すべてのおすすめ
赤色の電球が落下して
横たえた体の真上で破裂する
透き通って赤いガラスの破片が
ゆっくりと飛散し
白い二の腕の内側や
{ルビ粧=めか}した鼻のてっぺんや
潤んだ眼球に降り注いで
わ ....
憎しみの中に愛があると
都合のいい性格占いのような
内在する、という{ルビ幻想法=パラダイム}で
あなたの半身を
私は求めてしまった
こうして高原に陣取り
遠めがね ....
ビジネスホテルの一階の
回転寿司屋で黒人さんの握った
トロのしゃりがあまりにも真っ白くて
私は奥歯で笑いながら
虎を溶かして作ったバターを思い出す
たしか、色素の抜けた太めのコックが
伝統 ....
答えが見つからないと
三色定理の話をする人
答えは教科書にはない
と叫ぶ人
明日の君達へ
鼻をたらしながら
ただの棒切れで遊んでいただけの僕も
瞳は輝いていたのかな
....
花瓶の中の水曜日は
ゆっくりとながれてゆく
水のように透き通って
ざらついた日々が
回覧板にぶらさがってる
今はビニールの袋に音もなくおさまっている
でもそれも
ちりぢりになった ....
たくさんのさよなら見送り
ふりかえると
行きそびれたものたちが
思い出たちが
おかえりと言った
いつか君の町で
君のうたで
画用紙に書いた
鉛筆の線が
摩擦でだんだんとぼやけて
気がつくと
きれぎれの線になって
離れてしまうように
私たちは
逆らうことなく
離れていったはずなのに。
ほとんど残って ....
息子(小3)が「学校行きたくない」と言ったのが今年の7月始め。話を聞くと、「死ね」「この世からいなくなって」「うざい」等の言葉の暴力、身体の方はあざなどないけど、しょっちゅう蹴られたりこずかれたりする ....
「あ」と声を出して
静かにこらえた夜
空耳 ばかり
静かに聞こえた夜
今日もひとり? に
静かに答えた夜
十二時すぎのひときれ
....
からっぽの海。
からっぽの空。
そして、からっぽの
からっぽの。
{引用=終りのない楽譜が
みみもとをかすめてはながれ
それはあめのように
また 空をさがしてゆくのでした
りんね なんか
しんじないよ
仏教徒じゃないもの
食洗器にお皿をならべな ....
5分前に着いた
時の記念日の声に
桜草の声に
促されて売り出された
音の出るテレビと
絵の出る絵本を追い払い
螺旋階段のある駅ビルに
不思議な国の子供たちを
氷詰めにして持って来た ....
お天気がよいから
ぼんやりと
窓の外を眺めていたら
あれが伊豆の大島だと
若い人が
得意そうに教えてくれた。
太ったサツマイモを
横に置いた
そんなのっぺりした形が
遠く ....
金属バットの表面でなぞる
裏面でスライダーを弾く音
船端で聞いたどよめきは
確かなものであったのだが
護送船団が沈められて以来
運ぶものが居なくなり
声を聞くとも ....
99番目の総括
死んでしまった仔猫を生き返らす計画
今ならねと
再生可能を信じる人たちも現れて
体細胞クローンを夢見て
生まれた赤ん坊ネコの黒い目が
じっと見つめるど真ん中
命中した猫い ....
もうすぐ
溶けてなくなるのかな
そうかもしれないね
ほら
手をつなごう
小さい頃の君に会うため
手をつなごう
{引用=fromAB}
玄関を開けると
妻はドラマを見終えたところで
「あたしの唇返せ」
と言う
そんなこと尻をかきながら
言うもんじゃない
と思いながらも
冷蔵庫のビールの有無が気になった
僕らは
....
囓りかけのパンを
置き忘れて
二人は立ち上がった
九官鳥の羽根を身に纏い
新月の夜は巡るのだと
顔だけを空に向けて
歩く
垂れた電線を潜り
蛇が
鎌鼬のような顔をして
平行 ....
階段を降りてくるものは
オバケだけではなくて
できたてのおやつを目当てに
降りてくる人類の営みのような気もして
それが文化だと
中学生の時
教頭先生から聞きました。
....
UFOが見たい
ハムサンドが好き
聖蹟桜ヶ丘が
すねる
電車の台車は
運転する毎に
ゴトゴト音を立てる
あきれたボーイズの
ように
ふざけたい電車は
ゴトンゴト ....
音のでないパソコンに
たぶらかされて10分
バスはなにも告げずに出ていった
足のない靴下が、履いてゆく脚がない
道路には穴が開いている
雨が降っている
水が貯まって、光っている
足跡を忍 ....
お釈迦様でもないけれど
虫一匹殺すつもりもないのだ
けれど
今度死ぬときゃ
栗の入った羊羹の裏だといいね
こんな軍靴の裏でなく
{引用=fromAB}
もがく
もがく
藻のないところで藻掻く
あたまの中に塩水が入って
考えることが辛くなり
すべては
旧態依然としたまま
塩漬けになり
保存されている
白く乾いた塩田を眺めて
....
古典的な
駄洒落を一発
ぶちかまし
挨拶代わりにしている男
何年ぶりかで会った男
洒落た男のつもりで居るのか
駄洒落た姿を見せつけて
脚の曲がった椅子に腰掛けて
背筋を伸ばして
ボー ....
羊羹にお茶ならいつでも良いです。
主人公の猿飛佐助は
そう言って次のページで
みたらし団子を頬張って
子供達を羨ましがらせ
ジャイアンツの選手も好いけれど
真田の忍者にな ....
かわりばんこに
ジュっ
どっちのんも
ジュっ
って
うちら
まだまだやな
て
どっちが言うたか
忘れた
ほんでも
今日は遠くから見てる ....
U字型磁石を持ち出して
道ばたの茶色の石を検査した
少しでも吸い付けば
磁鉄鉱のはずだから
沢山拾い集め
溶かせば鉄になるのだと
幼い経験と想像力が生み出した
手の中の黒い鉄の塊は小 ....
スランプと呟くとちょろり水が出た
雨季だというのに今日も断水している
給水施設が老朽化して能力半減しているのだ
明日には復旧するという噂を聞くが
当てにならないから今日も
....
騒いでいるときに聞こえる歌声は
なんだか知らないメロディーは
ボートの中の水あかの貯まり水
捨てられるために汲みとられ
完全無欠のお殿様に捧げられ
走り出すのは蜜柑色したキリギリス
私たち ....
群れてはいけない
支倉常長は
伊達政宗の命を受け
ガレオン船に乗り込んで
はるばるスペインに渡り
ヨーロッパを通商の旅して
ローマでは貴族に列せられ
帰国して
キリシタン禁 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9