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燃える草の原のむこうで
夜は息をしつづけていた
生まれる前のものが羽に包まれ
夜とともに揺らいでいた
かがやきのない星が穴のように在り
風と煙と火の柱を
吸い尽くすように吸いつ ....
短く折れた細い炎が
他の炎のはざまから
怪物を見る目でこちらを見ている



燃え尽きるものたちに囲まれて
何かを断ち切る仕草の列が
煙のなかをつづいてゆく


 ....
あなたなど何処にもいないまぶしさの闇あびるとき微笑む真昼




いくつかの空のなかからひとつだけ溶けゆく青に造られし道




海と空むすぶ羽音の舞の輪に青の魚の名を ....
夜の硝子
朝の氷
はやく溶けるのは
(指)


祭壇の上
振り払われた火
煙の行方は
(川底)


ひとつ
かけらが降る
ふたつめは
(手のひら)


 ....
降りつもる首しめるよに降りつもる信じることのできぬしあわせ



ひとつまみふたつまみして倒れゆく小さな夜の集まりの塔



家の背にあふれはばたき打ち寄せる星に至る火 ....
雪が雪に植える種から
何も生えぬまま春は来て
終わりとともにまた冬が来る



まねごとは終わりましたか
紙は言葉で埋まりましたか
燃やせなかったのですね
だから
 ....

中心と空洞
球面と化石
向かいあえない
水の砦


しあわせ
ふしあわせに触れずに
消えるしあわせ
夜の道をはばたく
濡れた鉄の火


曇りの地図が
晴れ ....
雪が
裏側の碧を見せぬまま
降りつづけ
積もりつづけている


光が夜を昇る声
水を斜めに振り向かせる声
器のかたちに流れ去り
ふたたび器に満ちてゆく声


世界を ....
うなじにもいて
みぞおちにもいる
雨はいろんな速さの生きもの
応える声に重なってゆく


肌をついばみ
葉のようにすぎ
甘く指を噛み
飛びたつしるし


強さでもな ....
しあわせに触れたら次はふしあわせお手玉の唄うなじ香らせ




あやとりの糸たぐるうちたどりつくふたつの胸のはざまのひかり




遠くをば見つめることすらでき ....
光をついばむ音のほうへ
川は流れ はばたきを描く
光をそそぎ
光を削る


下へ渦巻く緑があり
土に斜めにつらなっている
硝子の洞へひらく緑
わずかに金の森を映して

 ....
硝子と氷を踏みしめて
夜は土に息を吐く
解けては昇る渦の音
交わりをひとつ隠し持つ


なにもない洞
失くした名前
夜明けのままに
ちぎるうたごえ


うるむ目の先 ....
雪原の風たぐり舞う銀髪にあるはずもない笑みを見ていた




くりかえし光の行方追いつづけ雪の背骨を駆けてゆく子ら




道に棲む{ルビ静寂=しじま}に映る水の笑 ....
眠ることのできない緑の音が
雪の上にかがやいている
わずかな甘味を
鳥はついばみ
金のうたを聴きながら
粉の明るさを上下する


雨がふたつ
手をひらき
流れるもの ....
窓を揺らす透明を
娘たちの時間はすぎて
雪のなかの双つの道
どこまでも淡く
双つの道


青に添う手
剥がれる陽
いとおしさ 望みのなさ
左の目にだけ降りそそぐ

 ....
離れてもなお離れ得ぬ漠鬼かな



つむる目にひとつこぼれるななかまど



つむる目の光のなかを去りゆく背



己れから己れあふれる獅子頭



さ ....
轍に映る
音の魚
午後へ午後へ流れつき
雨のように息をめぐる


偽の季節の声があり
激しく隙間多く震え
水と風の
通り道は濃く


頬をすぎる波
くちびるの波
 ....
わたる日を得た
静かな笑みで
水は幾度もひらいては
土をひとつ はたりと照らす


色や音をほどきながら
羽は線に飛び去ってゆく
細く軽くなりながら
やがて羽ではなくなり ....
午後に吠え夜に己れの洞に哭く肉の{ルビ葛=かずら}に囚われし我




消えてゆくひとりの時間ゆうるりと道に{ルビ描=か}かれた雨音のよに




午後に墜ち静かに ....
水の上に凍る陽の音
霧の祭が去ってゆく音
緑の底を流れ来るもの
道にあふれ 道をひたす


いきどまりが双つ 手をつなぎ
傾いだ螺旋にはばたいている
岩の壁 土の壁に触れ
生 ....
涙が涙へ落ち
映る雪は昇る
花はひとつ多く
土に消えずに残る


やわらかに覚める
手の甲ふたつ
波と曇の鳥
鳥に沈む鳥


ひとみしり
とおまわり
道 花 原
 ....
互いに背を向け
曲がり またたき
空と波を
指おり数える
月が隔てる言葉たち


手のひらの海
無数の帆
とまどいは澄む
濁りのあとさき


透明でもなく鏡でもな ....
羽が
風を巻いている
葉から 黒から
生まれてはもどり
消えかけた輪を空に置く


折れた枝
弓なりの雪
空へかがやき
問いを放ち
誰も恨まぬ応えを浴びる


 ....
ひかりとひかり
あしおとといき
たどりつく波
ひらく手のひら


水に溶けぬ火
沈みつもり
水面に映る
底に棲む泡


ひとりきりで
かがやきを増し
いつか冷え ....
糸の光
曇に沈み
雨は低く
小声 小声


まぶた かけら
冷えて重なり
愚かしさのまま
流れ 昇る


高く積まれたもののなかから
少しだけ見える鏡の先端
ま ....
うそつきにひとつ
水に沈む瞬間の
鳥のくちばしにひとつ
うそつきにひとつ


群れを照らす光
肩から上の影
音のない群れ
滴をもとめて


水が描くはざま
入 ....
火の向こうに
もうひとつの火があり
さらに向こうの火に重なり
ひとつのようにじっとしている


一本の木が
雨を呼びつづけている
丘は近づき
わずかに崩れる


 ....
埋もれた実つつく鳥の背ゆく四月



三月を折りたたむたび曇の声



吐息から吐息へわたる二月かな



ざらざらと白さ一月うたいけり



紅い背を ....
ひとつの炎がてのひらにいて
手のひらのかたちからあふれては
熱も音も伝えずに
あふれつづけるそのままでいる


蒼い羽とむらさきの矢が
吹き荒れていた夜は明け
白い髪 白い ....
陽はひらき
もの皆きしみ
葉を迷い
土へ降る色


曇をせばめる音は冷え
路はひととき白くなる
風に生まれる幼いまだら
水たまりの空のはじまり


ゆがみを抱いた黄 ....
千波 一也さんの木立 悟さんおすすめリスト(247)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ノート(原のなかの家)- 木立 悟自由詩707-3-4
ノート(43Y.2・27)- 木立 悟未詩・独白407-3-1
冬呼(青)- 木立 悟短歌907-2-27
問い(応え)- 木立 悟自由詩807-2-22
夜未記- 木立 悟短歌807-2-16
ノート(行方)- 木立 悟未詩・独白207-2-15
光気降譜- 木立 悟自由詩807-2-12
ひとつ_深く- 木立 悟自由詩507-2-5
水泡軌- 木立 悟自由詩607-2-1
冬戯- 木立 悟短歌1107-1-30
ふたつ_海へ- 木立 悟自由詩607-1-26
ノート(外歌)- 木立 悟自由詩407-1-24
冬業- 木立 悟短歌1907-1-23
冬鳴_Ⅳ- 木立 悟自由詩907-1-19
冬鳴_Ⅱ- 木立 悟自由詩607-1-13
冬応- 木立 悟俳句907-1-11
つたい_はじまる- 木立 悟自由詩807-1-8
みどりうた- 木立 悟自由詩507-1-2
灯夜へ- 木立 悟短歌1406-12-30
離譜- 木立 悟自由詩406-12-29
囁日- 木立 悟自由詩706-12-14
洞輝- 木立 悟自由詩1006-12-10
午後の息- 木立 悟自由詩506-12-7
夜のまぶしさ- 木立 悟自由詩706-11-27
ノート(指記)- 木立 悟自由詩806-11-23
こだま_したたり- 木立 悟自由詩506-11-21
降り来る言葉_XXV- 木立 悟自由詩906-11-19
ノート(二季)- 木立 悟俳句606-11-17
ひとつ_かぞえて- 木立 悟自由詩606-11-13
ひとつ_めぐる- 木立 悟自由詩406-11-2

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