すべてのおすすめ
雪道に崩れ落ちそうな脆い月、
そんなこころを抱きしめて
自分を抱きしめ堪える朔月
雪道に崩れ落ちそうな暗い月、
抱えた苛立ちを棄て切れない
涙も凍る非情な朔月
雪道に崩れ落ちそうな ....
冬野過ぎゆく風、
冬枯れのしろい空
痩せた私のこいびとが
その空をみあげて武器を振りあげる
冬野過ぎゆく風、
どんな性にとっても
哀しい事故も受け入れる
力を持たない空っぽの ....
荒れ狂う海を見た
防波堤は決壊し
穏やかな海に遊んだ
日がな一日泳いで泳いで
甘やかな海を味わった
夕げに貝をほじくり食べ
律動絶えない海を聴いた
夜の浜辺に蟹を追い
太陽を溶 ....
少しは俺にも愛をくれ
少しは俺にも富をくれ
少しは俺にも夢をくれ
だけど本心は
山ほど俺には愛をくれ
巨万の富も俺にくれ
叶えられない夢なんて何もなくなるまで
愛を独り占め
権 ....
いつかわたしが生まれ帰ってきたとき
もういちどこの詩をみつけたい
なまえも知らないひとの詩として
ささやかだけど悩みや哀しみ 楽しみなんかを書きとめて
人肌のあやうさを伝えたい
....
夕暮の美しい街に居て
かるい目まいと茫洋
健やかに汚れた指
埃くさい夢
磨かれて 傷だらけの
幸福は紙の羽
完璧に白く優しくて
風が吹くほど良く燃える
今夜は満月 天に貼り付き
煌々と現の恍惚を照らし出し
巨大なものに呑まれいく恐怖
束の間刹那だけ麻痺させて
街行く人の顔、
白くくっきりと浮き上がらせる
美しい本と空と地面があった
あるいてあるいて
夜空や
咲いている花を
吸い込んでいくと かさかさになったこころが
嬉しがっているのを 感じた
雨の日には 本を読んだ
子どもらのあそぶ
....
空にはやさしい雲がかかり
ぼくはストックをつかいはたして
ためいきをついたりしています
ぼくのなかに刃がないか検証してそれでも
缶チューハイを飲んだりしています
ぼくの知り得ない事っ ....
眠るひとのいない
ベッド、手摺りには水漏れが、と
書かれていて、シーツには髪の毛が
いっぽん、半ばしろい枝毛のかなしみ
もう増えないであろう
壁や箪笥の上の笑顔や
家族の群れ
灯り ....
埃まみれの
赤と黒の上に降り
焼け途切れゆく痛みだけが
春の汚らしさをすり抜ける
夜の空の水時計を
径の光が照らしている
窓に溢れ やがて散る
一夜の ....
ぽろっと口からとびだした
ことばがころころころがって
人の口から口をわたっていく
どんどんどんどんころがって
一体どこまでころがっていくんだろう
死にたい訳ではないけれども
毎朝大袈裟に 浮遊をさらに包む
人生が少しずつ速く伸びて
その場所へ齢と糧とささやかな幼い心を
献上でもするように 同じ手順で繰り返す
....
みかんが美味しい
コタツに入り
テレビを見て
くされ縁のあの人と
いっしょに食べる
みかんが美味しい
吹く風は
窓ガラスを叩いて
あたたかい部屋に
入ろうとしているのか
....
愛想笑いで過ごした昨日は可哀想だ
そんな反省を笑ってる
感傷的に慰めてくる君も結局不干渉
そうさ僕は「対岸の人」だね
抱えきれない想いを綴って
折り畳んで君の知らない僕を脱いで
....
別れの手紙が届いて
窓ガラスの凍った朝に
きみは家を出る
食器も家具も置いて
チケットを握り締めて
雪の馬車に乗る
ここで変わるのね
未来から声がする
....
搭乗前に酒を飲み過ぎて
今日やっと起きたサンタは
トナカイに引かれて
ゆらゆらと蛇行運転をしながら
デュークエリントンの
「A列車で行こう」の名曲に乗せて
夜空を飛んでいる
サ ....
街は彩られた光の速さで進みます
だれとも約束なくひとり
吹かれる風も音を立てて
顔や首筋に噛みつきにきます
心にある
瓶の蓋を閉じてみま ....
おはようと さよならと
犬の鳴きごえ 耳の色
右手のかたち 指のおと
この世界を忘れるために
規則ただしく生活をして
この世界を忘れるために
夢中で愛や夢をして
おはようと さよ ....
家はあるけれど
帰る場所じゃない
その点で僕は
迷子になった
君だよ君の腕の中に
作る枠に収まって
絵になれたら良い
笑顔も涙も
崩れるほど抱いて
新しい夜を
迎えるよ ....
大きな泉でも皆が醜く争えば
小さな泉でも皆で仲良く分け合えば
たとえ泉を作りだすことができなくても
後ろの方で述べたことは自分次第で変えられる -と ....
歳を重ねる度に
人間の落とす雫の大きさは
段々と小さくなり不安を感じるが
そんな時は気晴らしに
美術館の近くを散歩をして
入館して色々な絵画を見る
偶然か
横断歩道の向こうに
....
*
それでもいい
遠い足音の偬しみも
かわした言葉のすべてが いつか跡形もなくても。
ぼくらの中にだけ積もってゆく
ただ、それだけ、であっても。
純度の高いまだ ....
青い雨が
灰色の空から降り落ちる
夢の中
白百合の頭部が
ポツリと
落ちる
小さな三角形の帆を張った胸が
なみだの波紋で揺れている
だれにもしあわせを
届けてあげられないので
....
冷たくなった父の手の上に
菊の花をそっとのせて
石で棺に釘を打ち付けた
冬の昼下がり。
微かに差した日差しの中で
手を振る父の姿が見えた。
それは
我が子を育む願いのように
手 ....
母が私に
寂しい寂しいと泣く
そのたび
犬が
ずっと母を見ている
それが
たまらなく悲しい
私ではだめですかと
犬が言っているのに
母には聞こえないのだろうか
夕陽は落ちないよ
そんなツッコミが 聴こえてきそう
誰がハミングするだろう
きっと 鳥たちだ
鴉は塒に還るだろう
何処から 飛び立つのか
あの 尖がった
一番 空に近 ....
あたたかい人も、いたよ
やさしい目をしていた
責める人も、いたけど
そんなつまらないものを
書くものはバカだぞ、と
もう、いい加減にしろよ、と
圧倒的なパワーで
わたしを諦めさせ ....
けだもの
ひとの声がする
空がなく
土もない
紙の色の月がうすく照らす
このわづかな世界に
やさしく
神々しく
いつくしみ深く
ひとの声がする
《祈りなさい ....
霧のつぶが
ここらに留まっている
セイダカアワダチソウが
しっ
と立ち尽くしている
秋は秋でさみしいから
オルガンを弾く
幼き
亡き王女に寄せたこころを
いつまでも
....
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