すべてのおすすめ
そしてあなたは走るのでしょう
今日の扉を次々と開いて
明日へ逃げる光を追いかけるのでしょう
わたしは 息吹き
わたしは 芽生え
あなたが扉に手をかけた瞬間、指先で静かに光 ....
歯がしくしく痛む夜にミントを、
初夏の風と小さな葉っぱを
コップの水に
くるくる溶かして
蛍光灯の下で、うがいする
クールグリーンの麻酔をかけられて
小骨のように引っかかっている、 ....
あいされたい
きれいに見られたいと思って
心を宝石で飾り立てても
光の底に泥沼がよどむでしょう
あいされたい
つよく見られたいと思って
心を諸刃の剣で守っても
自らも世界も黒い血 ....
もしも願いが叶うなら
風のカナリアになりましょう
綺麗と誉れる籠を出て
道なき森を羽ばたいて
君の行方を輝かす
名もなき唄になりましょう
家を飛び出し幻の
故郷求めてがむ ....
桜よ
あの人を包んでください
黒い古木にもたれて
胸の傷に手を当てる
あの人の背中をさすって
夜空の花となり生温かく散って
ほのかな明かりで目隠してください
ひとひらひとひら
....
世界がスッと聞き耳を立てるから
私は黒猫になって逃げる
トレモロしはじめる胸の高鳴りと
アスファルトを飛び跳ねる
肉球のリズムが重なって
不思議な旋律を描くから
誰にも本音を ....
春だから って
がんばらなくても
いいんだよ
桜のつぼみが
あちこちで
ちっちゃな
熱気球みたいに
今にも舞い上がりそうでも
はりあうように
がんばらなくても
いいんだよ
....
?
おやすみなさい
の 一歩手前で
あなたが瞼に口づけするたび
生まれて初めて目にした光
を思い出しました
ツキン、と 氷の欠片が飛び散って
あなたが狩人の鋭さでもって
....
はるをまたずに
なんでなんで
咲くの
底冷えの寒さを
わざとえらんで
ウメは咲いて
あっという間に散って
白くやわらかな
なきがらの下から
プチンプチンと
....
(みえる?)
みえるよ
(きこえる?)
きこえるよ
空の色も 土の声も
自分の魂の熱いゆらぎも
氷の蕾だった五感が
白い星になって咲いた
「私」という宇宙は はじまった ....
大人になりたくない と
純粋に逃げ続けた頃は通り過ぎ
大人になれない と
不透明な迷路で行き詰まった頃に
私はあなたの詩にえぐられました
初々しさが大切なの
人に対しても世の中 ....
赤と青を混ぜたら
いつか二人で手を繋いで飛んだ
有明けの紫の空になり
青と黄を混ぜたら
いつか二人で脚を絡ませて泳いだ
底無しの緑の森になる
私と君は
天を指す草原、地を ....
【運転室】
ミステリーツアーの
ほんとうの行先は
汽車の運転手さえ
知らない
行先はレール任せなので
運転手は楽譜を前に
指揮を振っている
振りをしているに過 ....
恋とは
自分にないものを
求めることなら
愛とは
自分にあるものを
抱きしめることでしょうか
「愛し合う」とは
言うけど
「恋し合う」とは
....
私の父は沖縄生まれだから
血の半分は南国のものなのよ
と、言ったら
君は目を丸くして色々聞いてきたね
東京の凍りつきそうな夜に
白い息をふっと吐き出して
私は記憶をたどって常夏の話をする
....
詩のフレーズを思いついたとき
メモをする
ひとつひとつの言葉を
忘れてしまっても
メモをスッと取り出せば
鉛筆を走らせたときの息遣いまで
いきいきと蘇えるように
私の生 ....
ぎゅっと
ケチャップのチューブをしぼって
出来たてのオムライスに
真っ赤なうずまきを描いた
かわりに涙が
ほほを伝わないように
悪いのはお前じゃない
と 言って
....
あっ、わたし
ふきとばされにきたのかもしれない
冬の砂浜では髪も波打って
耳も引きちぎられそうに寒くて
ワタシヲ
マモッテキタハズノ
カタイカラサエモ
泡となって ....
わたしが
うまれてから
なみだを
このてで
ふくまで
ちちははは
どれほど
こころを
ぬらした
ことだろう
いきていく
....
ケータイの震えをピッと指で止め、いつもの声にからだ温もる
「何してた?」「月を見ていた」五百キロ離れた二人を結ぶ光を
電話だと君の声が近すぎて星座をつなぐ孤独に気づく
....
発売まで指折り数えたCDを
ようやく手にして
するするセロファンを
むいているときのときめきは
リンゴを倍速でむいているみたいで
ポンと
再生ボタンを押すと
さらに加速度を増して
....
目蓋に浮かぶのは 淡い光
脳裏に浮かぶのは パソコンの残照
会社から帰ると
バスタブよりもベッドよりも
まずはソファに沈みこんでしまう
ストッキングを脱ぐと
両脚が渇きを満たすよう ....
両手いっぱいの雨に
涙がまじっていたら
うけとめる方がいいのか
ふれない方がいいのか
なやみます。
うけとめた涙は
そっとしてほしかったかもしれません。
....
紙一葉の重みは
風に飛ばされるほどだけど
そこに詩が綴られたとき
人の生に響くほどの
力をもつことがある
詩よ
天の恵みを浴びて
我の中に実るもの
いつかはたれかの鳩尾深く
....
1 2