水獣域
木立 悟





光の点の物語
夜の喪に立つ蒼い蝋柱ろうちゅう
けものの笑みが途切れ途切れる
風が廃駅を削いでいく
茶のひろがりの終わるところに
金にかがやく草で編まれた
湿地のための墓がある


緑が吹き 緑が降り
砕けたものすべてに融けてゆく
夜の音の内のひとつが走り
感じることのできない何かに触れては散ってゆく



けもののかたちのひかりのようにかがやくけもの
あなたはあなたのままみなのものになる
いざなうものはただあしもとにある



消えにくい闇に棲み
舌で羽を磨くもの
あらゆる水の音に立ち
土を撫でる光の輪
石で描かれた疵のある月
けもののからだに残るもの










自由詩 水獣域 Copyright 木立 悟 2006-02-08 17:52:38
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