“電車に乗る時は”
“なるべく人の多い車両にのりなさい”
“蒼い電車に出会ってはいけませんよ”
口うるさく喚く死神を後に
私はドアを閉めました
名付け親の死神は時々どうし ....
私は醜い者であると信じている
私は醜く煙を吸っては吐き
醜く吸っては吐く
私は醜く肉を食み
私は醜く水を飲む
私は醜いのだ
私は美に憧れ
私は美に恐怖する
例え其れが白痴美であ ....
ひとりで行く
風の吹く
木立の下
馬がつないである
走る姿
馬場のまわりには
人の群れ
速い馬に人気集まる
日曜の午後
レースがある
明るい服を着て
騎手が疾 ....
どんな暗闇の中でもあなたの翼は輝き続ける
わたしはそれを守り続ける
どんなまぶしい光の中でもあなたの翼は輝き続ける
わたしはそれを守り続ける
大好きだよ
の、呪文を唱 ....
老いた犬が一匹
薄手の夜を徘徊
虚ろな地面にこぼした瞳
あまりに強すぎる鉄風で
ちぎれた黒の隙間を探す
ただ鉛色の溜息を力なく嘔吐しては
生きる場所さえ探し歩く
運命が存在するならば ....
呼吸している胸が上下に小さく揺れる
小さな吐息をおしだして
生きている。
ねえ、
ちょっと胸をかして。
あなたを産んだこと
とても幸せだと思うの。
....
少しだけの眠りのつもりが
起きれば一人きりになっている
音楽室の隅、斜めに立ちながら
輪郭だけを残した人たちの足跡を
軽いステップ、かわしながら
半音、高いところを
やがてすり抜ける
....
古い廃墟になった工場の
今にも壊れそうなイスに腰掛けて
割れているガラスの窓から
うっすらと見えた
夕陽に心をいやして
このような不気味な場所にも
愛や感情が
....
アイスバーンの道を
一人むなしく歩いていた
いつもの風景いつもの時間
いつもの場所なのに何故か
ちがう世界に見えた
ガラスの瓶を拾って
思いっきり地面にたたきつけた ....
朝
早起きのできない妻を
どう思いますか
あなたの運転は
とても上手で
ゆりかごみたいに心地いい
かまってくれるひとがいいなら
わたしじゃ駄目よ
なんだか
この仕事に飽きちゃ ....
お前のために 歌っているよ
昼でも夜でも 街中でさえも
お前に恋しているのだ 私
お前を思って 名前を呼ぶよ
聞こえないのが 幸いだ
叫びすぎたら 喉が 裂けて
....
くだらないと口癖みたいに唱え続けてる人がいる
溜まってく不満のはけ口を探し続ける人がいる
まるでみんな監獄につながれてる囚人みたいにさ
どうしてあんな嫌な笑い方するんだろ?
満たされな ....
家出した
2軒先のオモチャ屋まで
所詮そのくらいの意気地
模型電車のガラスケース
豆電球が優しくて
何度も何度もトンネルを覗いた
眼鏡のオヤジが
オデコで睨むから
負け犬のように店 ....
おっきなイチゴを口うつし
チョコがけの甘いかわいいイチゴ
それからあたしのキミへの想い
キミのための
恋のメニュー
美しい赤ん坊のこぶしには滅びの言葉握られていた
怖い雨、怖い光を浴びまくり僕らは汚い名前をもらう
眩しくて見えない僕らの遺伝子に刻み込まれる悲しい記憶
誓い合う幼い僕たち ....
むかしね
月経の血を集めて
煮詰めて
お薬を入れて
人間を作ろうとしたんだって
あれは本当よ
そしてできたのがわたし
上手くできたでしょ
さあここにも入れてみて
どんな具合がする ....
今日も明日も明後日も
ぼくは何かを捜し続けるだろう
何を捜しているのも忘れ
そしてその忘れた物を捜して
それが永遠に続いていた
ぼくの捜していた物はなんだっけ
子供 ....
潜水病になった人魚と二人で
万華鏡を取り合って
あんまりひどく騒いでいたから
押入れの中から鬼が出てきて
キクコとカナエを連れ去った
着物のすそは、千代紙を散らす
あまいピンク ....
若かりし頃 王は素手で獅子を倒した
名乗りあげる諸国の王を一網打尽にし 全土を我がものにした
五千の敵兵を数百の兵で打ち破り この国を救った
王は民のために善く尽くした
民の笑顔を自らの幸 ....
机から乗り出して、君の姿を探します
机の角に私と君の相合傘
君の背中に私の顔が映っている
目を合わせてみようか?
そらされる恐怖が脳裏をよぎり
何もできない私が此処にいます
こ ....
心は、ハートと言うガラスの入れ物……
けれど、濁っていて自分さえ分からない……
━━その瞬間━━
僕は見た。彼女の心が壊れた瞬間を…
僕は聞いた。彼女の心が壊れ ....
猫みたいだ、って言うから
猫みたくしてるのに
空に見える猫の引っ掻いた爪痕まで 届きそうにないの
指は折ればただの飾りになるわ
言葉は書き残さなければ詰らぬ伝記にすらなれない ....
もうすぐぼくは旅にでるよ
何にもなく
宛先も書かれていない
手紙だけを頼りに
ぼくは昔のアナタを思いだして
排気ガスにまみれたこのどぶ臭い
町を今日でる
古ぼ ....
夢が家から出て行った
夜遅くに
理想が家から出て行った
こっそりと
繁栄が家から出て行った
何も残さずに
主を起こさぬように
みんな気を遣ったのだろう
残ってくれた希望だけで
....
拙い足で
震える声で
何か強く刻まれて
私は死んだの
泥にまみれ
涙も出ずに
空にしらけていた
私は死んだの
歩いた道に
意味だけ探し
むしけらのように軽く ....
気にしても仕方がない
の精神で
逃げようとして
結果はいつも残酷だった
結局は繰り返すことで
黒い円を描いて
同じ場所に戻りながら
落ちていくばかり
小さな幸せを
....
めのみえない
さかなたちと
ふかいみずのそこを
およいでいる
ふかいみずのそこに
ひかりは とどかない
かきみだされた
みずのながれだけが
さかなたちの
そんざいを つたえる ....
犬が
車の中でしっこを漏らしたので
ため息ついたが
怒らなかった
しっこを漏らすだけの
理由めいたことがあるから
仕方がない
あずけた先では
泣きべそのように
眼が赤かった
....
水槽の中には
迷い込んだ
ひとつコブの駱駝がいて
その上は
とても静かなので
置かれるものがない
それをあなただけの
目が見ている
寝癖が空調にそよぎ
わたしはも ....
恋愛って何なのか分からないまま
体だけやたら大きくなっちまったな
だからたった今第一ステップの勉強したんだよ
何だよ悪いか?
立派な大人って呼ばれるためには
まだまだ沢山のこと学ばなきゃ ....
1 2 3