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すぎる光が
雪を揺らす
返らぬ応え
進みゆく火


安らぎに失われる言葉があり
ひとりの歩みに降りてくる
青く尾をひく虹彩の
重なる軌跡に降りてくる


赤い布 ....
棚から落ちて
壊れた箱から
ころがりいでた
あねといもうと
今日は何をして遊ぼうか


ことのほか色を見たいのに
絵の具はどれも薄れてしまった
むらさきになるまでたた ....
光は翳りの青に水
隠された刃の嘆息を見る
雨は何も濡らさずに
ほんの{ルビ我頭上=わずか}に平たくとどまる



夜ともなればあたりは静かなうなりを残してしん ....
鳥のかたちをした穴が
空に無数にあいていて
誰かが底からこちらを見ている
誰かと仲良くなれなくてもいい



猫のかたちに溶け残る雪が
猫のかたちの壁のよごれに
小さく小 ....
斜めの道を歩きつづけて
直ぐの道に出たときの
めまいにも似た左の震え
つまびく果てのリフレイン


穴だらけのひろい通りを
下を見ずに駆けてゆくとき
街を横切るもうひと ....
さびれた館の馬像の陰から
子供が数人こちらを見ている
塀は陽に照らされ指にやわらかく
その上で子供のひとりが
虫喰いの木洩れ陽を目にあてて笑う



水たまり ....
王が死に
幼いその口に入れられるのは
黒白鳥の羽ばかり
色と光が人々をおびえさせ
細い指に触れる者さえいない
遠まきに見つめ 目と目をかわすだけ
川の音がしだい ....
光の点の物語
夜の喪に立つ蒼い{ルビ蝋柱=ろうちゅう}
けものの笑みが途切れ途切れる
風が廃駅を削いでいく
茶のひろがりの終わるところに
金にかがやく草で編まれた
 ....
人という生きものは
ずいぶんと もうずいぶんと
生きものから離れてしまったのだろうけれど
まだかろうじて生きものでいて
遠く見えない同類と
同じように波打ちながら
それでい ....
みすぼらしい着物を着た子が
{ルビ弦=つる}のない弓を持ち
灰と緑の風を見ている
夜の池に浮かんでは消える
銀と金のかたちを見ている


かがやく葉を持ち
誰かが森を歩いて ....
冬の赤い実
ひとつのざわめき
低い煙が
一瞬だけ
白く白くひらめくとき


銀の雪道
すべるように過ぎてゆく人
まるく 遠く
鏡の奥へと去ってゆく景


見つ ....
  



明るすぎる夜に笑われ
飛び立つことのできない鳥
低く地平に交わる{ルビ雷=いかづち}
遠くも近くも消し去りながら
鳥の横顔を照らしている
かがやく雲はさらにか ....
鏡の底に雪が降る
夜の終わりが
夜のはじまりへと落ちてゆく
地に映る光が
空へ空へとのぼってゆく
鏡の底に
ゆっくりと降りてくる逆さの鳥
沈んでゆくもう一人の自身 ....
雨と雪の数えうた
青と金の飾りの手
かたびら かぐら
しずくのふるえ


色と色の板たちが
音の無い地に鳴り響き
しずくの上に羽を描いて
空を少しずつ明るくしてゆく

 ....
ちからはちからへ垂直に落ち
からだはからだへ傾いてゆく
気まぐれな風の格子
雪道に揺れる草の影
重なるようで
重ならぬもの
煌々と冷たく
空を持ち去る


何も書かれて ....
しあわせを逃がす手のひらおぼろ月



晴れわたり心ふさがる青の青



風の背の名を問うなかれ枯れ葉舞う



心の手閉ざすたくらみひらく花



野 ....
己に酔って
緑に心を晒した男が
緑に穿たれ 散ってゆく



雨に打たれ
あとかたもなく
虚ろな道に 消えてゆく



おまえのなかに獣はいない
おまえのなか ....
寝がえりの数だけ夢は裏がえる



またひとつ積もり重なる雪まなこ



煌々と言葉は眠りを遠去ける



見も知らぬ機械の生まれを語る夢



 ....
枕のなかに棲む魚が
ゆうるりとからだを波打たせている
何の音もたてることなく
ただ端から端へと動いている



わたしは魚が静まるのを待ち
左向きに頭をのせる
魚はい ....
雨のなかの長い影から
無数の別れの手が振られる
雨のなかの長い鏡が
雨を映して立ちつくし
幽霊のようにかがやいている


川を歩み 立ちどまり
水紋を見つめつづける光が
 ....
橙色の風が吹き
壁をめぐり
木々を螺旋に上下する
ふいに無数の猫になり
屋根の高さの季節を乱す


吐息が導く双つの手のひら
合うようで合わないはざまから
遠く見知ら ....
曇のなかで
ねじれる光
灰に 銀に
尽きることのない色に
池を隠す雪の上
蒼い熱が散ってゆくさま
その繰り返されるうたを聴く



けだものはけだもの
世界を狩る ....
左の視界に切り込んでくる
海は花を手わたしてくる
霧雨と霧雨の合い間の呼吸
羽音から羽音へ飛び越えながら
海は光を手わたしてくる


朝がはじまるその前に
朝よりも強く ....
空からの鳥
土からの鳥
雲をあらそい
夜に落ちて
わずかな光に溺れる



土のなかの魚たちにも
雨は少しずつ少しずつとどく
稲妻の色に目覚め
音に眠る
その ....
自分が自分かもしれないことを
思い出すのに時間がかかり
鏡の前で
裸のまま立っていた

自分は
どこにもいないのかもしれなかった



    わんこ ほえる
    ....
    衣擦れの音は
    人の声のようにやさしく
    草の声のようにきびしく
    夜を過ぎる者の足元にからみつく
    あたたかく 目を閉じ
 ....
    車道に向かい 身を傾けた

    コンクリートの猫

    雨あがりの光を狩る
    
    雨ふらす空が
    大きな水に映り
    空ふらす雨が
    大きな水にふる


    おちるのは雨
    おちるのは空
    おちるのは午後

 ....
えほん や 
ずかん や
えいが や 
うた や
いろ や しゃしん を 
かきうつすだけの
ずるい ことば は 
いりません



あたまのなかも
あたまのそ ....
鏡台につもる
見えない髪の毛
ふさふさとこぼれ
足指に触れる


鏡のふところにあなたはいる
鏡の声に応えるあなたと
ほころぶような微笑みと
映ることのないわたしを見 ....
千波 一也さんの木立 悟さんおすすめリスト(247)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夜と響き- 木立 悟自由詩106-3-1
ノート(たからばこ)- 木立 悟未詩・独白506-2-18
にじみよや- 木立 悟自由詩206-2-16
ノート(なかよし)- 木立 悟未詩・独白106-2-15
レイン_リフレイン- 木立 悟自由詩4*06-2-14
祭の客- 木立 悟自由詩606-2-11
川を渡る人々の地- 木立 悟自由詩106-2-10
水獣域- 木立 悟自由詩606-2-8
ノート(ひとり_紡ぐ)- 木立 悟未詩・独白506-1-28
いのち見る者- 木立 悟自由詩306-1-19
かえりみち- 木立 悟自由詩306-1-18
照夜_Ⅰ- 木立 悟自由詩4*06-1-16
姿の源_Ⅰ- 木立 悟自由詩206-1-14
冬舞- 木立 悟自由詩206-1-3
ちからのかけら- 木立 悟自由詩405-12-29
彼は蒼- 木立 悟俳句405-11-12
ノート(緑と雨)- 木立 悟未詩・独白5*05-11-4
眠り枯らして_- 木立 悟俳句805-11-3
ノート(枕魚)- 木立 悟未詩・独白1105-11-1
花と源- 木立 悟自由詩305-10-25
街と光- 木立 悟自由詩905-10-20
凍空- 木立 悟自由詩705-10-18
海と言葉- 木立 悟自由詩605-10-17
外水- 木立 悟自由詩505-10-5
観察報告- 木立 悟未詩・独白405-9-26
ノート(38Y・2.11)- 木立 悟未詩・独白305-9-23
ノート(37Y・9.24)- 木立 悟未詩・独白405-9-19
ノート(37Y・12.6)- 木立 悟未詩・独白805-9-17
ノート(そのまま)- 木立 悟未詩・独白4*05-9-14
ノート(鏡)- 木立 悟未詩・独白705-9-12

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