ふいにはじまり
ふいに終わり
悲しくそこにとどまるもの
晴れた夜の無灯火の群れ
光をちぎり 与える誰か
ちぎれる前の 光のありか
地に倒れた外灯が
赤い星を聴いている
青に ....
昨日 男が欲しかった
非常に発情しているのがわかるの、”らん”は左側から排出されていてよ。
けれども赤く、流れてしまった
あなたが早く来ないから、流れてしまった
お会いできるの ....
そこにいるのはきみだけ
ほかにだれもいやしない
どんなに
往還しようとも
登場者は
きみだけ
すぱいらるにすすむだけ
けだるくぎこぎこいうだけ
そのぶらんこの王様は
....
我はいまはたちの友人のことおもう。
かれのあしたは はたちのあさ
迷惑もかけしはたちのきみなれど
われきみに限りなき幸い贈らん
ふくろうとみみずくのとも吾ありて
きみにしんぱ ....
マイケル・ジャクソンに良く似た男の鼻が取れたそうだ
そいつはムーンウォークが下手な男だったけれど
外見だけは大そう似ていたんだ
真っ赤なシャツに真っ白いジャケット
取れた鼻をつかんで便所に向か ....
テーブルの上にはワイングラスをふたつ 仕事の帰りがけに買ってきた今年収穫された葡萄で作られたワイン ボージョレ・ヌーボーの栓を開けよう 僕の他にこの部屋には誰でも居ない 君が頬杖を突いて物思いにふ ....
チックは俺が怖くない人だと分かっているのに
俺と目が合うと急いで逃げる
なぜならチックは俺に愛されたいのだ
チックは俺にお金をくれたり
イベントの手伝いをしてくれないので
....
雲ひとつなく秋晴れの空
父の運転で越えていた峠も
いまならば
自分の運転で越えられる
アクセルの踏み加減でスピードを調節
ブレーキなんか踏まない
でも
思いの外カーブは厳しい ....
なにをしてもひとり
どこにいてもひとり
だれといてもひとり
振り返り
振り返りて
揺れまどう
振り子は
東から西へ
と
羊を追いて
ほをすすめてとおし
積もったほこりは あかるさゆえに宙を舞い
はにこすれてかぜは てんてんと夜 ....
東京の夜空は明るい
坂口安吾の描いた
戦後の静謐など嘘みたい
昼と夜を履き違えた植物は
花を咲かすことを忘れてしまった
人は偉大なる太陽を忘れてしまった
見て
人工の星がきらきらと瞬いて ....
ひそかに星の綿くずは
空のすみに集まってきて
夜の終わりもはじまりも
一緒のようにまたたいている
かじかんだ手と手を重ね
鳥を光にほどく息
どこまでも白く
どこま ....
私が泣いていたら
一緒に泣いてくれて
楽しければ
一緒に笑ってくれる
人見知りする私に
毎日声かけてくれたね
どうしようもない時
傍にいてくれて
ひとりじゃないって実感してた
....
3列にお並び下さい
3列に並んで到着をお待ち下さい
3列目のお客様には特別の駆け込み乗車を差し上げますから
到着するまでは静かにお待ち下さい
殺風景な
公園前派出所にも
桜の花を飾る皆 ....
信じるものは
必ず裏切る
その
摂理を許しながら
壊れたものは
壊れたまま流される
暗闇が
暗闇のまま発光するように
欠けたものは
その空虚を慈しむ
欠落は甘い
それを知るも ....
ギンガミ、ギンガミ 金呉れた
傘の花が開く頃 ギギギの尊が肯いて
平和の意志杖 おっぴしょる
ギンガミギンガミ 鳴り響く
オタカラ、チカラの揃い踏み
春の日永の暮れ六に
土俵を ....
くらげに刺されて
手がしびれ、
正座をしていて
足がしびれ、
肘をぶつけて
腕がしびれ、
血を抜いて
唇がしびれ、
眼が合って
心がしびれ、
ニュースを観ていて
頭がしびれ、
....
暖かい闇が
降りてきて
お帰りなさい
と
呼ぶ声
お布団の中には
たくさんの小人
目を閉じて
深呼吸
この体は
わたしのもの?
ほどけてゆく
でろでろ
でろりん
泥沼のなか
私が持っている鍵を使って
あなたの心に入り込む
でも今は
鍵穴が新しくなり
私の鍵では入れなくなった
私への想いがなくなった証拠
使えなくなった鍵は
捨ててしまおうか
私の ....
幼き頃
大事なおもちゃは全部弟に取り上げられた
母に話してもお兄ちゃんだからがまんしなさいと言われた
よく妹をいじめて遊んだ
そのころの楽しい思い出が僕には全然ない
家庭の ....
家屋は言葉のように
優しく朽ち果てていた
時間があればそこかしこで
両親は笑顔を絶やさなかった
幸せな玄関ホール
その壁には今でも
兄と私の指紋が残されていて
静かに機械の匂いが ....
知っているのですか
あなたと
わたしが
手を合わせる
その意味を
つなぐ、と
つながれる、の
隔たりをあなたは
まるで何も
知らないかのように
この寂しさを
知ってくださ ....
登戸を過ぎて
多摩川を渡る
東京が網を張っているから
みつからないように
知らん顔する
空を飛ぶ鳥はカスミ網に捕まる
水を泳ぐ魚は投網に捕まり
もぐらもちのように河底を潜るか
電車 ....
国道沿いのマクドナルドで
あなたのシルエットを買った
伝えたかった言葉で
支払いを済ませる
足りなかった文字が、あったような気がする
4時限目の鐘が
モノレールをつたって、とど ....
{引用=冬}
一月
夢から覚めた
中世の僧たちが
山の僧院から
列をなして
出てくるところだった
杖を突きながら
歩いていた
暗く
葬列
そのもの ....
水は途絶えを忘れる薬
波を待ち望む青年や
イルカを愛する少女の瞳
波うち際に揺れる小舟や
小高く揺れる果樹の枝
彼ら
彼女らの
その目の海は
わたしには見えない
....
ぼくは詩を書く
第一行目を書く
太陰文月七日
闇に棲む女の肌を鞭打つたましい
こんにちわ
こんにちわ
炎の船の喜劇的な電源
血だまりへの落雷だ ....
さようなら 悲しい人
そのアクセスは朝未きまで途切れなく
届かない女を探り続ける
あの秋
重い鎖は切られることなく ウインクひとつでとけた
遅い朝 手を伸ばしても
溜め息ですら拾えない
....
午後の紅茶に
隠れてます
笑ってるし!
ときおり隣りのおやじは
歌い出す
ムード歌謡とかいうやつを
でも別に嫌いなわけじゃない
とりおり隣りのおやじは
大声で電話で話す
玄関先で出会うこともある
....
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