地に埋まった男は
逆さの姿勢で固まっている
そのまま足を伸ばし続けて
彼は、いつしか
木、と呼ばれるようになった。
銀河の天秤がゆっくりと傾いて
月がかろやかに昇ってゆきます
夏の星座の中心へです
澄んだ湖面は夜空をうつし
魚が背びれに月明かりをうけて
チカリ、チカリと輝きながら泳ぎ
まるで流星のよ ....
夜の汀に
静かに打ち寄せる旋律が
月を濡らし
とびきり無垢なくらやみ
豊かな潮騒に包まれる
すべての静かなあなたたち
今はただ
波間に映りこんだ月のように
やさしく揺れて
なにも持た ....
塀の上のツツジの蜜をアゲハ蝶が吸っている
硝子屋の軽トラが道の脇に停まっている
見上げたら
茎のような電線の向こうに
無期懲役の太陽がある
自分の魅 ....
朝起きたら
田中だった
田中くんおはよう
よう田中
あ 田中君だ
田中の言うことなら間違いない
田中さんこれ受け取ってください
下駄箱で告白までされる
本当の事を云 ....
つゆやみの夜
降りしきる蛙の鳴き声
このたくさんの鳴き声の中にも
さみしい蛙はいるのです
呼ばれているような気がして
サンダルを履いて庭に出てみると
蛙の鳴き声が辺りを包みます
白い ....
高速で自転し公転する地球に
ふりおとされまいと必死にしがみついている自分だ
朝が来て昼が来て夜が来るめまぐるしい展開に
なんとかついていこうと必死で追いかけている自分だ
あっという間に0に近似 ....
−計測−
重さではなく
距離を測りたい
大きさではなく
熱さを測りたい
姿ではなく
真意を測りたい
−引力−
ひかれあうのではなくひきあうの ....
鍵を見つけたよ
扉を見つけたよ
鍵穴を見つけたよ
扉を開けたよ
なんてすてきな世界!!
靴を覆い隠す
くるぶしくらいの花たちが
まるで海のように広がって
ざぶざぶと歩けば
蝶 ....
にゃんでか知らにゃいけど
「にゃににゅにぇにょ」
が言えにゃくて、全部
「にゃににゅにぇにょ」
ににゃる
日常生活に支障はにゃいもにょにょ
こにょままでは
僕が僕でなくなってしまう
....
フラッシュ満載。
変なサイトです。
ご存じでしたらすみません。
個人的にはペリーがお薦め。
http://www1.odn.ne.jp/satoumizu/
八千草薫っていいよね、と言う。正月の高校サッカー観ながらコタツに一緒に入っていたいね、とも言う。誰がこんなことを言うんだろう。八千草薫とピンポン球のどちらがかわいいか ....
1
わたしは部屋中の時計の針をとめました
ごめんなさい、毎日の生活に、疲れてしまったのです
今日は、朝は早く起きました、そして歯を磨きました
掃除をしました、洗濯をしました、近くの ....
赤
夕空と海の混じり合うそのすきまに
すべり込むうみどりの影のさみしさ
赤い包みのキャンディーをポケットから取り出すと
口に入れる間もなく風景に溶ける
橙
”ちかみちはこっ ....
1
正直、高校を卒業した時の成績はよくなかった
偏差値にして40前後
空を飛ぶ試験にうかるには絶望的な数字だった
なにしろそのころ
空を飛ぶための試験を通過するには
偏差値にして6 ....
裏庭の裏に
アルプスがあって
頂上で山根さんが
大漁旗を横に置いて
しじみの味噌汁を食べてる
ガッツはないが
しじみの実を前歯でこそげ取るように食べるのは
うまい ....
青きを踏んで
真っ直ぐなひこうき雲
簡単なようでいてなかなか難しい
窓の隙間を
風が通って
カーテンがふくらんだ
手のひらのくじらは
ホッチキスとして
毎日暮らす
風の折り目が変わって
混じる
かすか ....
自転車を買い過ぎた夢にうなされたのも忘れて
おれはスーパーまで出かけて
夕飯の買い物の他に
物珍しさで森永の黒糖キャラメルを買った
キャラメルをもう買ったから
スーパ ....
らんららん 出張中の男の洗濯をしようと乙女心を持参しアパートへ向かったら
まさに今 女にまたがろうとしている男と遭遇
鍵をかけていても私は合鍵を持っているのだから男の防衛策意味なし
セコムしてな ....
しばらく詩をかくのを忘れていた
それはいいことだ
そして ....
おぎゃあ
一字一句間違わないように強要された私のからだに
それとなく触れるだけであなたは最前列から並べら
れた裸体ばかり順番に、顔だけは別にするようです
....
彼女は早起きしてお弁当を作って
今日はピクニック
いいお天気
彼女の調子もいいみたい
ひさしぶりのピクニック
外に出るのもひさしぶり
彼女の退院記念
彼女の作ったお弁当の中身 ....
地下深くもぐり
モールス信号を
生涯送り続けた男が
死んだ
その晩
世界中の
ラジオから一斉に
鐘の音のモールス信号が
響いた
http://po-m.com/forum/upfile/418/070107232821.jpg
ライオンは
その牙とたてがみで
王者の風格と讃えられ
カモシカを食べた後に
カモシカに憧れて涙した
たわしはもう
わたしのことなど忘れて
海に帰ってしまった
たわしのかわりに
いわしで風呂の掃除をすると
少し生臭かったけれど
自分も海に帰れたような気がして
そのような気がして
....
たわしを買ってきたわたしは
綺麗な洋服を着せて居間に飾った
たわしはどこかわたしに似ていて
わたしは一度もそのように飾られたことなどなかった
日曜日
わたしはたわしを使って風呂掃除を ....
【透明人間の憂鬱】
透明人間の悩みは
最近、髪の毛が薄くなってきたこと
これでも若いころは
リーゼント、ヨロシクきめて
ハマのあたりでバリバリに透明だったぜ、ってなもんで
今ではバ ....
ハピネス。
幸せについて語ろうとすれば
それは光のように輪郭をなぞって透けていく
影はすべて
光を雄弁に語るハピネス。
流れ、を捉えることが難しいのと同じくらいに
私たちが生き残るのは ....
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