すべてのおすすめ
折れてはじけた針の先
小さく鋭い小さな痛み
難しい言葉なんてほしくない
せめて 恋の証として
ただ一つ残された瞬間の
君の末梢を
いつでも
思い出せるように
女に刺されて死にたい
刺した女を愛したい
俺はおまえのものだと
女の耳に囁きたい
刺されながら女に詫びたい
すまなかったと
抱きしめたい
体温の凍てつくまで
女の肌に触れていたい
....
半分描かれた
絵のなかの原
どこへそよぐ
絵のなかの原
ことり
ことり屋の前をゆく
ことり
声は少なく
一本空けた
りんごの酒
二本めは苦く ....
夕陽の色を集めれば
溶かせたでしょうか
旅行く雲に焦点を結べば
胸に焼き付くでしょうか
風に吹かれる風車も
いつか飛ぼうとするように
いつまでも見つめているだけでは ....
知っているのですか
あなたと
わたしが
手を合わせる
その意味を
つなぐ、と
つながれる、の
隔たりをあなたは
まるで何も
知らないかのように
この寂しさを
知ってくださ ....
己に酔って
緑に心を晒した男が
緑に穿たれ 散ってゆく
雨に打たれ
あとかたもなく
虚ろな道に 消えてゆく
おまえのなかに獣はいない
おまえのなか ....
ら
か 雨が生え ・・ ・・・・・・・落つ
雲 雨が生え・・・・・・・・ ・落つ
い 雨が生え・・・・・ ・・落つ
暗 雨が生え ・・・・ ・・・・ ・・落つ
の 雨が生え・・・・・・・ ....
枕のなかに棲む魚が
ゆうるりとからだを波打たせている
何の音もたてることなく
ただ端から端へと動いている
わたしは魚が静まるのを待ち
左向きに頭をのせる
魚はい ....
天気雨を見つめる瞳の
涙はとどく
空の王座に
数十枚もの翼を持った
金色の生きもののことを考えるたびに
自分の内から眠りが消えてゆく
そしてそのあとに必ず
奇妙な痛みがやって ....
ライラックの関節
樹脂の花
石鹸の羽
咲き誇る
手も足も
沼のもの
たたきつけられる煙
....
左目の下に
はばたきがある
つねに つねに
はばたいている
二本のレールはずっと平行線
交わる時は必ず分岐点です
言い訳の出来ない
ダイヤグラムでは
二つの時間だけが時折
交叉していきます
ホームの対岸から差し入れられ
....
わたしが歩くと
風下が来る
今日は
羽だけの生きものが流されてきた
ただ生きているだけなので
また
流されていってしまった
羽だけの生きものは
風の柱をまわ ....
耳
の奥
の枝葉
の枯れ屑へ
足音の一人分を
沈め続け
祈り
の指を
耳たぶ一人分に
勘を頼り当てやるも
冬に備える温度の一人分も
何処にも少しも ....
自分は座っている
名前を呼ばれて
まわりの人はいなくなる
自分は座っている
まわりの人はいなくなる
自分はいる
いなくなる
自分は
いる
いな ....
シリンダーから彗星がほとばしり
縄跳びの軽便鉄道は
宵の明星を目指すんだ
薄暗い星雲を踏みながら
ほら日本海、漁の送り火が
暗闇に星空をまねる
おなじ目的地の
....
空へとつづく迷路に生まれ
空とは知らず昇りつづける
落ちゆくかけらの姿が見える
くすぶる姿で描きつづけている
湿り気に満ちたからだを
光の板におしつけ ....
窓を閉め忘れ
緑のにおいに
眠れずにいる
空腹の夜
ひとかけらずつ
崩れる街を登りつづけ
眠れずにいる
空腹の夜
触れることさえないままに
気づいたときに ....
自分が自分かもしれないことを
思い出すのに時間がかかり
鏡の前で
裸のまま立っていた
自分は
どこにもいないのかもしれなかった
わんこ ほえる
....
銀の魚
剣になり
杖になり
機械のように ひらいては閉じ
闇のなかで
笑いかがやく
....
あなたはよく熱を出して
自分できづかないでいるので
いつも僕は
こっそりとあなたのひたいをひやす
あなたがきづかないままで
また
まっしろな
あのベランダに 立てるように
....
わたしは咲いていた
わたしは咲く
わたしが咲くとき
わたしが咲けば
わたしよ 咲け
あなたが咲くうたの
聞こえるところ ....
手の上の蜘蛛が去ったあとで
いつ付いたのかわからない傷を
ふたつ 見つける
衣擦れの音は
人の声のようにやさしく
草の声のようにきびしく
夜を過ぎる者の足元にからみつく
あたたかく 目を閉じ
....
一枚の地図が置かれた
薄暗い部屋のなかで
手のひらに生えた双葉を
見つめていた
午後と夜の間の光の
素描の街を
行き止まりに至る道を求めて
さまよっていた
まず まどを あけよう 。ほこりで 湿った まどを あけよう 。 顔を あらおう 泪 で しめった かおを あらおう 。 泥を おとそう 。 生き方に 迷った ドロを おとそう 。かみを とかして 御 ....
車道に向かい 身を傾けた
コンクリートの猫
雨あがりの光を狩る
飛べないから
ビブラートがかかった
針金の先
ステンレスの廊下
突き当りを見失った
憤死している僕の恋人
片付けられることのない夕食
まだ支度されてないリビングで
共同の指先が
光源 ....
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