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前回の、視覚詩のお勉強の続きです。
○北園克衛の視覚詩
北園克衛は日本の視覚詩の先駆者で、ヨーロッパなどで視覚詩がさかんになったのと同じ時期に
(またはもっと前?北園克衛主催のモダニズム ....
ゆうべ見た
夢の話を
最後まで聞いてくれること
死ぬときはひとりでいたい
本当にひとりで
見守るものもなく
見捨てるものもなく
星が
星の瞬きが
気づかれないうちに黒く
黒く輝くように
かなしいとか
なみだとか
そんなも ....
おおきなけだもの
お前に会うのは
もうずいぶん久しぶりだ
お前と会うときは
これで仕舞いだといつも思うが
どうやら出会ってしまったな
どうだ
ひとつ
おおきなけだもの
おれは ....
己に酔って
緑に心を晒した男が
緑に穿たれ 散ってゆく
雨に打たれ
あとかたもなく
虚ろな道に 消えてゆく
おまえのなかに獣はいない
おまえのなか ....
遺さずに
消えるものはない
指先で
痕をなぞると
血の滲む感触
知っている
拒んでいる
肌の震えは
接する場所を
浮き彫りにして
揺れる
境界
けれども
破れることなく
....
{引用=からだ
すこし熱くして
あなたは
立っていました}
だらしのない
ゆびさきがふれた
ちいさなしぐさで あふれてゆく浴場
朝が来て
また
あさのくる ....
つぶやいた名が深く響く
空は{ルビ鈍色=にびいろ}をして時を孕む
いらっしゃい必然的本体
欲する無欲が降ってくる
浴びる黒髪
月光のもとの
涙する獣道で
懐かしく鋭い爪が轟く
....
いつのまにか
あなたがいなくなることが
いつのまにか
怖くなっていて
それは
幾日もの
あなたと私の
笑顔の証
とても不思議なことに
朝はいつも訪れる
目が覚めると
朝は ....
どこまで行っても緑がいる
目に入る世界すべてに
緑、あなたがいる
深呼吸して目を開けば
私に流れ込む緑
名前は知らないけど
緑たちありがとう
次の日も次の日も
いなくならないでね
....
傾くピアノの黄昏の
透明なオレンジの
一滴が
空に
しみてゆく
そうして
トタン屋根の宇宙では
魚たちが
泳ぎはじめるのだ
どうか
明日も小鳥たちが ....
朝の空気は
ひんやりとして
あたらしいいのちを
送りだす
遠くから聴こえる
鳥の声に
遠くで暮らす
母の足音
滲んでる
{引用=耳を澄ます}
朝の空気は
瑞々しくて
白から ....
お父さんまたお話して
子供のころの犬の話
しんだ父におねだりして
私は旅に出てゆく
お父さんの記憶の中へ
ジャノヒゲ揺れて
オオバコ踏んで
大きい夕陽とお父さんと犬
風は紫オレ ....
さいきん
私をみつけます
なまいきで
じょうだんみたいな手足で
おもたいランドセルをゆらしてる
あなた
胸のまんなかのスイッチは
押したら たぶん
おたがいへんな音が出る
だ ....
空へとつづく迷路に生まれ
空とは知らず昇りつづける
落ちゆくかけらの姿が見える
くすぶる姿で描きつづけている
湿り気に満ちたからだを
光の板におしつけ ....
明日は種を蒔きましょう
ホッコリホッコロ
やさしい音で
明日は晴レルと鈴虫鳴いた
レモンイエロー光の朝よ
明日は種を蒔きましょう
ホッコリホッコロ
やさしい音で
指を正しく使え ....
触れ合うためにあるものを
手、と呼ぶのなら
私はいらない
私には
ない
たそがれは穏やかに
その時を待つ
眠れない暗闇と静寂は
心を熟すのではなく
怯えさせるのでもなく
た ....
あなたはよく熱を出して
自分できづかないでいるので
いつも僕は
こっそりとあなたのひたいをひやす
あなたがきづかないままで
また
まっしろな
あのベランダに 立てるように
....
これほど手掛りがまったくない事件も珍しい
1 殺人である事は明白だ。白昼堂々なのに だ
ただ 誰も現場を目撃していないと主張し かつ
自分は 犯人ではないと言い張る。ああ 迷宮か
どこかに ....
午後と夜の間の光の
素描の街を
行き止まりに至る道を求めて
さまよっていた
雨ふらす空が
大きな水に映り
空ふらす雨が
大きな水にふる
おちるのは雨
おちるのは空
おちるのは午後
....
ただひとり ここに立って
ほしいもの じっと待って
陽と星が見たい
雨と晴が見たい
星を全部つないでできる
ただひとつ ....
えほん や
ずかん や
えいが や
うた や
いろ や しゃしん を
かきうつすだけの
ずるい ことば は
いりません
あたまのなかも
あたまのそ ....
回るものの影が
回るものに映り
たくさんの満ち欠け
たくさんの季節をつくりだす
水たまりの空を歩むもの
変わりつづけ 歩むもの
ここに在るだけの世界の上に
足跡は ....
街の上をはばたく銀色の
カフカの羽
群れは一勢に
うなづくように地を見る
陽に焼けた砂の道を見る
わたし
(現象する
音声に燃えていく
{ルビ紅=くれない}する
空ろな現存の呻き
青ざめる{ルビ夜=よ}
鋭くかげる新月に
引かれる心音のにじみは
血管を震わせて
蒸発してゆ ....
あの頃、君に告げられなかったことを今
***
ねぇ、君
冷やし中華を誰よりも早く始めたいの、とはりきる君の姿が僕は好きだったんだ
ねぇ、君
扇風機の首フリに合わ ....
僕が生まれた頃
空は今よりもうちょっと身近にあった
雲はいろんなものをカタチ作るから
それだけで面白かったし
行き先も告げずに日の暮れるまで遊んで
「烏が鳴くから帰りましょう」と手を振る ....
いつものように顔を洗って
出直してこいよなんて言われなくても
そんなことくらいわからないわけないんだよ
わかっててやってるんだから
君に会えなくなっても
君の夢くらい見たっていいじゃない ....
突然 短いうたが訪れるとき
ずっと長くつづくように感じ
いつもいつもひらかれてしまう
重く しっとりとした鉄が
手のひらの熱に戸惑うとき
いつのまにか撒き散らされた
石 ....
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