立っているだけで構いませんからと
レジ係を頼まれる
お客さんがカウンターにやって来ても
その言葉を忠実に守り立っているだけにする
約束事のように一人また一人と列に並び始める
お弁当コ ....
海辺の夜、わたしたちは畳の部屋で本を読んでいた。父と母はど
こかへ出かけていた。わたしは「太閤記」を読んでいた。母の子
供時代の古い本。兄と弟が何を読んでいたかは覚えていない。父
と母が旅館に戻 ....
三発目のライダーキックが、
不発に終わった時。
ジューの命運は尽きていた。
だが、
ここで敗北を、
認める事は出来ない。
来る金目鯛星人の襲撃を、
眼前に ....
天使の羽と羽のあいだに
指を一本差し入れたなら
天使もあなたもその刹那
よろこびのなか
気を失うだろう
ようなし
声がしたので
いよいよ来たかと覚悟した
用がないなら帰るよと
帰り支度をしたら
洋梨の皮を剥いている
たくさん貰ったから
お裾分けだといいながら
たくさん剥いてくれる
....
「もも」のような人だった
夏の始まり
胃のあたりにひどい痛みを訴えて
青白くやつれていった
食べものの好みが変わって
「ガン」かもしれないと感じた
不意に 人生の何分の一かを失う と思った ....
月のしずく
やどる草陰
いともたやすく
朝陽にとける
心ころころ
恋心にも似て
儚きものこそ
うつくしく
しばし留めん
愛しきすがた
風
とまっている
港に静かに
笑いと夜がふってくる
ガラス張りの体のなかに
小さな傷跡が
古い子守り歌を
歌っている
明日を懐かしむ
風の歌
稲穂が揺れて
はずかしそうだ
去年の年賀状の返事も出さないうちに
また来年がやってくるというのか
引っ越してからまだ一度も
開けていない段ボールがひとつある
正直怖い
お引っ越しのお祝い返し?
オノレはキャンディー ....
なつかしい歌がきこえた
もう歌詞なんて忘れてしまったんだけど
小さなころ大好きだったのは
よく覚えてたさ
このところの僕はそんなこと
どうだっていいなんて思ってた ....
秋の空 深呼吸にも 味がある
真っ暗い僕の部屋に 僕の鼓動だけが響いてる
誰も探してはくれない
誰も答えはくれない
{ルビI looks a if me were dead=僕はまるで死人のよう}
どうしたら気づい ....
時の気まぐれにさぁMicrophone
握り締めるって具合に抵抗していこう
世の中にKick、揺らいだ後はPunchぐらいって弱っ
四苦八苦なんてそんなもんだ、要は。
沸き立つ殺気立つ鼓動 ....
わたしのなかに
流れる川だ
あなたは
たちどまるな と
言いながら
あなたが
流れた
わたしには
方角などわからない
ただ
ここに立ち尽くす
だ ....
人の仕事までとって
頑張ってみせても
それ
本物じゃないでしょう
アナログでごめんなさい
真似すればいいなら
得意なほう
だけど
私の作ったものを
愛してくれてありがとう
....
上野まで
行けるかしら
イチョウという名の銀杏
黄色がふる
「君と行きたい」と
言ってみてはだめですか
無意味な
意味のあることを
君としたい気がしたのだけれど ....
長雨の続く夕刻の水溜まりに影が映ることは
ない。泥水のように濁るわけでもなく、清水
のように色も無くすべてを透過するわけでも
なく、それは雨水と呼ばれるものと酷似して
いる。事実、それ ....
ちくしょー、平太郎のヤツ、ばっくれやがって
俺のことまったく知らないだとー、あいつ
いてーなー、もう勘弁してくれよ
なんだよ来てんの真理だけかよ、ふざけんなよ
ああー、絵里、絵里、なんで見捨て ....
わたし
(現象する
音声に燃えていく
{ルビ紅=くれない}する
空ろな現存の呻き
青ざめる{ルビ夜=よ}
鋭くかげる新月に
引かれる心音のにじみは
血管を震わせて
蒸発してゆ ....
種子が私を追い越そうとしている
それはとても嫌なことなので
速度を上げる
と、背が少し伸びる
冬に逝った人の名を
夏の終わりになって
帳面に書き足す
遠くが見えるということは
かわ ....
からだをすり抜け まわされる腕
天使よ てんし 地使よ ちし
少しだけ浮くおまえの軽さ
水たまりの上の葉を踏んで
湿った土にひろがる重さ
毒のめまいを消し去るめまい
新たな ....
青白く揺れる
羽根が生えた最新型のカマロで
ブッ飛ばす15号湾岸線
そんなイメージを
頭ン中 描き出してみる
そいつが走った跡には
メタリックブルーの細いラインが残って
暗闇で浮 ....
丘の向こうに
花が咲き乱れている風の土地が
あるはずだ
壁の向こうに
人が入り乱れる道の十字が
あるはずだ
空の向こうに
塵が飛び交う真空の光が
あるはずだ
不可視の領域 ....
ちからのかぎり
なやんで ないて
さけんで たたかい
やぶれさった すがたのまま
なつがおわるまで たっている
詩が生まれた
あなたはどこから来たのでしょう
あなたに辿り着くまでに、
どれだけの根を共にしてきたのでしょう
たくさんの親指に包まれながら
あなたは産声を揚げたのです
この世に生まれた ....
stage.0素‘イマジン-言葉の起源-’
言葉を捨てよう
言葉の意味から覆そう
言葉は終った
言葉は文字
言葉は積木
言葉は鳥
言葉は空
言葉は表形
言葉は水
言葉は塵
....
混むから夏コミ
違うよ
頭をぽかり
兄貴はタバコを吹かしている
そんなことも分からない中学生の弟が歯がゆくて
ため息混じりに煙を吐いて
二階の部屋に閉じこもる
計算機
機関車
....
混沌 飲み干す 喉仏 上下する 音
澄み切った 空に 反射する よだれ
仏は 喉になんか いないのだよ 君
閃光に 目を閉じる 反復する 快楽
澄み切った よだれ 終わらない ....
とんがった帽子をかぶった 魔法使いはこの人生を 何色にも変える
テレビの映像は この世界の全てのように 僕達の前に立ちふさがる
緑の森の妖精は 何を思うだろう?感じるだろう? ....
あの頃、君に告げられなかったことを今
***
ねぇ、君
冷やし中華を誰よりも早く始めたいの、とはりきる君の姿が僕は好きだったんだ
ねぇ、君
扇風機の首フリに合わ ....
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