夕焼けの小瓶
佐野権太

夕焼けは決して終わらない
さっき、オレンジのストローで
おもいっきり膨らませておいたから
輝く小石たちのいるポケットの輪郭
指先の土は、もう、乾いた


工事現場の重機の群れは
拳を打ちつけたまま
動く?
動かないよね
三角コーンにとまった夕焼けを
こっそり捕まえる


焼きたてのパンの匂い
緩やかに折れ曲がる車輪のひかり、風
みんな
どこへ行ってしまうのだろう


背中に溜まり始めた黒い雫に
口を固く結んで
駆けて
長い影、跳んで
見たこともない
海を探しに





自由詩 夕焼けの小瓶 Copyright 佐野権太 2007-02-19 09:25:49
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