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 その人の
 ぶ厚い唇から飛び出した一言は
 熱っぽかった

 「あなた、でしたかっ!」

 (は?…。)
 パリッとしたスーツ姿で
 母の仏前に座る中年男性とは
 全くの初対面
 ....
今朝ぼくはひとつの世界を貰った

透明な水流と
優しさと
悲しみと
花の頬笑みと
負けない魂と

この汚れた世界を清浄にする{ルビ詩=うた}を歌い

ぼくの胸を打ち続けた

空 ....
尻の曲線に墜落した
堕ちたのは、
きっと酒のせいだ
窪みから下腹部を抜けて
波打つサテンのシーツを泳ぐ

女の夜は満天の星空で
凍った涙のように美しかった

柔らかな乳房の谷間で
 ....
仮面をつけた憂愁が舞う
着飾った歌姫と水鳥たちは歌い、
色とりどりの声を散らして
哀しみの浮かぶ透明な空を渡る

広場では巨大なパエリアが炊かれ
裸の犬と子供、朱や紫の女にふるまわれた
 ....
 夜が来て
 刺すような凍をそそぐ星
 神秘めく 真冬のそらを征服する
 ビルの柱の蔭で

 一本の竜巻のように巻き上る
 子供の愛が
 大空を圧し馳ける

 懐かしい愛の歌をハミン ....
向こう遥か一斉に
ふくよか
こんもり深緑の
ひろがり生い茂り在り
掬い取ってくれるかのよう

スッパリ切れた眼下の奈落、

君と歩いた果てに覗き込む僕に切迫する

のんびりひっそり ....
闇に沈んだ森に
すみきって硬質な音がひびいている
呼び出しのベル
からすの巣にかかげられた黒電話
ひなはとうに巣だっていって

せつな、
忘れていった羽毛がおどる
とても軽いから
命 ....
夜中に目が覚めた
真っ暗な部屋に夜がひとり

しんと静まり返った夜が
ぽつんと立って、
なにも言わずにずっといる

朝まで立ちつづけたら
きっと疲れるだろ
よかったら、
ボクのそば ....
まあるい串団子をほおばって、
まあるくなる、
きみの顔もまた、
まあるいお団子、
ひこうきぐも、
それは、ひこうきが飛んでゆくように、
あっというまに経過してゆく、
とても楽しい、
ひとときのあとの余韻、


ひこうきぐも、
それは青空にもきざみたい、
ぼくのよろ ....
今朝出したゴミがそのまま残って
「燃えないゴミは水曜日です」と張り紙がしてあった
水曜日の朝も残ったまま
「今日は水曜日です」

仕方なく持ち帰り部屋の隅に置きっぱなしにしていたら
いつの ....
葉をつけないで咲いている、昨年の晦日の晩から降りしきっている、しろい雪の華の、サクラの裸の枝に、ついばむ蕾をもとめてやって来たのか。つがいで雪の積もった枝に憩う、灰色のヒヨドリの、その鮮やかな色彩に彩 ....  木下闇
 人の通わぬ奥深く
 その道 樹々の嘆くとも
 君、
 振り返ること無くて

 遺影の彼は
 今も 三十二歳

 その朝、枕辺のオーディオステレオが
 静かに鳴っていたら ....
亡くなった犬が鏡の中から
わたしを見ている
わたしの手のひらに隠している
おいしいものを知っているのだろうか

名前を呼ぶと返事のように尻尾を揺らす
黒い鼻はしっとりと濡れ
いかにも健康 ....
いつも貴方は真の実力を眠る胸に秘めて
夢幻のかなたへ委ねてしまう
響く才能の音はますます遠くなっていく
いつものことで大手を振る者が先に進む

卒業していく才気あふれる者たち
旬の果実は若 ....
お骨はゆうパックで送れるんだって
へぇ
そんなわけで叔父の骨を預かって
春と夏が過ぎた からんと
最近は近所に犬を見なくなった
骨を差し上げるあてもなし
わたしが咥えてしまおうかしら
叔 ....
色づくからすうり
いつのまにか冬

たねを取り出して綿に包み
マッチ箱に入れて待って
ほら黒いたねが黄金色に

祖母から教えてもらったあの秘密は
どこへいった
もう1回試してみたいな ....
写真の坂本龍馬の右手は
着物の中に入っている
「何か隠し持ってると思う?」とキミは訊く
ピストルとか? 物騒な時代だったから。
物騒な時代が終わったというわけでもないけれど

だけどもう誰 ....
  「独白」


 霜の立つ
 音のきこえそうな 
 夜に一人で居る時は
 吐息など捨てようと
 幾度 思った事か


  「街の鴨」


 商業施設の脇を流れる
 堂の川 ....
夜、路地裏の、暗がりを、
口に咥えられた、折れた刀身のように、
青白くひかる、
狼のように、一目散に駆け抜けていった、
黒猫、太刀魚、青い月、
わたしの部屋にいた蝶々が
飛べない蝶々が
ある日、自分でドアを開けて出て行った

かわりにあなたが入ってきて
二人で話をした
楽しい話をたくさんした

けれどそれはきっと夢で
 ....
もうあとは寝るだけ、という段になって
三日月を見つけた
三日月もわたしを見つけた
他者のさみしさに触れると
自分もさみしいということに気づき
それはことばにしてみたら
手にありあまるくらい ....
{ルビ孤閨=こけい}の痛みに耐えかねて 真夜中 菓子焼くキチネット
はちみつ計ってバタ練つて お粉がタルクでないのがつらい
蜜と油にあまくなめされ しっとりひかる 此の両手
貴方のくちにさし ....
 *いたずら書き

故人の顔にいたずら書きをするのはやめましょう
(たとえそれが噴き出すくらいに面白くても)
自分ではもうぬぐえないし弁解だってできやしない



 *粘土あそび

 ....
冬を編む音が聴こえてくると
祈りが近い
夕暮れが愛おしい
(行かないで)
熊ノ森のはずれにあった
馴染みの毛糸屋は
廃業してしまったらしい
けれど
絶望するにはまだ早い

めぐりめ ....
どこからともなく
黒い帽子、
黒いコートの
陰謀論者がやってくる

はじめ電信柱の影にいたが
子供たちが騒ぐと、
わざとコートの前を開いて
●ン出しをして追いかけて来る

不気味な ....
つまびらかなあざやかな
その声の残響の終い震え
君の眩い一瞬の微笑み、
なんて美しんだろ
永久なるヒビキ


あなたなぜ意味を求めるの?
僕の言うことに意味無いよ、
ただ喉頭のヒビキ ....
部屋に椅子がある
隣に体育座りをした母がある
雲が青さを通り越して
手をとり椅子に導く、空は久しぶりね


玄関に並んだ靴
妻は夕食を作り、息子はトミカに夢中
1のつぎの靴 ....
あまりにも遅すぎた桜の並木道、
ひるがえる、むすうの落ち葉たち、
まるで、うろこが剥がれ落ちてゆくような、
つよい晩秋の風は、
アスファルトのひび割れた路面を、
女の本心のように露わにさせる ....
親ガチャか
前に国ガチャと
時ガチャに
感謝して
今を生きている
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