つずつ忘れていって
ゆうべ見た夢も
ゆうべ交わしたさいごの愛も
あなたを愛したということも
ひとつずつ
じわじわと忘れていって
忘れ ....
もう嫌だガーターベルト殴り捨てひじょうかいだん3段目飛ぶ
ザラザラの苺飴玉もらったら舐めたらいまから忘れてやるから
イバラ姫口をつぐんだきれえな娘バスはアラシの真ん中を行く ....
?.
誰も傷つけないように
貝殻を拾いにゆこう
まだ潮が高いから
ゆっくり 遠回りをして
(神様の邪魔をしないようにはできないのよ)
踏みしめる靴 ....
筆先で湛えきれず
液体が
ぽたり、ぽたり、と
滴るので
両の掌をくぼませて、ふくらみをつくり
上向きに
すこしかさねて
それをすくおうとしてみるけれど
わずかな隙間を
液体はすりぬ ....
道に迷って途方に暮れて
そんな自分が哀れで
みすぼらしく思えたの
しゃがみこんで
うずくまって
いっそ
この血まみれの足が
地面と同化するまで
ここでじっとしていようかしら
....
私は歌人
自分というものは
他人がいてはじめて
わかるもの
今日は折りよく
朝の散歩をしていましたら
詩人に出会いました
毎日毎日
朝に散歩をしては
多くの人やものと ....
なっしんぐよね
なんもいらんの
なんもないのよ
ほしいもん
でなだよ
でなだ
すぺいんごでね
なしんぐって
たぶんだけどね
ちがったっけか?
とっときのばしょ
あ ....
溶けだしたぬるいアイスの
表面だけをすくうような日々だ。
甘ったるくて、まずい。
アイスを食べているつもりでも
それはアイスとは呼べないんだ。
表面だけの、実体のない日々だ。
....
あなたは私にいう
どこが好きかって?
細いけど奥二重の目が好きだ
フェレットのように茶色でよく動く瞳が好きだ
くせっ毛だけど柔らかな髪が好きだ
つんと滑らかな首筋が好きだ
包み込める小 ....
アクセル踏みっぱなしのまま
点滅信号を7つ通過して
あの クリーム色のビルディングまで
海の底みたいに静かな真夜中の街を
一目散にぶっ飛ばす
ジャスコで
待っていてほしい
約束の時間 ....
一緒に居るのに理由なんてねぇよ
(ホントはあるんだろうけど無いっつっといた方がカッコイイからそう言っとけよ)
適当にダベッてられればいいよ。それでいいョ。
本気で喋る必要なんかねぇよ。なんとなく ....
人間を創り直そうと思いまして
街中にごろごろ落っこちている部品を
拾い集めて廻ったのデス
殻は組み立て終わりましたのに
人間を模した其れは、いつまで待っても
まったく動かないのデス
....
少年たちは愛も知らないまま
機関銃と手を繋ぎ
あくびをしている君達や
あどけない顔の君も壊すんだ
もっとよく愛について知っていれば
もっと愛について話していれば
それがなにより大事 ....
じきに三月尽であるからして
桜満開
梅は散った
夜のあいだ働いて
朝がきたら酒を飲む
なまぬるい部屋で
カーテンを閉ざして
なにもかも逆さまで
だってほら
無言に近い状態 ....
僕はカメラマンと言う職業をしている
正確に言えば写真家なのかも知れない
この仕事をしてきて数年経ち
その間に撮影したものは数千枚はある筈
折り重なり合うように黄色く咲く花は蒲公英
....
いちご狩りに行った帰り道
バックシートでうたた寝する妻と娘の
少し開いた唇からは
いちごの匂いの吐息が漏れ
車の中はまるでいちご畑のようだ
高速道路の料金所で窓を開けたら
料金所のおじ ....
どうでもいい話をしよう
こないだ、すごい吹雪だったでしょ
真冬でもめったにないほど、すごい地吹雪で
うちの犬、外に出してみたら
南極物語みたいで笑えた
雨乞いって今ではすっか ....
迷いや苦悩
劣等感や嫉妬
孤独や寂しさ
無理解への苦痛
美味しい食事
快適な眠り
人前での笑顔
傷一つ無い手首
病名がないから
この重苦しい心も
たいしたもんじゃない
{ ....
クロスした横断歩道の
ちょうど真ん中で
僕は歌を歌い続けた
誰にも聞かれずに
無視と軽蔑を繰り返されて
僕の存在は
人間として否定され続けていた
何のために歌 ....
今日教室の黒板を見たら
あたしをふったやつがこんな事書いてた
『恋は惚れさせた者勝ち』
とうとう調子に乗ってしまったか
浮き足に気付かずに
こうやって春はやってく ....
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