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雨のなかをはばたく雨
すべての音が去った後で
高く遠い静けさのように
冷気の指はやってくる
はじめて息を見つめるように
生まれ出る何かを見とどけるように



空が降り終 ....
炎のなかに
失われた歩き方があり
手をのばすと
海のように引いていく
音の煙が
冷えた地に踊る



置き去りの石

割れた氷のにおい
息をたぐりよせるもの
 ....
地の水と空の水とが出会う日を見つめる涙ひとりの涙




ふりむけば道は草木に沈みゆく路なき路と手をつなぐ径




木蓮と鳥が同じに見える子の笑みと踊りに降り ....
光の粒は増えては落ちて
空の青に波紋をつくる
大きな花の季節を切り
空を開け
冬を散らし
登山者の凍えた耳に
言葉を残す



雲の奥の淡い砂の陽
ほどけては集まる鳥 ....
土の光
空の影
獣のかたち
砂の雲
ゆるい風が作る蝶
水鳥のような
雨をゆく



すべてを乱し
飛びたつもの
湿気の輪と渦
金に現れる赤
刻まれ 燃えあがる
 ....
雨を受けとめるとき
光から醒めるとき
去る行為が消えるとき
ひとつの芽を知る
野をすぎ
雪を呼び
歩み 飛び 巡る影の
咲きひらく四肢を見る



温い朝の
羽のあ ....
言葉の無い場所から
降るむらさき
雪になっていく雨



きらめく細い
棘の氷
原を埋める
雲と同じ色たち



誰かに向けられた心と
他者のための方程式
絵 ....
花の痛み
虫の言葉
消えていく波
つぶやかれ
誰にも聞かれることなく
飛び去るもの


なまぬるい風から生まれ
梳くように 飾るように
森の細かさと弱さに寄り添う
仮 ....
目を閉じた赤子の笑みに触れる花


ひとひらをくちうつしする涙かな


赤子の手何を語るや散る桜


とどまらぬ光の糸をたぐる花


名づけても名づけきれぬ日花 ....
年寄りの冷や水空に撒いてくる



歯ならびの悪い家から歌いだす



技術など鳩に喰われろぽっぽのぽー



見えぬもの見えるから書くそれだけだ



 ....
森のはざまの道に無数の
人のかたちの木漏れ日がいて
静かに立ちあがり招くとき
空はすべて木々になり
道は奥へ奥へとつづく


石の階段に灯りは無く
糸の光がゆらめいている
 ....
銀の粒  ひとつの星座
解けてゆく月
たちどまり
再び進みはじめるたびに
目の前にひろがるものたち
「これで死ぬのか」と思いながら
生きている




 ....
地の水の円
宙の粒
暗くかがやく重なりの日
ひとりの涙が見つめる日


歩くたびに
すぎるたびに
ふと触れる厚い葉
空へ向かう音になる


こころもとなくにじむ ....
あたたかさは痛み
つめたさは痛み
肉のためではなく
風のためだけに用意された穴がある
 肩の上のものたちは再び去った。世も肩も結局は自分を苦しめただけで何ももたらさなかった。目覚めは長くなったが、終わりはさらに近づいた。


 雪が空にもどるのを見て泣いた。 ....
目をつむれば残る窓の{ルビ光=ひ}よ
あらゆる音が聴こえる
鬼の器のように
在ることさえも忘れられた本
うたのように閉じてはひらき
曇のかたちの息をまわし
変わりつづける風と花房
捉えきれない色に微笑む


手はあたたかく
目は寒く
光の流れに疎 ....
さかさまの本には
さかさまがたくさん書かれていて
さかさまに読むのに適している
でも目はひとつしかないので
ときどきふたつになるときだけ読む
そのほうがもっとぐるぐるするから
 ....
かわいいものは
みな食べられて
腹のなかでうたをうたう
とぅあららら ら


なんにも持たずにひとりのものは
なんにも持たずにひとりに生まれ
なんにも持たないうたをうた ....
眩む手にあふるる翳り冬と春



けだものよ応えぬ瞳応える背



降り止まぬ目に見えぬ雨降りやまぬ



花と骨つながるいのち星ひとつ



 ....
一度だけ夜を飛べない夜がある冷えた灯りのはばたきの道



降り来る火誰がおまえを責めようか燃えくずれつつ書きとめる日々



しあわせを感じたとたんしあわせは遠く ....
小さな鉄
朝のすそ野
光の迷う道


つづくこと
つづかないこと
ここに無い声


空の句読点から
降りはじめる手
水を読む 水を読む


さくりとふるえ
 ....
指から指へ
景はわたる
花をまわす
雨をまわす



雪に点る青い芽の
ほころびぬものだけがうたいはじめて
折れた枝 折れた風
泣き眠る陽に触れてゆく


ひとつ ....
みかん色 落ちたよ
夜はもうこんなに蒼だし
蒼はもうこんなに夜だよ
西に光って 鳥も帰るよ


冷える音 止まる音
ひとつずつあたたかく
めごい瞳に降り来るよ
ひとり ....
階段にしずくの傷がつらなり
あせた光を流している
そのうちのいくつかが
私とともに上へあがる


雲から水が去ったばかりで
手のひらと屋根は渇いている
空の風より強い風 ....
どこへもいけない光の音が
橋の下を巡っている
水は鳴き
川は止み
雲は何かに引かれるように
ふりかえりながら海へ向かう


記憶でさえない小さな記憶
見つめる羽の目からこ ....
行方知れず
見つめながら
同じ目になる
夕映えを聴く


鼓動とくちびる
覆うにおいに
まぶた白く
片方ふせる


午後の火が鳴る
遠くをわたる
雲のかたち ....
もう歩みを止めたのに
ひとさし指は
冷たく曲がったままでいた
もう吹雪のなかにはいないのに
他の指から
ひとり離れたままでいた


指を伝い 流れるものから
やがて温度は ....
道に空いた
吹雪の目に立ち
陽の光にとけだす
頬の雪を聴いている


もうひとつの吹雪を引き連れ
列車が鉄路を通り過ぎ
まばらに記号を落としては
路傍の崩れた家々を鳴 ....
こうやって部屋のなかから窓の外を見ていると、雨の中でしか生きられないけものになってしまったような気がする。穴ぐらのなかで、ひたすら雨を待つ。エサはあるのだが、自分のツメで獲物を引き ....
千波 一也さんの木立 悟さんおすすめリスト(247)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
異羽- 木立 悟自由詩206-5-13
フェルマータ- 木立 悟自由詩306-5-12
午後と迷い- 木立 悟短歌806-5-11
三華遠・讃華音- 木立 悟自由詩506-5-10
三華遠季節_Ⅶ- 木立 悟自由詩206-5-10
三華遠季節_Ⅵ- 木立 悟自由詩206-5-9
三華遠季節_Ⅲ- 木立 悟自由詩606-5-8
三華遠季節- 木立 悟自由詩206-5-8
花の国- 木立 悟俳句1406-5-7
年寄りの冷や水- 木立 悟川柳506-5-6
午後と鈴- 木立 悟自由詩406-4-27
29Y.2・4- 木立 悟未詩・独白206-4-24
午後と羽- 木立 悟自由詩206-4-24
29Y.3・31- 木立 悟未詩・独白306-4-23
28Y.1・15- 木立 悟未詩・独白406-4-21
27Y.5・19- 木立 悟未詩・独白406-4-20
午後のめぐり- 木立 悟自由詩306-4-20
ノート(夜のうた)- 木立 悟自由詩506-4-16
ノート(とぅあららら_ら)- 木立 悟自由詩806-4-15
冬と春- 木立 悟俳句506-4-13
光と指- 木立 悟短歌606-4-12
水と手- 木立 悟自由詩406-4-10
ゆくえ_ひびく- 木立 悟自由詩506-4-7
ノート(子守唄)- 木立 悟未詩・独白5*06-4-7
ノート(午後と柱)- 木立 悟自由詩306-3-30
まばたきと冬- 木立 悟自由詩306-3-28
ノート(午後のぬりえ)- 木立 悟自由詩406-3-24
冬と歩み- 木立 悟自由詩206-3-17
水紋の子- 木立 悟自由詩306-3-14
雨(1986.8・4)- 木立 悟自由詩1206-3-2

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