走り書き
たもつ
鞄の中には
ひと握りの青空と
昨日捕まえた飛行機
微かなその羽音
生きていく毎日の走り書きは
遺言のように積み上がって
夏、という言葉だけが
いつまでも
うまく書けなかった
原っぱの真ん中で
電話が鳴っている
誰も出ることなく
鳴り続けている
多分、もう
誰もいない
(初出 R6.2.2 日本WEB詩人会)
自由詩
走り書き
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たもつ
2024-02-03 08:17:09
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