すべてのおすすめ
今夜半過ぎ
関東から東海地方にかけて
優しいものが降り積もるでしょう
と、予報士は言った

翌朝
優しいものは降った様子だったけれど
予報どおりに積もってはいなかった

私たちは ....
 
たくさんの鳥

そして少しの懐かしい人を乗せ
他に何も無いような空港から
飛行機は飛び去って行った

覚えていることと
忘れていないことは
常に等量ではない

夏の敷石の上で ....
書庫の扉を開ける
水の中になってる
たぶん海なのだと思う
昨日まで資料や本の類だったものが
魚みたいに泳ぎ回っている
手を伸ばして一冊つかまえる
ページを開くようにお腹を指で裂くと
文字 ....
弟はいつの間にか
僕の背を追い越していた
身長をたずねると
三メートル五十七センチ
と言って悲しそうにうつむく
明日になれば
弟は遠いところに連れて行かれる
多分頭のてっぺんも見えないく ....
一番線のホームを
羊の群れが通過していく
海の近くに
美味しい牧草地があるのだ
その後を
羊飼いの少年が
列車でゆっくりと追う

夕暮れ近くになると
列車に羊を乗せて
牧舎へと帰る ....
 
採石場の跡地を
ヒトコブラクダが
ゆっくり歩く
かわいそうな気がして
コブをもうひとつ
描き足してあげた
耳の奥を覗くと
夜が明けるところだったので
慌てて帳面を閉じた
 
 
 
 /雨が降ってる
  小さな砂漠なのだと思う
  講師は教壇に立ち
  黒板に自分の名を書く

  「倉持康雄」


はじめまして、倉持です
皆さんにとって実りのある研修 ....
船着場でピアノを弾く
白い鍵盤しか習ったことがないので
黒い鍵盤に触れないように
注意深く弾いてみる
低い生垣の向こうから
病院の人がこちらを見ている
目が合い会釈をしたけれど
何も返す ....
寒い、と言うと
あなたはわたしの肩に
そっと
うなぎをかけてくれた
 
ぬるぬるして
うなぎも鳴くのだと
初めて知った
うなぎのさばき方を
教わったのも初めて
 
大人の恋は
 ....
手の震えがひどい日は良く眠れない
プラスチック製の消臭スプレーを握ると
少し安定して
それでも眠れない時は
若者向けの深夜放送を疲れるまで見て
やっと僅かばかりの睡眠を得る
昼間会いに行っ ....
角を曲がる
過度に曲がる
曲がりすぎて
大破する
大破した木造船の
欠片を集めて
人の形にしていく
そうしているうちに
祭りは終わる
消灯時間になる
何が耳かわからなくなる
誰か ....
大好きな果物の
味でもしたのだろうか
モノレールの銀色の車体に
君の歯型がついてる

先ほどまでは
玄関の無い所
スリッパと同じ格好をして
スリッパを並べていた
今は肩を丸出しにしな ....
男は体育館の裏に
女の歳の数だけ
星を埋めた

女は男のために残しておいた
夏の一番柔らかいところを
まだ寄木細工の箱にしまってある

詐欺師の家では
換気扇がゆっくりと壊れて
ま ....
駅前に
都会が落ちていた

命のように
きれいだった

なくさないように
拾って
ポケットにしまった

そして
三年振りの待ち合わせに
僕は現れなかった
正午から午後二時頃にかけて
北部を中心に雹が降った
農作物が被害を受けた
傷口から病害感染の恐れがあるので
薬剤が散布された
長い坂道の途中
幼い男の子が線を引いていた
線を引くと
線 ....
長い列車に乗る
弟が先に座って待ってる
向かい合わせになり
二人でハムを食べる
好きだったケチャップ味が
どこまでも続く
入浴もあったが
傷が目立つので
やはり列車でよかった
せめて ....
桃太郎の話をしてくれた両親も
物語のおじいさんやおばあさんと
同じくらいの歳になった
今の時代、洗濯は機械がしてくれるけれど
腰が痛いと言うので
今日は妻が洗濯物を干してる
僕はいつものと ....
少し離れた
海のようなところを
目覚まし時計がひとつ
泳いで行きます
古い色のバス停で
返却期限の過ぎた図書を
二冊抱えたまま見送る
息継ぎだけが
わたしの動作でした
帽子の話はひととおり終わり
白い塀が先の方まで続いています
突き当たりの干物工場を右に
道順を教えてくれる指先は節くれだっていて
足元には重いものに潰されたような
カマキリの一部が残っていま ....
小さな馬が一頭草を食んでる
いただきます、も
ごちそうさま、も
一生分言ったのに
まだ何も言い尽くしていない

クイーンズタウンの山の上にある
レストランで食事をした後
近くの牧場で馬 ....
ひとがひとの形をして笑っている
ひとがひとの形をして泣いている
国道を走り
国道は走られ
やがて国道は海へと続き
ほとんどのひとはその手前で右か左に折れ
他の所へと行こうとする
ひとがひ ....
オシロイバナがどこまでも咲く
原っぱの真ん中で
日焼けのしていない細い腕を
嬉しそうに振り回している
いくつになっても夢をあきらめない
ここまできてやっと
あなたは扇風機になれたのだった
たこの入ってない偽物のたこ焼きを
俺たち、食べ続け
成犬になるまで幼犬を
俺たち、育て続け
そのあとはライブハウスで
ヒトデの数を愛と間違え
隣の人に怒られている
ロック、俺たちのロック ....
ウォーリーは探されなければならなかった
探されるためには行方をくらまさなればならなかった
行方をくらますためにはいつも同じ服装をしなければならなかった
その服装が決めたものなのか決められたものな ....
テレビの画面いっぱいに
モザイクがかかっている
娘は笑って見ているから
面白いアニメか何かなのだろう
低俗なものはきちんと排除され
僕らは安心を手に入れる
新聞の記事にもモザイクはかけられ ....
母が縄跳びをしている
僕はしゃがんで回数を数えている
あんなに腰が痛い
と言っていたのに
背筋をピンと伸ばして
交差跳び、綾跳び、二重跳び
次々ときれいに跳んでみせる
既に数は百回を超え ....
階段の近くで生まれました
階段で話をして
それから歌い
お互いの名前を呼び合い
Tシャツ、セーター、靴下、下着の類
何度も着替えをしました
時々触れて
時々離れて
おしなべてそのどちら ....
庭の木にニンジンがなっていました
友だちは一本もぐと
器用にカッターを操って
舟の形にくり抜きました
池には用水路で捕まえてきた
小さな黒い棒状の魚が群れて泳いでいました
浮くことなくニン ....
交差点で迷子になっていたラマを
保護した警官の官舎には
ひまわりに似た花が
誰かのために一年中咲いている
庭の木々は良く育ち
晴れた日はアスファルトの道路にも
木漏れ日を落とした
通学路 ....
豚はどうなるんだ、と怒号が飛んだ連休前の特別会議


ファックスのそばに置かれた空き缶は明日誰かが捨てるのだろう


二度目の稟議書が読まれることなく机の上に放置されてる


唾つけ ....
ルナクさんのたもつさんおすすめリスト(288)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
坂道- たもつ自由詩1607-6-24
綴じ代- たもつ自由詩2607-6-21
書庫中- たもつ自由詩3407-6-19
てっぺん- たもつ自由詩1407-6-12
行程- たもつ自由詩1907-6-11
- たもつ自由詩2407-6-10
雨音- たもつ自由詩1607-6-8
- たもつ自由詩1107-5-30
大人の恋- たもつ自由詩23+*07-5-29
- たもつ自由詩1107-5-28
祭り- たもつ自由詩1107-5-26
戯曲- たもつ自由詩1207-5-25
あしたのわすれもの- たもつ自由詩907-5-20
待ち合わせ- たもつ自由詩1507-5-18
報告- たもつ自由詩507-5-17
扇風機にコエ- たもつ自由詩607-5-16
昔話- たもつ自由詩13*07-5-14
動作- たもつ自由詩1507-5-11
道順- たもつ自由詩2407-5-9
イメージ- たもつ自由詩1207-5-8
灰と雪- たもつ自由詩1107-5-8
果て- たもつ自由詩14*07-5-6
詠えるロッカー- たもつ自由詩11*07-5-4
探されウォーリー- たもつ自由詩1707-5-3
モザイク- たもつ自由詩3107-4-30
まぶた- たもつ自由詩3007-4-28
木漏れ日隠れ- たもつ自由詩1107-4-27
前日- たもつ自由詩807-4-26
木漏れ日隠れ- たもつ自由詩8*07-4-26
オフィスの休日- たもつ短歌1007-4-25

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する