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土曜日、
掃除のため工場の窓を開けて、
そのすぐ下を見やる、
とても窮屈な折半屋根のいくつもの溝に、
いつの間にか溜まっている、僅かな土、
そこからひょっこりと生えている、
数本のほそなが ....
夏の暑さに、包まれ、静まり、静かな怒りの流れのように、
今、雷鳴がとどろき、わたしは戦慄した。
……ざあっと、雨が降るね。おびえる目で見守る。
やがて、ぽつりぽつりと、頬を打つ雨は感動で、至らな ....
この白い画面から
各々の人たちが夏の思い出に何色が入ってるかを見ている
あたりまえに過ごすこと 羨望で願望しかなかったこと
夏の思い出はすきじゃない
病棟へ出入りするぶ厚い自動ドアが、こど ....
全員揃って和やかなムード
それはもう過去のほんの刹那
二度とない瞬間には
何も思うことがなかった
振り返って初めて思う
もっと もっと
こう ああ
すれば よかった
残された者 ....
灼熱夏の
到来に、
自らの闇
夜闇に深く沈め
すべて棄てて曝す際 、
ヒカリ橙色に
やはらかく輝く
意識の視界、
カウントダウンの渦中に
奈落の底を眼差し
崖っぷち歩みなが ....
ながい黒髪が、
夏の風にさらされて、
ときおり、
ひとつの風鈴となっている、
夕立の雲が垂れ込めているのに
ふりそうにない{引用=まだ降らない
まだ降らない
まだ降らない} その短いようで限りなく不穏な時
夏草の背の高い奥庭
開かれた窓に
夕顔が、何 ....
人として生まれたのならば
死を迎えるまで
強靭かつ しなやかでいたい
この世をすべて理解しているわけではないのだから
真っ白なキャンバスのように謙虚でありたい
この歳になっても好奇心はい ....
会えないことがわかっているから
適当な約束をする
叶わなくていいけれど
叶わないけれども
まだ大切に思っていることを伝えるために
意味のない約束をしたいだけ
{引用=
青い水面に溶けこんでいる。眩暈。逆さまになったふたりの不定形。ぼくらの身体はまるで揺らめく塔のように、どこまでもながく伸びてゆくように、その揺らぎをなんども繰りかえす。それは途方もなく長い ....
もう二度と会えない
さよならも言えなかった
願いは夢で会うこと
思い出を繰り返し語り
笑ったり泣いたり
居場所を灯す
好物だったそうめん茹でる
そうめんの川にオクラの星
麺 ....
ひそやかに
風 渡りすぐ音のする
竹の飾りは夏をむかえて
ショッピングモールで
友人に勧められて買ったマーメイドスカート
そのレモンイエローに、つい気持ちがはしゃいで
揃 ....
夜をすぎて混ざりあった
イエローとピンク、
パステルカラーの朝が
たなびく空に滲む
満ちた潮の香りと
膨らんだワンピース
裸足になったキミは、ひとり
貝殻の残骸を数える
砂浜 ....
白い紙の上にこぼれてにじんだ
わたしのかなしみ、
あなたのりんかく
揺れながら
つめたく細い流木のような腕を
にぎりしめたときを
かみしめる
揺れながら
幼子が ヒーローの名前 ....
5時30分に起床
アイス珈琲を飲みながらグールドによるバッハのゴールドベルクを聴く
*
7時30分朝食を採る
納豆たまごかけごはん、残り物のチャーシュー、水茄子の ....
貝のように閉じた小部屋
布団にくるまり明日に怯える
昨日と変わらぬ今日はまるで
見飽きたドラマの再放送
誰にも呼ばれない
安心と寂しさと
不安を煽る不穏な夢
眠ることを諦める ....
無
と聞いて
深く思う人と
浅く思う人が居る。
無もさまざまに受け取られる
明日は梅雨の中休み
曇りのち晴れだという
渓谷の奥深く入り
源流の王イワナを狙う
バッハの無伴奏チェロを聴きながら
寄せては返し合う
はてがないことのふしぎ
ここから命がうまれたというふしぎ
だとしたら
この水はなにからうまれてきたのだろう
半島の先でぼんやり待っている三ッ石
今はまだ歩いてはいけないけ ....
陽のかげる時
美しくなる人だった
陽の輝く時は
自分から遠くなった心を
捜しかねているのだ
まして雨の時など
濡れた頬に
昨夜のベーゼが生き生きと甦っている
....
good day
明るい雨がさらってゆく
うしろむきの心
光をこぼしあう緑の葉はさざめき
笑う
傘なんかいらないじゃん、と
梅雨明けはまだ先
飛行機がゆく音は
雷鳴 ....
風景が霞むほどの雨のあと
水たまりには青空が映る
梅雨明けも近い
空を見れば
もう次の雨雲が控えていて
ころころと変わる空模様
そんな空の下を
こどもたちが
笑いながら走ってい ....
あー、なにも変わらない、ボロの部屋
ゴミ袋の中の昨日と分別中の今日
そして明日も良い天気かな 少し不安
とりあえず、納豆&卵かけゴハンを食べる
おそるおそる粘つく息をして 咳き込む
叫 ....
メーカー希望価格の最高級ラインが2,500円
大手釣具ショップで2,200円くらい
それがネットでは1,400円から3,400円で売っている
釣り針も大手釣具ショップで16個入りで200円くらい ....
図書館へ続く石の階段
日陰には
きのうの命がただよっている
雨ののち
ひごとに深くする手鞠花の青
カタツムリは絶滅したんだろうか
遠い子守唄
世界に向けて閉じられた手提げの中はやすらかに ....
{引用=たった一杯のカクテルに託した夢物語}{引用=月の流れのように見えたのは
私が酔っていたから
あなた自身の美しさを知らないあなたの
金糸雀の様な笑い声を
頭上高くに聞く}{引用=そのシル ....
水の輪郭 固くうねらせる曲線
脈動も静かに 寛やかになでられ
水の流速 軽くとばされる集中線
はしゃぐ裸足 滴の臨場 踊る
一斉に鳴り出す風鈴
一斉に飛び出す飛行場
必要なのは傘と ....
{引用=
潤んでいる。日差し。君のその白い面持ち。夏のプールの青さを反映させながら、水面に浸かっている君の、まだ少しだけあどけなさを残した、その朱色のくちびる。水色の水鏡(みかがみ)にそっとくちづけ ....
大きく裂けた口のある白い顔で笑い
煌びやかな衣を纏った記号が宙を行き交う
吊るされた語彙は真夜中の死体のように重く
暗い羅列が濁点だらけの股間にあった
大好きなキミの瞳を輝かせたいから、
....
土留色のナイショが蠢いている
秘めごとを沢山食べて大きくなった
巨大な海鼠にも似たナイショが床を這う
ナイショの匂いは潮風のようだった
こんなに丸々と育ってしまったら
きっといつかバレて ....
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