{引用=  あのひとの記憶がしずむ海は、いつしか防砂林で見えなくなった
  越えられない高さに、すこし安心した}   





砂が、降って
深く深く沈んで 底まで
皮膚 ....
ぼくのもっとも尊敬する詩人は
F君である。
F君は現在ガソリンスタンドで働いている。
そこがどこであろうと
まるでそこがカリフォルニアであるかのように
真っ黒に日焼けして。

F君の詩を ....
凍てる指よ
  松井の骨折のように外野は
  草が深い
  ぼくの夕陽から伸びる野の球。
  眼球のようにやわらかいものが骨折している
  ぼくのさみしい眼球譚が
  そうして麦笛に ....
むかし、俺に親切にしてくれた人がいた。
初めて入ったそば屋のおばちゃんだ。
俺は浪人生でひどく痩せていた。
まるで勉強ができなかったので、
ひとつも大学が受からなかった。
どうやっても勉強な ....
それは言葉にならない思いであった
母は母であった
息子は息子であった
いずれは離れ離れになる定めだった
『ふたりは生き別れる』
それは別段、不幸なことでもなく
いつまでも悔恨に捕らわれるこ ....
もう少しで
ぼくは
ぼくについての無知が
分かりそうな
気がするので
暗やみの中
きみを裸にする

不完全なきみが
ぼくを見ている
不完全なぼくの
わずかな感 ....
切ないものは
この胸の痛み

今朝一番に見た
青い空
静寂の水面に一石を投ずれば
波紋がゆらり、影が波立つ
月もまた冷ややかな横顔を
一層歪めて泣き笑いする

この橋の名を面影橋と人は呼ぶ
月明かりの下で我が影を
水面に映せば見えるとい ....
ママあの
超合金買って
またね
またこんどね

こんどって
いついつが
こんどだったのだろう
もう
こんなに
大きくなりすぎてしまったのに

ママあの
超合金いつ
買ってく ....
太陽は 生き絶えた
俺の 孤独も 持っていって
俺って 言葉 使わない?

寒い
太陽は 盲目なんだ
俺の 友人も 行ってしまった
俺を 連れていって

どこへ 行っても
俺は 一 ....
 詩のことについて考える。自分が詩を書いているということについて、その意味を考える。詩を書くことに意味はあるのか? あるといえば、ある。ないといえば、ない。はっきり言えばよくわからない。だが、自分が詩 .... 川縁の土手に根を生やした蒲公英たちは
うららかな春の陽射しを浴びて
いっせいに背を伸ばす


夏になったら向日葵になるの


ダンデリオンが通りかかると
みんなで声をそろえて問い ....
透明なビー玉はころがっていって
冷蔵庫の下からほこりまみれで帰ってきた
それを見ていたから
僕は大会で優勝できたのだ

ずっといい子にしていて
サンタさんが大きなお人形を贈ってくれた
そ ....
あなたはいつも少しかなしい
春の肌の女の子 薄桃色の乳首のように
きれい
「あなたはいつも少しかなしい」
ハッカのにおい
耳たぶをふるわせた「かなしい」を思い出して
まるくなる
私は ....
 例えば、
 降り積もった雪を白い靴で踏みにじる子供。

 例えば、
 大好きだった玩具の名前さえ忘れてしまった少女。

 例えば、
 透明な硝子片の先を細い手首に添える少年。

  ....
ロマンチック・ラブ・イデオロギーがなかったら
あたしたち人類はずっとずっと幸せだったと思う。

ロマンチック・ラブ・イデオロギーは
全ての人間達に
生殖の機会を与え
一夫一婦制を可能にする ....
傲慢なアロエが花開き
狼煙が上がれば
いけないものが
ひとつ ふたつ みっつ
投げ入れられた天然の業火によって
焼却され始める
炉の中で 
いけないものは
極上の白く澄んだ水晶の球に
 ....
どうです、{ルビ非晶質=アモルファス}の中でも
ゆっくりとなら動くことができましょう
むしろ動き続けているのです
ああ、あの藍色の揺らめきですか
あれは偏光体の有糸分裂です
触れれば消えてし ....
  
文部省(ぼくらの頃は)が認めた国語の教科書に「こころ」がのってて、それから「人間失格」もありましたね。どちらも素晴らしい(後に全編読んで面白かった)けど、何を学べば良かったのかな? 国 ....
弟が居間で音読をしている
小学五年生
勉強もそろそろ難しくなってきた
何度も何度もつまづきながら
大きい声で読んでいる

教科書には
四匹の生き物がいた
にわとりコケッコッコー
犬ワ ....
もう帰ってくるなって
遂にあなたは突き放した

しょんぼりした私に
それでも
少しだけためらってくれたね


優しい人が好きです

優しい人を守りたくなりました
限りあるものに呼ばれ
窓をあけ また
窓をあけ
どこまでもつづく
不透明の向こうの
限りあるものに呼ばれ


暮れる色は
知らぬ色
誰かが色につけた名は
そのままその ....
ああ素朴な人に会いたいのだ
こんな
読めない漢字のように
むずかしすぎる人々にもまれて
どこでなんの役に立っているのかわからないような
仕事をしている
サラリーマンの僕ならば

階段の ....
何もかもがずれてゆく
不幸ばかりがやってきては去る
だが自分はここに居なければならない

自分以外のもののためにここに存在しなければならない

いつかは離れていってし ....
一.


春待ちゆびが
くちびるにふれて
かた
むね
こし

跳ねていく

抱きぐせがつくからだめよ




二.


ぱた ぱた
と舞う洗濯物を
清潔とす ....
ただ一度
抱き締められた
その腕は

遠い日の
引き潮のように
わたしを
つれていってしまいました

ここにいる
わたしは
こい を
しているのですか

こい を
してい ....
花曇りの空に舞う胡蝶の
その透きとおった翅を 
欲しいと思う 

やわらかく笑う 
ということを覚えたのは 
いつの頃だったろう 

新しいピンヒールが
足に馴染まなくて 
ア ....
くらむ、あしもとでひとり、
すうじをかぞえていました

たったままねむったりして
そのまま
どっかのおとこのひとにだきしめられるなんて
ゆめ、のようですね

にじんでゆく、
というこ ....
今年もまた春が来る

儚い桃色の花の季節

柔らかい空気の季節

その季節を前に

冷たい風が吹いた



またねと手を振り

あなたは歩き出す

私と違う方向へ

 ....
濡れはじめた空が
歌をくりかえすのに
私はピアノを弾けないでいる
雲が沈み雨音が遠くなり
やがて射しこむだろう光に
伸びた髪をさらす
地上が反転する雫のなかで溺れる
鳥の影が風に波打つ
 ....
佐藤伊織さんのおすすめリスト(422)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
不感症の夜に- 望月 ゆ ...自由詩63+*06-5-17
F君に捧ぐ- ZUZU自由詩1206-5-15
光臨- 天野茂典自由詩1106-5-15
浪人のアダージョ- ZUZU自由詩906-5-14
きずな(母の日に思いを寄せて)- 恋月 ぴ ...自由詩33*06-5-14
ぼくについての無知- むらさき自由詩15*06-5-14
切ないものは- 石瀬琳々自由詩6*06-5-12
面影橋- 落合朱美自由詩31*06-5-10
超合金- ZUZU自由詩4+06-5-8
ユーダイ氏に捧ぐ- 奥津 強自由詩206-5-8
平準化する世界に対抗するために_——池袋ぽえむぱろうる閉店に ...- 岡部淳太 ...散文(批評 ...12+*06-5-7
ダンデリオン〜蒲公英の精霊〜- 落合朱美自由詩23*06-5-4
追憶- Tommy自由詩506-5-3
あなたはいつも少しかなしい- たちばな ...自由詩18*06-5-2
「声の無いこえ」- はゆおり ...自由詩106-5-1
ロマンチック・ラブ・イデオロギーなんか大ッキライ- うめバア自由詩4+*06-4-30
ガラスの海- 阿麻自由詩18*06-4-29
硝子- ヤギ自由詩9*06-4-28
その先生のことは案外、嫌いじゃなかった- AB(な ...散文(批評 ...11+*06-4-20
にわとりは鳴く、それも、こう鳴くという- まきび自由詩5+*06-4-20
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雨と指- 木立 悟自由詩706-4-17
酔い覚め(サラリーマン諸君!)- ZUZU自由詩1606-4-17
30Y・7.24- 木立 悟未詩・独白306-4-16
断片集「幸せの庭」- 簑田伶子自由詩47+*06-4-15
引き潮- とうどう ...自由詩36*06-4-14
花笑み- 落合朱美自由詩4106-4-12
滲んでいった夜について- みい自由詩10*06-4-9
別れ- 冬人自由詩3*06-4-9
予感- こしごえ自由詩25*06-4-6

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