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○父

窓から庭のブランコを
眺めることが多くなった
あれにはもう一生分乗った
と言って
時々体を揺らす
背中が
押されるところではなく
支えられるところとなってから久し ....
 
テーブルの向こうには
崖しかないので
わたしは落とさないように
食事をとった

下に海があるということは
波の音でわかるけれど
海鳥の鳴き声ひとつしない
暗く寂しい海だった

 ....
君が笑った
笑った口元から
白い歯がこぼれた
こぼれた歯は
たくさんの子どもになった
うまれた子どもたちは
道路を掃除した
掃除された道路は
きれいになった
子どもたちがその ....
スーパーのレジで
おつりのコインを数枚受け取ると
「わあ、お金が増えたね」
と娘は目を輝かせる

自動ドアから出るときも
「あのおばさん、きっと親切な人なんだよ」
ふわふわと歌う
 ....
人さらいは人をさらったことがない
これからもさらう予定がない
けれど人さらいは人さらい
それは何の比喩でもなく
人さらいが人さらいであるということだ
何故人さらいは人さらいなのか
生まれた ....
覚えてる
迷ったときの指先のちょっとした仕草とか
暑い室内でむっと漂ってきた身体の匂いとか

正午、君がサイレンの口真似をすると
僕らは作業を中断して
いつも小さな昼食をとった

今日 ....
ホッチキスの針よ
俺の兵隊となれ
兵隊となり武器を持て
突撃
そして発射
せよレトロ光線
七十年代のビビビ
人間万事バンジージャンプ
ロープをつけずに
ジャンプした俺の恋人
ば ....
すべての葉を散らした体内で
葉たちはもう
おしゃべりをしているころだ
夜が白々と明けると通勤が俺を捲くし立て俺は走り
俺は走るが走っているのは通勤快速だ
くそっ!通勤だ
くそっ!快速だ
身動き取れないそれでも走ろうとする俺の背中にボインちゃんのボインが
ポ ....
娘は将来アイス屋になりたいと言う
好物のアイスを好きなだけ食べられるから
ではなくて
沢山の人を幸せにしたいからだそうだ

いっしょにお風呂に入ると必ずその話題になって
バニラ ....
桝目をひとつひとつ埋めていく
あなたはまだ
自分が花びらであることに気づいていない
窓の外は想像を絶する想像に包まれ
僕はそれを夕焼けと呼ぶこともできる
かつて靴下をはかない男の子がいた ....
とても淋しい人と会って
とても淋しい話をした
とても淋しい店でした食事は
そこそこに美味しかった
それからとても淋しい歌を歌って
とても淋しいさよならをした
目の高さで手を振ると
そ ....
読みかけの詩集を逆さまにすると
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気が ....
にゃんでか知らにゃいけど
「にゃににゅにぇにょ」
が言えにゃくて、全部
「にゃににゅにぇにょ」
ににゃる
日常生活に支障はにゃいもにょにょ
こにょままでは
僕が僕でなくなってしまう
 ....
たわしはもう
わたしのことなど忘れて
海に帰ってしまった

たわしのかわりに
いわしで風呂の掃除をすると
少し生臭かったけれど
自分も海に帰れたような気がして
そのような気がして

 ....
たわしを買ってきたわたしは
綺麗な洋服を着せて居間に飾った

たわしはどこかわたしに似ていて
わたしは一度もそのように飾られたことなどなかった

日曜日
わたしはたわしを使って風呂掃除を ....
【透明人間の憂鬱】

透明人間の悩みは
最近、髪の毛が薄くなってきたこと
これでも若いころは
リーゼント、ヨロシクきめて
ハマのあたりでバリバリに透明だったぜ、ってなもんで
今ではバ ....
ふくさんのたもつさんおすすめリスト(17)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
家族- たもつ自由詩4909-7-3
遺書- たもつ自由詩2408-5-15
笑う- たもつ自由詩806-2-28
おつり- たもつ自由詩54+06-2-26
人さらい- たもつ自由詩1805-3-30
サイレン- たもつ自由詩3605-2-16
口癖- たもつ自由詩705-1-28
若葉の言葉- たもつ自由詩1005-1-14
通勤快速- たもつ自由詩1104-12-16
十階の家族- たもつ自由詩100+04-12-11
花が降ってきた- たもつ自由詩1304-11-3
淋しい人- たもつ自由詩4004-10-26
童話(詩)- たもつ自由詩45*04-7-28
にゃ- たもつ自由詩3504-5-18
それからのたわし- たもつ自由詩803-8-11
たわし- たもつ自由詩603-8-11
透明人間と- たもつ自由詩4703-6-23

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