蕾 
服部 剛

フェンスの下に 
種はかれ 
土から小さい顔を出した 
緑の芽 

いつしか 
空へと背丈を伸ばす 
一本の木 

錆びた金網は樹皮に喰い込み 
幹はフェンスのふちを 
苦しげにんでいる 


( 誕生はいつも 
( 場所を選ばず 
( 今日も遠い国では 
( 一切れのパンも無く 
( 母の乳房にすがって泣く 
( 赤子等に 
( そ知らぬ顔で 
( 地球は回る 


何処どこの場所でも 
地の深くに根を張り巡らせ
変わらずに立つ
一本の木 

( 日々の冷たい風に吹かれて 
うつむくわたしの内に立つ 
( 一本の木 


あおい風の吹き渡る 
雲一つ無い
弥生の空 

うぐいすの鳴声 

見上げた 
無数の枝にふくらむ 
白いつぼみ 





自由詩 蕾  Copyright 服部 剛 2007-03-23 11:04:08
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