たもつ

船着場でピアノを弾く
白い鍵盤しか習ったことがないので
黒い鍵盤に触れないように
注意深く弾いてみる
低い生垣の向こうから
病院の人がこちらを見ている
目が合い会釈をしたけれど
何も返すことなく行ってしまう
たぶん病院の人は知らない人
到着した船から
免許センターで膝を擦り剥いた人々が降りて
辺りは一面賑やかしくなる
少し歩けば
「春を見つける会」の会員が
緑地帯で食味の良い野草を摘んでいる


自由詩Copyright たもつ 2007-05-30 08:40:53
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